学歴と学習習慣と年収の関係

こんばんは。伸学会代表の菊池です。

先週の土曜日と日曜日に、超親ゼミ第3期最後のテーマ
「科学が教える習慣作りの簡単なヒケツ」
の初級編を開催しました。

合計84名もの方からのお申込みをいただくことができました。

半数以上の方が動画受講で、リアルタイムで参加された方は少なかったのですが、リアルタイム参加の方たちからは熱心な質問・相談がありました。

やはり私のメルマガやYoutubeをフォローしてくださっている方たちは、意識が高い方が多いなと嬉しく思いました(^^)

メルマガ・Youtubeあわせて5万人以上のフォロワーがいるので、昔と違ってお1人ずつと交流するようなことは物理的に不可能ではあるのですが、こういった機会にお話しをさせていただけるのは私にとっても刺激になります。

どういったことにお悩みなのかもお聞きすることができるので、そこからどんなコンテンツが多くの方のお悩み解決につながるのかヒントが得られました。

これからも役に立つ記事や動画を発信していこうと思います。


さて、今回のメルマガでは、初級編の講座の冒頭でお話しした、
「なぜ習慣を作るべきなのか?」
というお話しについてシェアをしたいと思っています。

世の中には「東大を出ているくせに使えない」と言われる人が一定数いますし、「高学歴ワーキングプア」と言われる人たちもいます。

なぜそうなってしまうのか、個別の事情が様々あるとは思いますが、理由の1つとして分かりやすい話が「学習習慣の断絶」だと私は考えています。

これについては東京工業大学の教育学者である矢野眞和名誉教授の「学び習慣仮説」がとても分かりやすく、かつ興味深いです。

矢野教授は5つの大学の卒業生約4500人を対象に、

・学生時代にどれぐらい勉強して、どれぐらいの知識があったか?
・大学時代にどれぐらい読書をしていたか?
・現在の仕事に対する意欲や満足度がどれぐらいあるか?
・現在の仕事の収入はどれぐらいか?業績や地位はどれぐらいか?

といったことを調査しました。

このデータを解析し、学生時代の学習・学力が現在の仕事・収入に与える影響を確かめました。

その結果分かったことは、
「将来の収入を決めるのは、学力よりも何歳になっても学び続ける習慣だ」
ということでした。

収入ではなく、仕事への満足度を決めるものも、同じく学び続ける習慣だったそうです。

以下一部を引用します。
そのあとに私の考察とまとめを書きますので、読み飛ばしていただいても良いです。
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卒業時の知識能力だけでは, 現在の所得は決まらない。 卒業後に知識能力を向上させるかどうかが重要だ。 大学時代に勉強していても, 卒業後に勉強しなくなると所得は向上しない。
こうした因果関係を理解するためには, パス解析を用いるのが有益である。 簡単に要約すると回帰分析を用いれば, 図2の左のような結果になり, パス解析によれば, 図の右のようになる。

卒業時の知識能力が所得に与える直接効果は, 無関係だったり, マイナスの効果だったりする。 その一方で,現在の知識能力は, 所得に安定的な効果をもたらす。 ここで重要なのは, 卒業時の知識能力が, 現在の知識能力に与えている効果だ。 この関係はかなり強く, 安定している。 「卒業時→所得」 の直接効果だけに着目してはいけない。 「卒業時の知識能力→現在の知識能力→所得」 という経路 (パス) が, 所得の向上をもたらしている。
興味深いことに, 知識能力の変数を 「読書得点」に変更しても, 大学によって効果がやや異なるが,関係の構図は, 図2とほぼ同じになる。 大学時代,および現在の読書についても質問したが, 大学時代の読書得点は, 所得に有意な影響を与えず, 現在の読書がプラスの効果をもつ。 しかし, 現在の読書を支えているのは, 大学時代の読書だ。 つまり, 「大学時代の読書→現在の読書→所得」 という経路が描かれる。 読書をしているサラリーマンの所得は高いが, 読書するサラリーマンは, 大学時代も読書をしている。 言い換えれば, 大学時代に読書をしていないサラリーマンは, 現在も読書しない。 だから, 所得も上昇しない。 大学時代の学習や読書の蓄積と継続が, 現在の学習や読書を支え, その成果が所得の上昇となって現れる。 こうした大学教育の間接的効果に着目して, 「学び習慣」 仮説と呼ぶことにした。
(中略)
卒業時の知識能力は, 直接的に所得の上昇に結びついていない。 小さいながらも, むしろマイナスの効果。 学生時代だけ勉強して, 卒業後に勉強しなくなれば, 所得は減少する。 学習は, 継続し, 持続することによって, 力を発揮する。 学習の継続は力なりだが, 学習の断絶はマイナスである。
(中略)
さらに大事なのは, 五つの大学を個別に分析しても, ほとんど変わらないということだ。 学校歴のせいにしてはいけないし, いい大学を出たからといって, 学習を忘れれば, 教育の効果は縮小する。 学歴や学校歴だけに囚われず, 教育の機会を真摯に活用し, 学生の本分を忘れない努力が, 将来のキャリアを豊かにする。

http://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2009/07/pdf/005-015.pdf
=====

以上を簡単にまとめると

・大学時の「学力」と、大人になってからの「収入」や「仕事への満足度」には関係がない。むしろ若干マイナスになる場合もある。

・しかし、「現在の学習習慣」と、大人になってからの「収入」や「仕事への満足度」には優位な相関関係がある。

・ただし、大学時の「学力」と「現在の学習習慣」には優位な相関関係がある。

ということでした。

有名難関大学に合格しても、これで「将来安泰だ」とか「ようやく受験勉強から解放された」とか思って勉強しなくなったら意味無いよね、ということです。

高学歴がむしろマイナスの影響をもたらす場合すらあります。

これって中学受験でも同じことが言えるのではないでしょうか。

どんな受験でも、受験というのは、【目標に向けて努力する習慣を身につける機会】としての価値が最も大きいと思います。

何年も公文をやっているのに、あるいは塾に通っているのに、ちっとも勉強の習慣が身につかないのであれば、それはあまり望ましい状態ではありません。

受験が終わった後の我が子を想像したときに、「遊びほうけている姿」がまず思い浮かぶようであれば、正しい方向に進んでいないということです。

私はまさに遊び惚けてしまった中高生活だったので、自分で言っていて超絶耳が痛いのですが…(T_T)

教え子にはできる限り同じ轍を踏ませたくはないと思っています。

じゃあどうすれば子どもに良い学習習慣をつけさせられるのか?

超親ゼミの本編でお話ししたことなので、有料で参加してくださった方たちへの義理としてここに詳しく書くことはできないのですが、大枠は本にまとめましたのでぜひ実践してくださいね。

テスト前だけ、受験前だけ、あわてて頑張るようなやり方は「習慣」とは言えません。

あたりまえに勉強する習慣を作り、あたりまえのレベルを高めていきましょう!

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