なぜ体験学習で頭の良い子が育つのか?

こんばんは。伸学会の菊池です。

少し前のことになってしまいますが、5/3に小学校低学年の子たちを連れて、「コスモプラネタリウム渋谷」に行ってきました。

伸学会では机上の学びも大事にしていますが、子どもの健全な心身の発達のためにも、より成績が伸びやすい地頭を育てるためにも、体験学習がとても効果的であると考えていて、塾生を対象に定期的に体験学習を企画しています。

4月に消防博物館に行ったのに続いて、今度はプラネタリウムでした。

今回の体験学習では、キッズ向けのプログラム『ハチ公といく天の川銀河ツアー』を鑑賞しました。

この時間帯は、小さな子どもたちが声を出したり動いたりしても大丈夫な“キッズタイム”。

まさに小学1・2年生にぴったりの環境です。

事前に、参加者一人ひとりが星座早見盤を手作りして、「どんな星が見えるのかな?」「自分の星座はどれだろう?」とワクワクしながら準備しました。

到着後、少し慌ただしいスタートでしたが、プラネタリウムの天井いっぱいに広がる星空に、みんな一気に引き込まれていきました。

星座を見つけて「これだ!」「あったあった!」と声を上げる姿に、こちらが感動するほど。

終演後には「ぼくは何座なの?」「神話の話をもっと聞きたい!」と、興味がどんどん広がっていました。

素敵な体験をしてもらうことができたようで良かったです。

なぜこうした「体験学習」に連れていくことが小学生にとって大事なのでしょうか?

まずは発達の視点から言うと、五感を通じた刺激が脳を育てるからです。
小学校低学年の時期は、脳が急速に発達する「感受性の高い時期」。

東京大学の開一夫(かい・かずお)教授(発達認知科学)は、次のように述べています。

「幼少期に“本物の体験”を通して得た感覚や感情は、思考力や創造性の土台となる“感性”を育むために不可欠である」

つまり、実際に見て、聞いて、感じることでしか育たない力が、この時期にはたくさんあるということです。

また、米国ハーバード大学関連機関の研究報告(National Scientific Council on the Developing Child, 2007)でも、「豊かな直接体験が、脳のシナプス形成や自己調整力の発達に好影響を与える」という報告があります。
https://developingchild.harvard.edu/resources/report/the-science-of-early-childhood-development-closing-the-gap-between-what-we-know-and-what-we-do/

学力の器である脳の成長を加速させるためには、体験が大事なんですね。

そして次に、学力の視点からも、知識が“線”になってつながる経験が大事です。

たとえば、教科書で「冬の大三角」「春の星座」と習っても、イメージしにくいことも多いですよね。

ですが、実際にプラネタリウムで見た星の配置は、空間認知を通じて“立体的な理解”として記憶に残ります。

これは、学習心理学でいう「エピソード記憶」(体験に結びついた記憶)が活性化されるため。

実体験に基づいた知識は、ただの暗記ではなく「深い学び=ディープラーニング」になり、後の学力にも結びつきやすくなることがわかっています。

私は自分が小学生のころ星座の暗記に興味が持てず、嫌い・苦手となってしまっていたので、生徒たちにはそうならないためにもたくさん体験をさせてあげたいと思っているんです。


そして最後に、非認知能力を育てるという視点から。

最近注目されているのが、テストでは測れない「非認知能力」の重要性です。

これは、やり抜く力(GRIT)・自信・好奇心・自己コントロール力・協調性・自己肯定感・レジリエンスなど、人が社会で生きるうえで欠かせない力を指します。

こうした能力が高いことも、広い意味での頭の良さで、私はむしろテストの点数以上にこちらをしっかりと育ててあげたいと考えています。

文部科学省も、今後の教育において「知識・技能」だけでなく「思考力・判断力・表現力」、そして「学びに向かう力や人間性」を重視すべきと示しており、非認知能力の育成は教育政策上も非常に重要視されています。

そして、この非認知能力の多くは、体験の中でこそ育ちます。

・わからないことに挑戦する「探究心」
・集団行動の中で自分の役割を意識する「協調性」
・失敗しても立ち直る「レジリエンス」
・自分にもできた!という実感から生まれる「自己肯定感」

こうした力を伸ばしてあげたいと、あなたも思いませんか?

実際、自己肯定感とレジリエンスに関しては、国立教育政策研究所(2020年)の調査で、「実体験に基づいた学びのある子どもほど、自己肯定感が高い傾向がある」とされています。

また、米国心理学会(APA)によるレポートでも、課題解決型の体験活動に参加した子どもたちは、困難に対する耐性(レジリエンス)が向上しやすいと報告されています。

これは、体験学習を通して「できた」「わかった」「乗り越えた」といったポジティブな成功体験を積み重ねられることが背景にあります。

低学年の時期に体験学習で得た「自分にもできた!」という感覚は、その後の学習への前向きな姿勢にも大きな影響を与えます。

だから、伸学会ではその機会を可能な限り用意したいと思っているんです。


今回の体験学習の結果、早くも子どもたちに小さな変化がありました。

星座を見たあとに「自分の星座を調べたい」と多くの子が言ってきたことです。

低学年だと、自分の誕生日はわかっても「自分が何座か」は知らない子がほとんど。

でも、一度“本物の星”にふれると、「知りたい!」という気持ちが自然と生まれてきます。

こうした小さな「問い」こそが、学びの芽。

大人が丁寧に応じてあげることで、興味の幅が横にも縦にも広がっていきます。

星座をきっかけに神話に興味を持った子もいれば、「夏の星座も見てみたい」と言い出す子もいました。

こうした気持ちが、伸学会が子どもたちに与えたいと考えている自ら学ぶ力=非認知能力の育成にもつながっていきます。

あなたのご家庭でもぜひ、体験学習の機会を作ってみてくださいね。


p.s.
「体験」を、ただの体験で終わらせずに「学習」につなげるには、私たち大人の指導力も大切になってきます。

実は私は星座が苦手でしたが、保育園から小学校にかけて、毎年キャンプに行っていて、星空にふれる機会はあったはずなんですよね。

大人になってキャンプに行って都会では見られない本物の星空を見て、泣きそうなくらい感動したんですが、その体験を幼少期にしていたら星がもっと得意になってたんじゃないかと思います。

せっかくの体験の機会を学習につなげられてなくてもったいないことをしました。

あなたのご家庭でも、ちょっとした工夫で学習のチャンスが増えますので、ぜひ日ごろから意識してみてください。

ちなみにメルマガ・公式LINE登録者の方には、この体験学習で使った生徒用の教材(しおり)を無料でプレゼントしましたが、参考になったと好評でした^^

それほど手の込んだものではないですが、これがあるか無いかの差が大きいんです。

あまり「すごいものを作らなきゃいけない」と気負ったりせずに、気楽にやってみてくださいね。



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