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「肥満は感染する」と言ったら、あなたは信じますか?
そんな馬鹿な。インフルエンザじゃあるまいし。
あなたはそう言うかもしれません。
ですが本当です。肥満は感染するのです。
そのことがハーバード大学医学部のニコラス・クリスタキスによる調査と研究で明らかになりました。
彼はマサチューセッツ州フラミンガムの住民1万2000人以上の32年間にわたる健康状況を調査し、
肥満がまるで感染症のように広がる実態を明らかにしました。
ある人の友人が肥満になった場合、
その人が将来肥満になる危険性は171%も増加しました。
また、姉妹が肥満になった女性の場合、
本人が肥満になる危険性は67%増加し、
兄弟が肥満になった男性の場合、
本人が肥満になる危険性は45%増加したのです。
なぜこのようなことが起こるのでしょう?
肥満は実はウィルス性の病気なのでしょうか?
いいえ違います。ウィルスのせいではありません。
これは「目標」が感染するためです。
私達人間の脳には、
ほとんど無意識に他人の心を読もうとする仕組みがあります。
他人を見た時、
「何をしているんだろう?」
「何を考えているのだろう?」
と脳が推測しはじめるのです。
そして、このように無意識に相手の心を読むことによって、
自分の意識の側にも副作用が生じます。
いつのまにか自分も相手と同じ目標を抱いてしまうのです。
心理学者はこれを「目標感染」呼んでいます。
例えば、誰かが食べている美味しそうなものを自分も食べたくなったり、
友達が持っているゲームソフトを自分も欲しくなったり。
そして、家族が楽しそうにテレビを見ていると、
自分もついつられて見てしまったり。
誰かが泣いているときに、もらい泣きしてしまったり。
そんな経験て誰にでもありますよね。
ある心理学の実験では、
学生たちに夏休みにアルバイトで40万円を稼いだという学生の記事を読ませたところ、
大半の学生が記事を読んだだけで自分もアルバイトをしてお金を稼ぎたくなったそうです。
こういった「目標感染」によって、
「肥満が感染する」という普通なら考えにくいことも起こるのです。
肥満の人をまねして自分も同じように食べたら、
一緒に太るのは当然ですよね。
「行動」が感染することにより、「結果」も感染するのです。
この「目標感染」は良い方にも悪い方にも働きます。
自己コントロールが感染する場合と、
自分を甘やかそうとする誘惑が感染する場合、
両方があるのです。
特に、「親しい人」からは感染しやすくなっています。
私たちは、仲間がやっていることは、
良いことであれ悪いことであれ、
一緒にやった方が良いと判断してしまいます。
良いことをするよりも仲間をまねたがるのです。
これは心理学で「社会的証明」と呼ばれるものです。
テレビCMによくある「お客様の声」などもその1つで、
同じ客という立場の仲間のやっていることをまねしたくなる人間の性質を利用して、
商品を売り込んでいるのです。
他にも例えば、
ある学生がカンニングをするかしないかは、
処罰の重さよりも、
その学生が「他のみんなだってカンニングしている」と
思っているかどうかに大きく左右されることがわかっています。
だから、「学級崩壊」が起こると対処がとても難しいのです。
授業中に騒ぐ子がいると、
「自分も騒ぎたい」という気分になってしまいます。
それがお互いに感染し合い、増幅して、手がつけられなくなってしまうのです。
逆に良い方に働く例としては、
中高一貫の進学校の子たちが、
高3になると学年全体で目の色が変わることが挙げられます。
中学受験を終えて中2~高1くらいまで中だるみをする子が多く、
そんな子供の姿を見ていて心配される保護者さんも多いのですが、
高2くらいから受験に向けてスイッチが入る子が増えてきます。
そうなると、良い「目標感染」をお互いに起こし、
最終的にはみんなで一丸となって勉強に取り組むような雰囲気ができあがるのです。
これが、「友達はよく選んだ方がいい理由」です。
何か目標を立てたとき、
良い仲間は「社会的証明」の効果でそれを後押ししてくれます。
逆に、悪い仲間が周りにいると、
「自分だけ頑張る必要なんてないのかも・・・」なんて思ってしまい、
足をひっぱられることになります。
だから、悪い仲間とは距離を置き、
自分ができるようになりたいと思っていることを習慣にしている「本当の仲間」を探さなければいけません。
同じ目標を目指す仲間に囲まれていれば、
「みんなも頑張っているから」と、やる気がわいてくるのです。
そして、こういった理由から、
私たちは生徒たちに「友達から選んでもらえる人間にならなければいけない」と指導しています。
自分が不適切な行動をすれば、
仲間に感染を起こし道連れにしてしまいます。
大好きなあの友達に、迷惑をかけてしまうことになるのです。
その結果、相手から距離を置かれ、見捨てられることにもつながります。
そうならないように、相手に良い影響を与えられる人間にならなければいけませんね。
ですが、これをプレッシャーととらえる必要はありません。
むしろプラスにとらえましょう。
プライドは心の体力を維持し、増やしてくれます。
自分が頑張ることで、友達に対しても良い影響を与えられたら、
どれほど誇らしい気持ちになれるだろう。
それを想像すると、人は一層頑張る力がわいてくるのです。
ただ一緒にいて楽しいだけじゃない、
お互いに良い影響を与え合う、
本当の仲間を子供に作らせていきましょう。
文責:伸学会代表 菊池洋匡
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