お悩み相談:あえて下のクラスに下げた方が気持ちよく勉強できて良いでしょうか? 

こんばんは。伸学会代表の菊池です。

先週の土曜日に、
オンラインサロンのメンバーさんたちとお悩み相談会を行いました。

メルマガとかYoutubeとかの情報発信はどうしても一方通行になりますが、
サロンでのイベントは成果報告も具体的にいただけるので嬉しいですね。

以前のご相談でも
「一番勉強時間を割いているにも関わらず算数が伸び悩んでいる。
偏差値は下り坂で算数が他の教科の足を引っ張り、全体偏差値が落ちている。
せめて、足を引っ張らない程度に偏差値5ぐらいUPしたい。」
というご相談がありました。

それに対してあるアドバイスを行ったんですが、
実行したところ
「四谷の公開組分けで偏差値が13もUP。
コースもBコース程度の偏差値からSコースに。
応用問題もなぜか、以前より正解した問題が多くありました。」
というご報告がありました。

成績に直結する正しいやり方をすることで、
頑張りがしっかり成果につなげられるようになって良かったなと思います。


さて、今回のメルマガの本題です。

先日の相談会では、
「成績が上のクラスに入れたのは良いのだけれど、
他の子たちがとても良くできるので、
小テストの結果などで引け目を感じているようです。
下のクラスに下げてもらった方が良いのでしょうか?」
というご相談をいただきました。

似たようなお悩みとして、
「チャレンジ校と思っていた学校に合格できたけれど、
入学してついていけるのか心配です」
といったご相談をいただくこともあります。

これって多くの方に共通するお悩みなんじゃないかと思います。


確かに、周囲ができる人ばかりという環境は、
マイナスの影響を受けてしまうこともあります。

人は「引け目を感じる」「自分はダメだ」と思うと、
能力が発揮できなくなってしまうんですね。

先日配信した
「IQを一瞬で14上げる方法がアンジェラ・ダックワース博士の研究で判明」
というタイトルのメルマガでお伝えした内容の逆パターンです。

このことは実験でも確認されています。


IQが平均よりも高い人(平均126)を集めて、
全員に認知テストを行いました。

そして、その成績をすべて公開して順位を付けました。

みんなほぼ同じIQなので、
実際には知能に差はないのですが、
その中でも順位を作れば優秀な人と下位の人を作ることができます。

成績が公開され、下位になった人は
「私はみんなより知能が低いんだ」
と思わされます。

その後、問題解決力を問うタスクを全員に何度もやらせました。

その結果、認知テストの順位が低かった人ほど、
その後のタスクができなくなり、
時間とともにIQは低下し続けました。

なんと、下位グループの人たちは、
平均して17.4ポイントもIQが低下しました。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3260843/


これって、中学受験をさせる親にとっては、
とても怖い話ですよね。

もし頑張って中学受験で第一志望にギリギリ合格したとしたら、
周囲はお子さんよりも成績優秀な子たちが多数派になります。

この実験のような状況だと思いませんか?

そんな環境では、
お子さんの持っている本来の能力は
発揮できなくなってしまうかもしれません。

いっそのこと、実力相応な学校や、
なんなら余裕で合格できる学校に入学した方が良いのでしょうか?

今回のメルマガでは、
そうした悩みにお答えしようと思います。

私がご相談に対してしたアドバイスを
あなたにもシェアしますので、
「周囲ができる子たちばかり!」
という環境を生かせる子に育ててあげてください。


さて、こうした周囲に優秀な子が多い状況で、
多くの親御さんが子どもに言うのが
「気にしなくて良いんだよ」
といった言葉です。

しかし、この言葉にはあまり意味はありません。

気にしなくて良いと言われて、
「わかった!気にしない!」
と切り換えられるなら苦労はありませんよね。

「気になってしまう」とか「引け目を感じる」というのは、
「結果」です。

その裏には、
「原因」となっている「考え方」が隠れています。

それを変えていかなければ、
結果はコントロールできません。

そして、しっかり教えてあげないと、
裏に隠れている考え方に子どもが自分で気づくことはできません。


では、裏に隠れている考え方とは何でしょうか?

それは
「固定的なマインドセット」
です。

高名な教育心理学者のキャロル・ドゥエックは、
能力に対しての人の考え方を2つにわけて説明しています。

1つが固定的なマインドセットで、
これは人の才能や能力は生まれつき決まっていて、
変えることができないという考え方です。

もう1つが成長マインドセットで、
これは人の才能や能力は努力によって伸ばせるという考え方です。

固定的なマインドセットの人にとっては、
能力は変えられないものですから、
能力は高くなければ困ります。

自分の能力が他の人よりも高いか低いかが関心事になり、
自分の能力は低くないということを証明しなければいけないという意識にとらわれます。

周囲の方が自分よりも能力が高い状況は、
耐えがたい苦痛ということになります。

それに対して、
成長マインドセットの人にとっては、
能力は伸ばしていけるものですから、
現時点での能力は問題とならなくなります。

自分の周囲に自分より優秀な人がいる状況は、
周囲から学び自分の能力を伸ばすチャンスと受け取ります。

ギリギリ合格で「深海魚」になってしまうのは前者のマインドの持ち主、
環境から学び伸びていくのは後者のマインドの持ち主です。


塾であれ学校であれ、
周囲に優秀な良きお手本がいる状況では、
それを生かしてほしいものですよね。

であれば、
子どもには成長マインドセットを身につけさせていきましょう。

そのために効果的な方法は2つです。


1つは、日ごろから他者比較の成績(偏差値)ではなく、
努力にフォーカスすることです。

子どもはまだ脳が未熟なので、
時間的な幅を持った思考が苦手です。

良い結果も悪い結果も、
その結果の原因となった自分の行動を結び付けて考えることが難しいのです。

ですから、結果を褒めたり叱ったりしていると、
その結果は「頭が良いから」「頭が悪いから」と考えてしまいがちです。

努力の方にフォーカスすれば、
そういった事態は避けやすくなります。


そして、もう1つが、
成長したところを子どもに気付かせてあげることです。

他者比較である偏差値は、
「他の子と同じペースの成長」
では変わりません。

人並外れた努力をして、
人並み以上の成長をしないと、
偏差値は上がらないのです。

でも、そんな努力をして成長をできる子なんて、
少数派ですよね。

普通の子にとっては、
偏差値はなかなか変わらないもの、
そのときの調子で多少上下するもの、
といった認識になるでしょう。

それでは「能力は努力で伸ばせる」というマインドは育ちにくいですよね。

ですから、
以前と比べて変化したこと、
以前はできなかったけど今はできるようになったことを、
親や指導者が教えてあげることが大切なのです。

マインドセットが変われば、
物事の捉え方が変わり、
発言や行動が変わってきます。

行動が変わればテストの結果なども変わってきます。

ぜひお子さんには成長マインドセットを持たせてあげてください。


なお、
こうした取り組みでマインドセットを変えていくには、
時間がかかる子も多います。

ですから、今目の前でどうしたら良いか?と考えたら、
クラスを下げてもらうというのもありかもしれません。

チャレンジングな志望校よりも、
実力相応な志望校を目指すというのも良いと思います。

成長マインドを育てる取り組みと並行して、
今どうするかも考えて決めていってくださいね。

それでは。

■成績アップの秘訣をメルマガで無料で配信しています。

→登録はこちらから←