不登校になった生徒のその後 

こんにちは。伸学会の菊池です。

少し前のことになりましたが、春期講習中のことです。
卒業生の林君という子が挨拶に来ました。

講習中は忙しいのでタイミングが難しかったのですが、大学受験で第一志望に合格して4月1日から東京を離れるのでその前に会ってお礼が言いたいとのこと。
それはめでたいということで、時間を調整して会うことにしました。

林君は中3の頃不登校でした。
徐々に学校の授業についていけなくなり、現実逃避で趣味にのめり込み、さらに勉強がわからなくなる悪循環。
そして学校にいけなくなりました。

学校からはこのままだと高校に上げられないと通告されました。
先生としては、お尻を叩けば頑張るだろうと考えたんだと思います。
しかし、彼はますます精神的に追い込まれていきました。
自分ではどうにもならなくなり、私を頼ってきました。

私は、気持ちと考えの整理を手伝うことから始めました。
悩みや葛藤が頭の中をぐるぐる堂々巡りをしていると、人間は何も考えられなくなり、意志力が低下していってしまいます。
そこで、頭の中を整理し、客観視するサポートをすることにしたのです。
オンラインで何度も面談をしました。

学校に行くのか、学校を辞めて外に出る選択をするのか、気持ちは揺れていました。
行きたい気持ちはある。でも、勉強で追いつく自信が無い。
その間で葛藤をしていました。

どちらの選択肢も正解にできる。
だから、自分が進みたい道を選ぼう。
そう後押しをしました。

何度目かの面談の後、学校に行きたいという気持ちが勝ち、彼は学校に行くことに決めました。
勉強ができない。きっと無理だ。
そんな気持ちを乗り越えて学校に行くのは、とても勇気のいる行動だったと思います。

学校に行くことにした決め手は友人たちとの関係性でした。
一緒の高校に上がりたいと思ったそうです。
学校に通うようになってからも、友人たちの存在が支えになりました。

それから伸学会の個別指導に通い、学校の授業に追いつくためのサポートを受けました。
少しずつ追いつき、勉強の習慣も身につけました。

また、文化祭や運動会といったイベントの中でも役割を果たし、自信も取り戻していきました。
そうした課外活動を通じて「やり抜く力」や「自尊感情」が育つことは、このメルマガを読んでいる方たちにはもはや常識かもしれませんが、実際にそういう姿を見ると納得感が深まります。

そして、本格的に大学受験の勉強を始める高3に上がるタイミングで伸学会を卒業しました。
それから約1年が経ち、受験を終えて、今回の報告となりました。
進学先は京大だそうです。
もうムリだって弱音を吐いていた頃を考えると、本当によく頑張ったんだなと思います。

あの頃の自分にもしアドバイスをするとしたらなんて言う?と聞いてみました。
「やればできる」とか「大丈夫」とか言うのかな?と思って聞いてみたら、「それは難しいです。本当に難しい…」と考え込んでしまいました。

今大学受験で結果を出して、「やったらできた」と分かっている上で、それでもあの頃の自分に気軽にそんな言葉はかけられないようです。
それくらい深い葛藤が当時はあり、無理かもしれないという恐怖と戦っていたんですね。

それでも今私が指導者として教え子たちに伝えたいのは、目の前の道が閉ざされているように思えていても、勇気を持って踏み出せば何とかなるということです。
本人ですらあの頃に自分に何と言えば良いかわからない。
そんな状態で踏み出す勇気を与えられたことを私は自画自賛したいですし、それが人生の先輩である私たち大人の仕事だと思うんですね。
(まぁ実際のところは私より友人たちの力が大きいのでしょうけれど笑)

ちなみに不登校になった子のサポートはこれまで他にも数人しましたが、高校に上がるタイミングで外に出る決断をした子、高校に上がってから退学して高卒認定を取って大学受験をした子、いろいろな選択をした子がいます。
それぞれ自分で自分の道を選択しました。
そして、みんな進学先でとても充実した楽しい日々を過ごしていて、学校をやめる決断をして良かったと笑顔で言っていました。

戻る決断も、出る決断も、どちらも正解にできます。
大事なことは、決断して動き始めること、ただそれだけです。

もちろん、学校に行く以外の選択肢を選んでも良いと思います。
現状に対してつらい気持ちを抱えながら、それなのに現状のままでいるのはもったいないなと思うんですね。

この記事を読んでいるあなたのお子さんも、この先何らかの困難にぶつかって、学校や塾に行けなくなってしまうときが来るかもしれません。
覚えておいてください。
どの道に進んでも大丈夫です。

本人たちはとても大きな不安や恐怖を抱えています。
だから、勇気を持って歩きだせるように、後押ししてあげてくださいね。

それでは。

 

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