子どもの納得感を高める伝え方

こんにちは。伸学会代表の菊池です。

4/12(月)に、私の4冊目の著書
『「しつけ」を科学的に分析してわかった
小学生の子の学力を「ほめる・叱る」で伸ばすコツ』
が発売されました。

この記事では、
その中から内容の一部を無料公開しようと思います。

読んでみて、
あなたのご家庭の子育てにも活用してみてくださいね。


第2章3節
「話をする順序が子どもの納得感を左右する」

先ほどの、
「自分はしゃべらず、必要最低限のインタビューで子どもに話をさせるテクニック」
ができるようになったら、次のステップに進みましょう。

子どもの成長をよりいっそう促すためのテクニックです。


人間はマルチタスクが苦手ですから、
こうしたテクニックを複数同時にやろうとしてもはじめはうまくいきません。

いきなりピアノの弾き語りをやろうとしてもちょっと難しいですよね。

記憶を科学でお伝えしたように「ランダム学習」をした方がトータルでの習得は早くなるかもしれません。

しかし、目的はあなたのスキルアップではなく、
お子さんの成長です。

お子さんの成長を促すことを考えたら、
まずは「しゃべらず質問する」ができるようになって、
子どもと有意義な反省会ができるようになる方がおすすめです。

ですから、1つできるようになったら次のテクニックという風に、
少しずつ武器を増やしていってください。


〇事実の確認→心情への共感→現状の評価→方針の順で話をする

子どもと建設的な反省会をする上で、
この順序に従って話を進めるのはとても効果的です。

例えば、授業中に生徒がうるさくおしゃべりしてしまっている場合でご説明します。

・事実:今授業中なのに大きな声で友達と話してしまっていたね。先生が話すのの邪魔になっていたね。
・心情:友達とお話しするのは楽しいから、ついやりたくなっちゃうよね。
・評価:でも、そうやって君がおしゃべりすると授業が進められなくなっちゃうのはわかるかな?
・方針:これからは授業中は関係のないおしゃべりはしないようにしようね。

こういった手順です。

これを事実・心情を飛ばして、評価・方針から入ると、途端に「指示・命令が降ってくる」ように感じられます。

「うるさい。(評価) 授業中はおしゃべりはやめなさい。(方針)」

怒られるのが嫌でその場は静かになるかもしれませんが、
価値判断として静かにするべきだと納得したわけではないので、
子どもは遅かれ早かれ同じ失敗を繰り返します。

怖くない先生であれば、そもそも言うことを聞かないかもしれませんね。

ご家庭のしつけでも同じことが言えるでしょう。


なぜ事実の確認と、心情への共感を先に持ってくる必要があるのか?

それは、まずは話の土台となる「事実の共有」から始めないと、
そもそも話ができないからです。

子どもは自己認識の力(メタ認知能力)がまだ未熟です。

自分がうるさくしているという自覚がない場合も多いのです。

「なんで僕ばっかり怒られるんだ」
という不満を聞くことは多いと思いますが
(私も小学生の頃はこう思っていたクチです)、
それは実際にその子が特にうるさい・1番うるさいからです。

でも自分でそのことに気付けていないのですね。

ですから、「うるさい!」と叱る前に、
まずは「今あなたの大きな声が授業の邪魔になっているね」と
事実を言語化・共有し、事実に気付かせることから始めましょう。

そして次のステップが、
心情には共感を示すことです。

このステップは特に重要なステップです。

このステップがあるか無いかで、子どもの納得感がまるで変わります。

結局のところ、人は理屈ではなく感情で動きます。

「僕の気持ちをわかってくれた」
と子どもが感じれば、
子どもとしても感情的にその後の方針を受け入れやすくなります。

感情すら否定されてしまうと、
子どもとしても取り付く島がなくなり、
私たち大人のアドバイスも子どもからすると
攻撃されているように感じてしまいます。

そうなると、どれだけ理屈では正しいことを言っても、
子どもの心には届きません。

ですから、子どもの心情には共感を示すことがとても大切なのです。

そして、この心情に共感を示すことは、
子どもを動かすためのただの小手先のテクニックというわけではありません。

私たち大人の側も、
「心情には良いも悪いもない」ということを知って、
本心から共感し、
子どもの気持ちを受け止めてあげなければいけません。

例えば、子どもが友達から何か嫌なことを言われて、
腹が立って相手を叩いてしまったというシーンを想像してみてください。

こうした場合に「怒ってはいけない」「叩きたいと思ってはいけない」と言われても、子どもは納得できません。

あなた自身に置き換えて考えてみても、
同僚やママ友、
あるいは上司や舅・姑に何か嫌なことを言われて
腹が立つことはあるんじゃないでしょうか。

そんなときに、「怒ってはいけない」と言われても無理ですよね?

あるいは「怒ったってしょうがないじゃないか」といったことを言われると、
自分の気持ちをないがしろにされたようで余計に腹が立ちませんか?


ですから、子どもに対しても「怒っちゃダメ」とか
「怒っても仕方がないでしょう」といったことは言わずに、
その気持ちを受け止めて、
そう感じてしまうこと許してあげるようにしてあげてください。


ただし、心情には良いも悪いもないですし、
どんなことを思っても感じても許されますが、
行動には良い行動と悪い行動があり、
許されるものと許されないものがあります。

子どもにはこの線引きを明確に学ばせていかなければいけません。

そこで次のステップが、事実を評価することになります。

相手に対して腹が立って、
叩いてやりたいと思ったのはしょうがない。

でもそれを実行することは果たして正しかったのだろうか?

それを実行して実際にどんな良いことがあっただろうか?

それを一緒に確認していきましょう。

このときに、大人側の評価の押し付けにならないようにしていきたいですね。

そのために前節でお伝えした、
「問いを発すること」をうまく実践して、
子ども自身が妥当な結論に導けるようにしてあげられるとより良いですね。

どういう状態・どういう行動が理想だっただろう?
理想と比べて、現実はどうだっただろう?

お子さんに問いかけていきましょう。


評価を行ったら、最後に今後の方針を決めましょう。

「もしもう一度やり直せるとしたらどうする?」を考えさて、
次同じような状況になったときにはその行動を実行すると決めて終了です。


この手順をふまえることで、
今後の方針に対しての納得感が全く変わります。

ぜひ試してみてください。


まとめ
子どもに納得感をもたせるためには、
事実の確認→心情への共感→現状の評価→方針
の順で話をするのが効果的。
「○○すべき」という評価は本人に任せ、
我々は「○○である」という事実の描写にとどめよう。
そして、子どもの心情は受け入れること。


こういった内容になっています。

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