教育経済学者が語る、子どもの人生を不利にさせる親の働きかけ

こんばんは。伸学会の菊池です。

もう半年くらい前になるのですが、TBSのYouTubeチャンネルに慶應義塾大学の中室牧子教授が出演して、【勉強できる子に変える経済学的3つの方法】というお話をしていました。

その3つの方法をお話しする前に、前提としておっしゃっていたのがこんな話でした。

「私も一番、保護者の方からよく聞かれるのがこれ(勉強できる子に変える方法)なんです。

『勉強ができないんで、できるようにするためにはどうすればいいでしょうか? イスに縛りつけた方がいいでしょうか?』

…とか言われるんですけれども、まあ、それはやめた方がいいですね。

そんなことをして勉強できるようになる子は、絶対いないと思うんです。

やっぱりね、「勉強ができる子にしたい」っていうふうに考える親御さんのほとんどが、一番最初に思いつくことは、何か“強制系”ですね。

なんですけど、私はそれはね、長い目で見ると子どものためにならない、っていうふうに思っていて。

なぜかっていうと、やっぱり何かを強制されるっていうのは、さっきも言ったみたいに、「好奇心を持つ」とか、「新しいことを知りたい」っていうことと非常に相性が悪いんです。

長い目で見れば、私たちの人生って、もう勉強し続けていかなければいけないわけですよね。

こういう変化の早い時代だし、寿命も伸びてるから、新しいことをどんどんやっていかなきゃいけない。

っていう時に、「勉強することが嫌いだ」って思ってしまったり、「苦行だ」って思ってしまうと、この先の長い人生、非常に不利になると思うんです。

だからやっぱり、その“強制系”じゃない、でも“勉強できる子”に変える方法っていうのを、ちょっと考えたいと思って。

それでいろんな研究をちょっとサーチしてみて、「こういう3つはどうかな」と思って、ちょっとご提案をしたいと思っています。

元動画:https://youtu.be/JyxfSX_GKlc?si=GsYu2MGIBIbthOYT&t=878 」

そして、勉強できる子に変える方法として、「目標設定・習慣化・チームで取り組む」の3つを提唱されてらっしゃいました。

これら3つはまさに伸学会で生徒に対してサポートしていることで、もっと広がってほしいと思っています。

多くの親御さんが、本当はそんなことしたくないと思いながら、それでも子どもに怒って、叱って、勉強を強制してしまうのは、他に方法を知らないからというのが大きいのではないでしょうか。

かわいいわが子に対して、怒りたくて怒ってる方なんていませんよね。

楽しい遊びを取り上げるなんて、本当は嫌じゃないですか。

そこで今回は、中室先生もお勧めしている方法の中で、「目標設定」についてお話ししようと思います。

上記の動画の中で中室教授は
「勉強できる子に変えるためには、ひたすら目標をたてる。きちんと目標を設定して、きちんと振り返るだけで、結構大きな効果がある。で、これは無料でできるし、誰の助けも要らないんで、非常に良い話じゃないかと思います。」
とおっしゃっています。

そう、目標設定と振り返りは、効果抜群なサポートということで、伸学会の本科コースでも徹底して指導していることです。

ただ、「目標を立てて、それを達成するための方法を考える」というのは、結構高度な技術です。

動画の中で司会者も中室先生に対して
「高校生以上に効果がありそう」
と感想を言っているように、小学生の子どもがそんなに簡単にできることではありません。

個人差があるので、一概に「小学校高学年になったらできる」とか、「中高生になったらできる」とかは言えないですが、これまでの指導経験上だと、小学生だと仮に5・6年生の高学年の子でも自分で目標を設定して自分で振り返りができるのは一部の優秀生だけでした。

「誰の助けも要らない」どころではなく、かなりの手厚いサポートが必要になります。

そんなサポートをするくらいなら、目標を決めるとか、勉強のスケジュールを決めるとかは、親や先生がやってしまった方が早いし、子どもも楽なんじゃないか?
と思う方もいらっしゃると思います。

実際に、やってしまっている親御さんも多いです。

でも、目標や計画は本人が決めないと効果が半減してしまうことも、研究の結果示されています。

やはり自分で決めないと当事者意識がわかないとか、高すぎる目標になってしまってどうせ無理とあきらめたりとか、いろいろな理由でやる気にならないんですよね。

だから、手間がかかっても、本人が決めるのをサポートしてあげた方が良いんです。

大変ではありますが、この中学受験という体験を通して、目標の立て方、達成するための具体的な行動計画の決め方、計画を実行する力、といったものを育てておくと、まさに中学生以降「誰の助けも要らない」状態にできます。

あなたも中高生以降に安心して手放せる未来を想像しながら、ぜひご家庭でサポートをしてあげてください。

では、具体的にどんなサポートが必要か?

目標を立てるというのは、細かく分けると「達成したい結果を考える」「目標を達成するために足りてないものを考える」「足りてないものを補うために何をしたら良いか考える」「それを実行するうえでの障壁を考える」「障壁を取り除くためにどうしたら良いか考える」といった複雑なステップになっています。

大人であれば、達成したい結果を決めれば、そのために何をしたら良いか自ずとわかるというデキる人もいるでしょう。

でも、子どもはそうではありません。

「偏差値○○取りたい」という目標があっても、そのために何をしたら良いかがわからない子が大半なのです。

ですから、分解して1つ1つ教えてあげることが必要です。

例えば、先日も私は小4の子たちのテスト解説授業の時に、問題の解き方を教えるだけではなく、その問題と似たような問題がテキストのどこに載っていたかを逐一見せて教えました。

そのクラスの子たちは算数が苦手な子が多いので、まずは「テストの前半にある小問をしっかり正解できる」ようになれば「目標の偏差値に到達」します。

「その小問を正解するために必要な計算力や基礎知識(=足りなかったもの)」を解説しながら確認し、「それを補うためには、この補助テキストの計算問題と一行問題を練習してできるようにしておけば良い」ということを丁寧に教えたのです。

こういうことをちゃんと1つ1つ見せてあげないと、
「テキストのここに載っている問題と同じだから、これを練習しておけば良いんだ」
ということが、子どもにはわからないんですね。

彼ら・彼女らには悪気は全くありません。

デキる親御さんほど、子どもがこのレベルからわかっていないということは盲点になったりします。

【授業で扱った問題・テストで出題された問題がリンクしていることに自分で気づく能力は、受験勉強を始めたての3~4年生の子には無いのが普通!】

その前提でやっていくことが大切です。

そうしてもう1点、中室先生が紹介している研究の対象となった大学生と、私が指導している小学生とで大きく異なる点があります。

それは、「遠い将来の目標」に対しての現実感の差です。

この研究では大学生たちに目標を立てさせるときに、「その目標を達成することであなたの人生はどう良くなりますか?」といったことを考えさせ書かせることをしているのですが、小学生にこれができるでしょうか?

小学生の子どもなんて、将来の夢なんて無い子も多いし、あったとしても勉強することが将来の夢を実現することに繋がるなんて理解できていない子ばかりです。

だから、「目標を達成して次回のテストで良い成績を取ったらあなたの人生はどう良くなりますか?」と考えさせても、何も書けないという子が多いです。

書けたら本当にすごいことです。

だから、「遠くにある大きな目標」は無いことを前提にした方がうまくいきます。

「将来の夢」はもちろん、4・5年生の子であれば「志望校」も無くて大丈夫です。

それよりも、「日々の勉強計画を終わらせる」とか、「小テストで合格点を取る」みたいな「小さな目標」を作って、それを着実に達成していくようにしましょう。

「達成できる低めの目標」にすることが成功のコツです。

達成すると脳からドーパミンという物質が出て、快感になります。

そして、脳はまたその快感を味わうために、もう一度頑張ろうという意欲がわきます。

そうやって「長距離走」ではなく「短距離走の繰り返し」にすると、子どもの勉強は好循環に入ります。

そして、その小さな目標も、楽しくする工夫ができるともっと良いですね。

大人でも、「痩せること」を目標にしてダイエットをしても、だいたいの人は失敗することがわかっています。

しかし、「ダンササイズ(ダンスによるエクササイズ)に取り組む」のように、日々の痩せるための行動を楽しくする工夫をすると、成功する確率が格段に上がるそうです。

伸学会でも、「宿題をやったらポイントがたまってガチャガチャができる」とか、「塾で自習をしたら時間に応じてポイントがたまって景品がもらえる」といった工夫で、子どもが勉強を楽しめるように工夫しています。

あなたのご家庭でも、ぜひ「強制」を手放して、他の方法を試行錯誤してみてくださいね。

今回は「目標設定」についてお話ししましたが、そのうち「習慣化」や「チームで取り組む」についても、小学生にさせやすい工夫について記事にしますね。

お楽しみに!

それでは。



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