感情で動く子どもに伝わるコミュニケーション法とは?

こんばんは。伸学会の菊池です。

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しばらくこれが続く良いなー(^^)

あわせて1冊目・2冊目も買ってくださった皆さんありがとうございました!

さて、今回の記事では、
前回に引き続き
新刊の「しつけを科学」の中から
一部を無料公開します。

我ながら役立つ内容内容になっていると思いますので、
読んでみてくださいね。


第3章5節
「感情で動く子どもに伝わるコミュニケーションとは?」

理屈では正しいことはわかるけど、
あの人の言うことは腹が立つ。

あなたはそんな風に感じたことはありませんか?

そんなとき、あなたは素直に正しい行動ができたでしょうか?

自分が子どもの頃を振り返ってみると、
親に「そろそろ勉強始めないといけないんじゃないの?」と言われて、
「今やろうと思っていたのに!」とへそを曲げたことがある大人は多いものです。

そして今、自分が逆の立場になって、
子供に手を焼いていたりします(笑)

あるいは、理性では
「やらない方が良い」
とわかっていることをしてしまうこともありますよね。

あとでお金に困るから
買わない方が良いとわかっていたのに買ってしまったことや、
食べない方が・飲まない方が良いとわかっていたのに
我慢できなかったこと。

そんな経験、誰でも1つや2つあるものです。

こうしたことから考えると、
どうやら人は理屈ではなく感情で動く生き物だということが見えてきます。

大人ですらそうですし、
子どもであればなおさらです。

ですから、
子どもが理想的な行動をできるように導くためには、
理屈で納得できることに加えて、
感情的にもその理想的な行動をしたいと思わせてあげなければいけません。

ここまで子どもが感情的に
「やりたくない」
と思わないように伝える方法、
子どもの理性が
「それをした方が良い」
と思うように伝える方法をお伝えしてきましたが、
ここからはどうすればその理想的な行動を
「やりたい」
という気持ちにさせられるかをお伝えしようと思います。


その方法は、
心理学で言う「即時報酬」を与えることです。

分かりやすく言えば、
「やって良かった」
と思う何かが「すぐに」あることです。

シカゴ大学のケイトリン・ウーリー助教授の研究によれば、
「健康の改善」とか
「痩せて細身のパンツが履けるようになる」とかいった
成果が得られるまでに時間がかかる遠くの理想の状態(遅延報酬)は、
運動や商事制限といった何かを始める理由にはなるけれども、
それを続ける原動力にはならないとのことでした。

一方で、一緒に運動する仲間を作るとか、
ダンササイズ(ダンス+エクササイズ)に取り組むとか、
やること自体が楽しくなるようにすると、
それを持続することができたそうです。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27899467/

これは子どもの勉強の場合にも同様です。
「中学受験がしたいと自分から言いだした」
「○○中学校に行きたいと言っている」
にもかかわらず、
コツコツ勉強に取り組むことができないという子はたくさんいます。

「ちゃんと勉強しないなら受験(または塾)をやめなさい!」は、
受験生の親御さんの定番のセリフです。

しかし、残念ながら人間の心理・脳の働きはそういう風にできているので、
それに対して怒るのは、
「あなたはなんて人間らしい人間なんだ!」
と怒っているようなものです。

意味があるとはとても思えませんね。

怒ったところで人は空は飛べるようになりませんし、
遠くの目標に向けて頑張ることもできません。

勉強をコツコツ頑張れるようにしてあげたければ、
勉強をすることそのものが楽しくなるようにするか、
勉強をした直後に何か良いことがあるようにしてあげることが必要です。

この「即時報酬」があれば、
1階の脳は「これをすると良いことがある!」と理解し、
「次もまたやろう!」と感じてくれるというわけです。


では即時報酬にはどういったものがあるでしょうか?

●その行為自体が楽しい・やりがいがある・自分の価値観に一致している
鉄道オタクな子が日本全国の路線・駅名・地名にやたら詳しくなったり、
歴史オタクな子が歴史人物・出来事を事細かに覚えてしまったりするような例です。
勉強以外の例だと、
人助けをすることに充実感・満足感を感じる人などもこのケースです。

もし今楽しくない勉強があるとしたら、
ゲーム性を持たせる・親子で一緒に取り組むなど、
それ自体を楽しむ方法は無いか考えて工夫してみましょう。

●その行為に対してポジティブなフィードバックが「すぐに」ある
「それをしていたら褒められた」という経験があると、
2階の脳の理性で「これをした方が良い」と理解するだけでなく、
1階の脳でも「これをすると良いことがある」と感じられます。

時間が経ってからだと2階の脳で理解はできても、
1階の脳で感じることはできませんので注意が必要です。

小さい子がお手伝いをしてくれたときに、
その場で「ありがとう」と言えば「またやろう!」と思うでしょうが、
1日経ってから「昨日はありがとう」と言っても効果は薄いのです。

可能ならそれをしている最中または終わった直後に
ポジティブなフィードバックを返せると良いですね。

●その行為に対してご褒美が「すぐに」ある
大人でも頑張った自分にご褒美をあげてやる気を高めることがあると思いますが、
子どもに対してももちろん効果的な作戦です。

ハーバード大学のフライヤー教授の研究によると、
小学生の子どもに対しては「トロフィー」や「メダル」といった
名誉になるご褒美がやる気を高めるのに効果的だったそうです。

中学生以上になると、
お金の方が効果的だったとか。

ご褒美にお金をあげることには迷う保護者の方も多いと思います。

しかし、同実験の後行われたアンケートによれば、
努力した結果ご褒美を得た子供達は、
お金を無駄遣いするどころか、
娯楽などに使うお金を減らし、
より堅実なお金の使い方をしていたそうです。

この実験でお金をご褒美として与える際に、
同時におこづかい帳をつけるなどの
マネーリテラシー教育を行っていたことも理由の1つでしょうが、
端的に言えばお金の大切さを同時に学んでいたことがわかります。

勉強をさせるためにご褒美としてお金をあげることは、
むしろ一挙両得であると言えますね。

気をつけなければいけないのは、
テストの点数などの『結果』ではなく、
どれくらい勉強したかといった『行動』に対して
与えなければいけないということです。


これら即時報酬がある状態を作ると、
私たちの1階の脳は「それをやりたい!」と感情で思ってくれます。

1階の脳はとてもパワフルです。

1階の脳を味方につければ、
行動を積み重ねて目標を達成することは簡単です。

2階の脳が「それをやった方が良い」と理性で判断する行動を
1階の脳にもやりたいと思わせられるように、
1階の脳をうまく誘導していきましょう。


なお、ご褒美をあげることが、
子どものやる気をかえって損ねてしまう場合もあるので注意が必要です。

そうしたマイナスの影響が出ないようにするための注意点や、
ご褒美の効果をより高めるためのちょっとした秘訣は、
拙著「やる気を科学…」の4章に詳しく書きましたので、
そちらもぜひ読んでみてくださいね。

まとめ
「遠くの目標にむかってコツコツ頑張る」ことは、
「空を飛ぶ」とか「水中で呼吸をする」のと同様に人間には無理なことらしい。
受験に合格するために勉強を頑張らせるよりも、
勉強そのものが楽しくなる工夫や、
勉強して良かったと感じられる働きかけをしよう。


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