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こんばんは。伸学会代表の菊池です。
先日伸学会内で、塾生に対して「生活アンケート」を実施しました。
このアンケートは、回によって質問項目を少しずつ変えながら、勉強時間や睡眠時間、塾での状況・家庭での状況などを子どもたちにいろいろと聞いています。
そのアンケートの集計・分析を今しているところなのですが、そこから見えてきた成績上位の子と下位の子の違いがとても興味深かったので、どんな項目で差がついていたのかと、そこから見える子どもへの接し方のポイントについてお伝えしました。
今回の配信では、その内容の一部をシェアしようと思います。
まずお伝えしたいのは、「あまり差が出なかった項目」です。
いろいろな質問に対して、とてもそう思う→5、まったくそう思わない→1という感じで5段階で評価してもらったのですが、
「勉強時間を十分確保できていると思うか」
「問題を十分解いていると思うか」
という2つについては上位の子たちの平均も下位の子たちの平均も、ほとんど差がありませんでした。
じゃあ実際に勉強時間や問題を解いている量が同じかというとそんなことはありません。
多くの親御さんもご存じのように、成績下位の子の方が勉強時間は短く、解いている問題数も少ない傾向があります。
どうしてこのような矛盾が生まれるのでしょうか?
理由はシンプルで、「その子にとっては本当に頑張っているから」です。
つまり、どの子も主観的には“限界まで頑張っている”のです。
マラソンに置き換えて考えてみてください。
体力がある子が5㎞走って「十分頑張った」と感じる一方で、体力のない子は1㎞走っただけでバテバテになり「もう十分だ」と感じる。
これには違和感が無いと思います。
勉強においても同じです。
子どもたちにとって「十分な勉強」とは、「できるようになるまでやった」「宿題が終わるまでやった」という意味ではなく、「もうこれ以上やりたくない」「限界」という意味なんですね。
まずはこの感覚を、親や指導者が否定せずに「そう感じるんだな」と理解することが大切です。
そして、どうすればその心理的限界を引き上げていけるか、あるいは、「十分な勉強とはできるようになるまでやることだ」という意識に切り替えていけるかを考えていく必要があります。
もっと頑張りたいという意欲、できるようになりたいという向上心、これらを生むための関わり方とはどのようなものでしょうか?
それを理解するためのヒントが、次にご紹介する、成績上位の子と下位の子で差が大きかった項目だと思います。
・努力をすれば知能は高められると思うか?
・目標があるか?
・勉強に対してやる気があるか?
・勉強は楽しいか?
・やればできるという気持ちがあるか?
・問題を解いたら解き直しをしているか?
・塾は居心地がいいか?
・親から応援されていると感じるか?
これらの項目は差がはっきりとありました。
特に注目していただきたいのが、「勉強が楽しい」「目標がある」といった“心の中の状態”です。
こうしたポジティブな気持ちは、子ども自身の「やれる範囲」や「頑張れる限界」を押し広げてくれます。
疲れても「あとちょっと頑張ろう」と思えるのは、楽しい・やりがいがある・応援されていると感じているからです。
そして、これらの8つの項目は、バラバラに存在しているわけではありません。
お互いにつながっていて、影響を与え合っています。
「やればできる」という自信があるから「勉強に対してやる気が出る」。
「やる気がある」から、「解き直し」のような成績アップに直結する勉強を実行できる。
そうすると、テストでも良い点が取れて「勉強が楽しくなる」。
という感じで連鎖していきますよね。
そして、やったらできたから、次もきっと「やればできる」という自信も生まれる。
元の場所に戻ってきましたね。
つまり、どこかが良くなると、他に対して良い影響があり、好循環が起こっていくということです。
「やればできる」と思えるから「目標が持てる」、「目標ができた」から「やる気になる」みたいな流れもあるでしょう。
「勉強が楽しい」から「塾が居心地がいい」、「塾が居心地がいい」から「やる気になる」「勉強が楽しい」という流れもあります。
結局全部つながっています。
だから、どこから始めたって良いのです。
では、どこから始めるのが最も良いのでしょうか?
これは立場によって変わってきます。
私は指導者の立場なので、自分で一番コントロールしやすいのはどこかと言ったら、「塾を居心地の良い場所にする」ことです。
だからまずはそこから始めること、つまり、生徒と良い関係性・信頼関係を作ることを意識しています。
一方で、もし私が生徒の立場だったら、じゃあ「目標を立てることから始めようかな」と考えると思います。
では、親御さんの立場ならどうでしょうか?
もうお分かりかと思いますが、最もコントロールしやすいのは、「親に応援されている」という気持ちにさせることです。
日頃から何かお子さんに声をかけるときに、「これから自分が言おうとしていることは『応援されている』と感じる言葉だろうか?」と自問自答してから発言していただくと、良い方向に進めます。
具体的にどんな声かけ・接し方をしていけば良いかは、塾生の保護者限定の保護者セミナーでお伝えしたことなのであまり詳しくお話しすることはできないのですが、要点を少しだけおつたえすると、やはり大事なのは本人の意思を尊重することです。
同じように、宿題のできていないところにポストイットを貼ってあげたり、間違えた問題をコピーしてあげたりしている親御さんたちでも、一方の子には感謝をされていて、もう一方の子にはウザがられているなんてのはよくある話です。
これは、何をしているかの違いではなく、本人の意思を尊重しているかの違いです。
あなたも、仕事に子育てにと忙しくて、家事に手が回らず家が片付いてなかったりご飯が作れなかったりした時を想像してみてください。
あなたが親または義親に助けを求めて、それに応えて家事の手伝いをしてくれたり子どもを預かってくれたりしたら、それってとてもありがたいことで、感謝するのではないでしょうか。
でも、求めてもいないのにズカズカとやってきて、勝手に家の片づけを始めたり料理を作りだしたりしたらどうですか?
おそらく相当不快なんじゃないかと思います。
この違いは、何をしているかではなく、こちらの気持ちや考えを尊重し、それに応えてくれているのか、それとも勝手にあちらの考えを押し付けてきているのか、の違いです。
子ども相手でも同じで、相手の気持ちを尊重することって大事なことだとお分かりいただけるんじゃないでしょうか。
あらためてですが、家庭環境ってとても大事です。
同じように伸学会に通い、同じ指導を受けているのに、勉強が楽しいと感じる子と感じない子がいました。
その違いの原因は1つではありません。
もちろん子ども自身に原因がある場合もあります。
一方で、家庭環境が原因になっているケースも多いです。
もし家庭環境、すなわち親御さん自身が原因となっていて、子どもが「親はいつも自分を攻撃してくる」「やる気を無くさせることばかり言う」「全然応援されていない」と感じているようでしたら、どれだけ転塾を繰り返し、外的環境を変えても、子どもは変わりません。
これまでの教え子の中で最も親子関係が悪化していたケースだと、「親が喜ぶから勉強したくない」と言った子がいました。
そうなってしまったら、その親子関係を変えていかない限り、私たちにできることはほとんどありません。
まずは親が変わる必要があります。
そのご家庭でも、親御さんは最初は「叱られないとやらない子どもが悪い」と言って、なかなか聞き入れませんでした。
確かにその気持ち「は」よくわかります。
やる気が無いから、親御さんがやるように叱らざるを得ないと思うんですよね。
でも、やる気が無いから叱れば、叱られたことでますますやる気が無くなります。
どんどん悪循環を起こします。
いずれ指示されてもやらないくらいやる気が無くなります。
「親が喜ぶから勉強しない」は、「やる気が無い」を通り越して、もはや「反抗」「敵対」ですよね。
あなただったら、この悪循環を断ち切るために、その親御さんにどんなアドバイスをしますか?
子どもがいつか「反抗」をあきらめて、屈服し、服従するまで、攻撃を強め、厳しく叱ることをお勧めしますか?
そう考えると、叱りたくなる気持ち「は」よくわかりますが、結果として子どもの「反抗」「敵対」を招いたその行動は、良い行動ではなかったのだとおわかりいただけるのではないでしょうか。
そのご家庭でも、親御さんが「自分の側が変わらなければいけない」と受け入れることができ、子どもへの接し方を変えたことで、ようやく子どもは態度を軟化させ、わずかずつですが勉強するようになりました。
長きにわたって積み重ねてしまった「不満」や「不信」があったため、それを払しょくしていくには時間がかかりましたが、親に徹底抗戦して勉強を拒絶していたところからすると大きな前進ですね。
さて、あなたのご家庭では、お子さんが「応援されている」と感じ、勉強に対してやる気を持って臨み、成果を出し、勉強が楽しくなる道を、どれくらい進めているでしょうか?
道を間違えて、お子さんが「攻撃されている」と感じ、反抗・敵対し、勉強を拒絶するような未来に進んでしまわないように気をつけてくださいね。
伸学会生の保護者の皆さんは、お子さんのことを応援してる方ばかりです。
面談などでお話をすると、そのことを強く感じます。
あなたもきっと、お子さんのことをとても応援している方だと思います。
でも、それが子どもに伝わっている家庭と伝わっていない家庭があります。
その違いは、どのように接したら良いかという「知識」の差です。
教育心理学的に正しい子どもへの接し方の「知識」が無いから、間違った接し方をしてしまって、せっかく「応援」する気持ちがあっても、子どもからは「非難」「攻撃」と受け止められてしまっている家庭が少なくありません。
ちゃんと「応援」が伝わるようにしたいですね。
家庭と塾で協力して、お子さんが「勉強って楽しい」と思える環境を整えていきましょう。
それでは。
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