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こんにちは。伸学会代表の菊池です。
今回の記事では、
4月に発売予定の新刊の内容から一部をご紹介しようと思います。
タイトルと表紙も決まって、
もうあとは私の手を離れる感じです。
この本のテーマは、
「子どもの学力を伸ばす褒め方・叱り方」
です。
今回の記事を読んで内容に興味を持った方は、
ぜひ本屋さんで手に取ってみてくださいね。
—-
〇子どもを伸ばす親のマインドセット
以前伸学会のメルマガ読者の方からメールでこんなお悩み相談をいただきました。
「子どもは小6男子ですが、中学の話(高校受験の話や中学の内申の話、転塾の話など)をすると、耳を手でふさぎ全く聞こうとしません。自主性や改善の姿勢がないとなかなか高校受験は難しいと思って、色々伝えたいのですが、伝えようとするほど、逆効果で、どんどんやる気を削いでしまうようです。何かいい方法はありますでしょうか?効果的な方法や、いまできること等あれば教えてください。」
こういう『子供が話を聞いてくれない』というお悩みってあるあるですよね。
他にもYoutubeのコメント欄でも
「お父さん厳しすぎて子供たちがお父さん嫌いと言います。子育て間違えたかもしれないです。お父さん好きになって欲しいです。」とか
「間違いを指摘したり、分からない問題があると、イライラを露にし拗ねたり、ノートや鉛筆に八つ当たりをします。」
といったお悩み相談もありました。
これらの原因はだいたい同じだと私は考えています。
これからお伝えするあることを実施していくと、親子関係が劇的に良くなり、お子さんが言うことに耳を貸してくれるようになるでしょう。
まず、原因とは何かというと、褒める量が足りないということです。
「お母さん(お父さん)はいつも怒ってばかりで嫌い。だからお母さんの言うことなんか聞きたくない。」
そんな『感情』が、子どもが言うことを聞かない大きな原因です。
あなたが言っていることが正しいかどうかという『理屈』の問題ではないんですね。
正論を言ったところで意味がありません。
となったら、解決策はとてもシンプルで、ただただ褒める量を増やせばよいのです。
褒めることが結局親子関係を改善していくために、そして子供がお父さんお母さんの言うことを素直に聞くようになっていくために、とても効果的なんですね。
もちろん、多くの保護者さんは、意図的に褒めないように厳しくしているわけではないと思います。
褒めると調子に乗るから褒めないようにしているという場合には、その考え方はすぐに捨てた方が良いでしょう。
しかし、そういった方は少数派で、ご相談をされる多くの方は「褒めているつもり」とおっしゃいます。
でも残念ながらそれが伝わっていないのですね。
一方で、叱られたことは子供たちはよく覚えています。
だから、お父さんお母さんはいつも文句言ってばっかり、厳しいこと言ってばっかり、嫌い、ということになりがちです。
これはなぜかというと、人間にはネガティブな情報の方が強く印象に残るという性質があるからです。
ノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンの研究によると、人間はネガティブな情報の方がポジティブな情報の2.5倍大きく感じるそうです。
例えば、100万損する(ネガティブ)のと250万円得する(ポジティブ)のは同じくらいに感じられるということですね。
これはプロスペクト理論と呼ばれています。
このため、褒められたことはあまり記憶に残らず、叱られた嫌な印象はよく覚えているということが起こるわけです。
残念ながら、なぜ叱られたのか、今後どうしたら良いのかという反省は記憶に残らないわけですが…
ただ叱られたことに対しての不満・反発・嫌な気持ちだけが残っていきます。
ですから、少なくとも叱った数の3倍、できれば5倍くらいほめないと、
「お父さん(お母さん)はいつも怒ってばかり。嫌い」
となってしまうんですね。
実際にこうしたことを保護者セミナーの参加者に実践していってもらったところ、親子関係が劇的に良くなって、子供が言うことを聞いてくれるようになったという報告がありました。
・褒めるところを見つけるには?
では、どうすれば子どもをたくさん褒められるようになるのでしょうか。
それは「良いところを探して褒める」と決めてしまうことです。
良いか悪いか、褒めるか叱るかを考えるのではなく、先に褒めることは決定事項にしてしまい、何を褒めたら良いかを後から考えたり、探したりするのです。
なぜこれが大事なのでしょうか?
それは、先ほどお伝えした「プロスペクト理論」と関係があります。
子どもが叱られるというネガティブな出来事の方が強く印象に残るように、私たち大人も子どものできていないところや悪い行動などネガティブなところが印象に残りがちです。
90点のテストに対して、できていない10点を指摘したくなってしまうのは正にその典型です。
私たちは「中立・公正」な視点で子どもを見ているつもりが、知らず知らずに「あら探し」をしてしまうのですね。
あなたの「性格が悪い」のではありません。
それが私たち人間の性質なのです。
そこで必要になるシンプルかつ効果的な解決法が、褒める前提で子どもを見ることなのです。
そうは言っても、うちの子は良いところが全然なくて、褒めるところが無いんです。
そんなことをおっしゃる親御さんがときどきいらっしゃいます。
ですがそんなことはありません。
良いところを見る練習をし、それを習慣にすれば、褒めることはいくらでも見つかります。
例えば以前保護者セミナーのときに受けたご相談でこんなものがありました。
「うちの子は漢字の勉強が嫌いで、なかなか始めないし、始めても『なんでこんなことをしなきゃいけないんだよ…』と私に対してぶつぶつ文句を言って悪態をついてきます。聞いているとこちらが嫌な気分になってしまいます。やらなきゃいけないんだから黙ってやればいいのに…。どうしたら良いでしょうか?」
こういった、子どもが嫌々勉強して、ダラダラやったりぶつぶつ文句を言ったりすることって、多くのご家庭で起こりがちですよね。
イラっとして叱ってしまったという経験がある方も多いんじゃないでしょうか。
あなたのお子さんがこういった状態で、それを褒めなければいけないとなったら、あなただったらどこをどう褒めますか?
このご相談に対して私はこう回答しました。
「嫌いな勉強を嫌々ながらでも我慢して取り組んでいるんですね。
だったら、好きな科目の勉強を楽しみながらやっているときよりも、むしろ褒めてあげたい頑張りじゃないですか!
ぶつぶつ文句を言うのは、『僕は今こんなにつらく苦しい気持ちなんだ。助けてお母さん』というSOSです。
自分自身に置き換えて考えてみてください。
仕事をする上で、楽しい仕事ばかりではありません。
苦手な仕事、嫌いな仕事を担当しなければいけないこともあります。
そんなときに、親しい友人とご飯に行って、愚痴をきいてもらうことってありますよね。
何かアドバイスが欲しいわけではないですし、まして「仕事なんだからしょうがないじゃないか」という正論が欲しいわけでもありません。
ただわかってほしい、「大変だね。頑張ってるね。」と言ってほしいだけじゃないでしょうか。
子どもも同じです。『嫌いな勉強も我慢して頑張っててえらいね』と気持ちに共感するメッセージをそえて褒めてあげれば、それでお子さんの気持ちも落ち着きますよ。」
いかがでしょうか。
褒めるところは必ずあるとおわかりいただけるでしょうか。
客観的な事実としては、
「勉強になかなか取り組まない」
「ぶつぶつ文句を言っている」
ということですね。
それをネガティブに評価するかポジティブに評価するかは、
私たちが自分で「選べる」のです。
「文句を言ってけしからん」と評価することもできるし、
「つらくても頑張っている」と評価することもできます。
どちらの方が子どものやる気につながるかと考えれば、
私たちが選ぶ方は自ずと決まるはずですね。
この章の第1節で、ネガティブなフィードバックより、ポジティブなフィードバックの方が効果が大きいとお伝えしました。
ポジティブなフィードバックをするためには、
「ネガティブなところを探すよりもポジティブなところを探す」
という心構えが大切になります。
そして、誰が見てもポジティブに見えるところを見つけるだけでなく一見ネガティブに見える事実をポジティブに評価することができるようになったらさらに良いですね。
口先だけで心にもない誉め言葉を言っても、
それは子どもには見透かされてしまいます。
褒めるという「行動」の下に、
良いところを見るというマインドを作っていくようにしましょう。
また、拙著「やる気を科学的に分析して分かった小学生の子が勉強にハマる方法」の4章7節に書いた、
「完璧主義と最善主義」の話も親のマインドセットとしてとても大切な話なので、
ぜひ合わせて読んでみてくださいね。
・まとめ
子どもをやる気にさせて伸ばすためには、ポジティブなフィードバックが大切。
ポジティブなフィードバックができるようになるためには、「褒めると決める」ことを先にして、後から「褒めるところを探す」のが有効。
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こんな感じの内容です。
発売をお楽しみに!
ちなみにまだもう一冊
「勉強を楽しくする習慣化のヒケツ」
をテーマにした本を鋭意執筆中です。
こちらは原稿を書き終えるまでまだもう少しかかりそうですが、
良い本をお届けできるように頑張ります!
こちらも期待して待っていてくださいね!
それでは!
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