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あなたはこれまでお子さんが落ち込んでいるときにどのような言葉をかけてきましたか?
4月といえば、
サピックスオープン・日能研全国公開模試・四谷大塚合不合判定テスト・首都圏模試と、
大きな模試が全て揃っている月です。
あなたのお子さんが6年生であれば、
きっと1つは模試を受けたのではないでしょうか。
模試を受ければ良い結果に喜ぶこともありますが、
一方で悪い結果に落ち込むこともあります。
私の教え子の中でも、先日の外部模試の結果に打ちのめされて、
落ち込んでいた子がいました。
良くない成績を生徒に伝えるのは気が進まないものです。
そんなときには私たちはつい相手を気づかって、
「君が悪いんじゃない」
「一生懸命頑張ったんだから仕方ない」
などと言って慰めてしまいがちです。
しかし、モチベーションの視点からは、
このような対応は適切ではありません。
たとえ本当に一生懸命頑張っていたとしてもです。
なぜなら、報われない努力を褒められると、
人は自分の無力さをさらに強く意識するようになることがわかっているからです。
励まそうとする意図に反する逆効果を生むことが多いのです。
モチベーションを高めるために必要なのは、
その場しのぎの慰めの言葉ではありません。
まだ目標を達成するチャンスがあるのだという信念を子どもに抱かせることです。
悪い結果により目標達成への自信を失うことが、
最もモチベーションを下げるのです。
ですから、真剣に取り組んでもうまくいかなかったときは、
慰めようとするのではなく、改善のために必要なフィードバックを与えることをしなければいけません。
それが厳しい内容であったとしても、
相手を信じてしっかりと伝えましょう。
「まだ勉強が足りないならもっと増やすべきだ」
「今のやり方でうまくいかないなら別の方法を試してみよう」
そうすれば結果を変えられると伝えるのです。
改善する力が君にはあると、本人に理解させるのです。
このときに相手に伝える情報は、
「行動」に関する具体的なものでなければいけません。
子供は(大人でもありがちですが)、
ネガティブなフィードバックを自分自身への批判として受け止めてしまいがちです。
悪いのは「勉強の量」「勉強の内容」「勉強のやり方」といった「行動」であって、
自分の「能力」や「性格」ではないのです。
例えば、算数で思うような成績が取れなかったとしたら、
「君は計算ミスが多い」
といった能力の不足を指摘するのではなく、
「計算ミスを無くすために行っている練習の内容と量を見直そう。
これが改善できればあと偏差値○の上昇が見込める。
次の模試までの1ヶ月で何をどれだけやるか一緒に考えよう。」
と伝えるのです。
責められていると感じさせないことにも細心の注意を払ってください。
実際に、落ち込んでいた私の生徒も、
そうやって自分が次回までに改善できそうな部分がどれだけあるかを一緒に考え作戦を練り直したところ、
ずいぶんスッキリした顔で帰っていきました。
親や教師といった子供を指導する立場にある人間の仕事は、
問題点の指摘ではなく、
改善策をともに考えることです。
これから先にも何度も模試があり、
過去問もあり、あなたのお子さんもその結果で落ち込むときがきっと来るでしょう。
そのときに必要なのは、表面的な慰めの言葉ではありません。
大切なことなのでもう一度言いますが、
下手に慰めると、
「一生懸命やった」「努力の量は/やり方は悪くなかった」のだから、
じゃあ悪いのは「自分の能力」だと子供は思ってしまいます。
「能力がないからダメだった」と思わせることは、
最もモチベーションを下げることになります。
つい弱い自分に負けてしまって、
良くない行動をしてしまったとき、
そんなときには慰めてあげることも必要です。
気を取り直してまた頑張ろう!と。
でも、結果が出ないときには慰めは禁物。
それよりも改善に繋がる具体的なフィードバックを行うことが大切。
ぜひ覚えておいてくださいね。
文責:伸学会代表 菊池洋匡
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参考
ハイディ・グラント・ハルバーソン『やってのける――意志力を使わずに自分を動かす』大和書房、2013年
アンジェラ・ダックワース『GRIT やりぬく力』ダイヤモンド社、2016年