教えたいお父様・お母様へ

こんばんは。伸学会の秦です。

「親に教えてもらった」という声を生徒からよく聞くようになりました。


「教えてくれた」なら良いのですが、

「頼んでないのにお父さんが解説してくる」
「『こんなものもわからないのか』というふうに言われるから嫌だ」

という声を聞くと心配になります。


近年は保護者の方にも、中学受験経験者の方が増えてきたので、

解説しやすくなったとは言えるかもしれません。

結構な難問について、「これをお母さんが教えてくれた」

と生徒が報告してきて驚いたこともあります。



私の父は中学受験をしていませんでした。

でも教えたがりでした。



私が「この問題難しいなぁ」などとつぶやくと、

「どれ、教えてやろう」などといって解説が始まるのでした。



そして毎回、「そもそも等式というのは…」から始まり、

方程式の説明を行うのです。



5分待っても実際の問題の説明に入らないので、

「全然説明してくれないじゃん、頼んでないのにやめてよ」

と私から打ち切って終わりになる、そんなやり取りを何度かしました。



このやり取りを数回繰り返し、

「教えてやろう」と父が言った瞬間には

「いらないです」と返すのが最善であると学びました。



そのためか、私は親に聞くより

「菊池先生に聞きに行けばいいじゃん」

という小学生になっていました。



保護者の方がお子さんに算数を教えたいと思う気持ちはわかります

(私も教えるのが楽しくてこの職をしています)。



そこで、教える際の留意点を3点お伝えします。

参考になればと思います。


①方程式を使わない(特に、算数が苦手な子には相性が悪いです)

方程式を中学で学ぶのは、

小学生には抽象的な文字式・変数の理解が難しいからです。


「つるかめ算の面積図」をご存知でしょうか。

実はあれは、連立方程式を視覚化する装置なのです。


つるかめ算の面積図で行う操作の一つ一つは、

連立方程式を解く上での操作と一対一対応します。



では、なぜ連立方程式をそのまま教えないのか。

「ついていけないから」です。



「つるの数をxとし、かめの数をyとする」で

つまずく子がいるでしょう。



x+y=18、2x+4y=46と書いたあと、

この式が何を表しているか、よくわからないと言い出す子がいるでしょう。



x+y=18だから、2x+2y=36だよね、という話に、


何でそんなことをしているの、36ってなんの数、


と頭を抱える子がいるでしょう。



言い出してくれるならまだ良いです。


言い出さない子は、分かった気分になってその場でうなずくだけで、


実際に自分で再生するのはまず無理だと言って良いでしょう。

意味理解が伴わないので記憶に残らないのです。



式の意味、数字の意味を考えて、数の感覚を養おうとする算数と、

式を立てた後はただの計算手続きを機械的にこなす数学では、

育てたい力、求める力がすれ違っているのです。


中学生が入学してから最初に行うような、

式変形と移項を使った計算の練習を小学生のうちにしておき、

全ての問題を数学で解く覚悟を決めるなら話は別です。

おすすめはしません…。


入学してから行うことを、入学する前に行う必要性も薄いと思います。


②自分の解法を示す前に、お子さんの解答過程を真摯に見てあげる

「できる人」ほど指導する側になるのは難しいです。

「できない人の気持ちが分からない」からですね。

よく言われる話ではないかと思います。



私は小学生のときは社会が得意だったので、

「こんなん面白がっているうちに全部覚えてしまうじゃん」

という気持ちになってしまいがちです。


そのため、「なかなか覚えられない」という生徒の頭の中で

何が起きているのかを察することが難しく、

指導には試行錯誤が必要でした。



一方で、算数は子供のときもそんなに得意ではなかったので、

講師を始めた時は、解説はおろか自分が解くのにも困る問題がありました。


そこで、まずは私自身が勉強し直す必要がありました。

目の前の生徒を指導しながら、一緒に学ぶ数年がありました。


そうして、大抵の問題は解けるようになっても、

次のハードルが待っていました。


今度は自分の解法を生徒に押し付けたくなったのです。

「私の解法が一番賢いのでは?」という自信がついた結果、

生徒の解法を聞く前に、「〜は試した?」「〜を書いた?」

と聞くようになりました。


ある時、生徒同士で教え合いをさせていたとき、

会話を横から見て気づきました。


生徒の解法も面白い!なるほどそんな発想があったか!と。


私の解答のほうが答えに一直線できれいにたどり着けるのですが、

生徒が生徒自身の思考力の中で「ここまではわかる」と

地道に考えて解いているものを否定する理由はありませんでした。



その後は、よく聞いて生徒の解き方を理解し、

つまずいているときはその生徒の解き方に乗っかって、

その子が今まで考えていた過程に付け足す形で

アドバイスすることを目指すようになりました。



受験後、「秦先生は僕の意見を聞いてくれた」という話をしてくれて、

生徒の解法に共感することの重要さが身にしみました。


お子さんが考えた解法を無視して、頭ごなしに別の解法を教えるのは、

それまでの試行錯誤や努力を無視することになります。

できる限りお子さんの解き方・思考を尊重しましょう。



③説明するより、質問するほうがよい

「結局、お父さんが説明してくれるからいいや」

と何も考えずに説明を聞き、

「ふーん、答えは12%だったのか」と思う。

これが最悪のシナリオです。


問題をたくさん解き進み、

正解が積み重なったノートが残り生徒は満足し、

親も教えた満足感に浸る。

しかし生徒が頭を使ったわけではないので、実力にはなっていない。



学習は、「その子がどれだけ頭をつかったのか」が全てです。

「どれだけ難しい問題の解説を聞いたのか」ではありません。

頭を使わせるためには、質問するのが良いです。


・どこまで考えたの?
・どういうことを授業で聞いた?
・聞いたテクニックのどれを使うんだろう?


この質問をすることで、その子の解法・思考を聞き出すことができます。


全く答えられない場合は、理解度に問題があるか、

そのときは保護者の方と勉強の話をしたくないかのどちらかです。


お子さんが答えられない場合は、

「先生にもう一回聞いてこよう。わかったことを今度教えてね」

と言えばよいでしょう。


以上3点でした。

①方程式を使わない(特に、算数が苦手な子には相性が悪いです)
②自分の解法を示す前に、お子さんの解答過程を真摯に見てあげる
③説明するより、質問するほうがよい

教える場合、以上を意識してあげてください。


あくまで目的はお子さんの頭を動かすことです。

自信を損なったり、諦めてしまったりしないよう支えてあげてください。



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