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こんばんは。伸学会の菊池です。
先日ちょっとおもしろい研究を読みました。
「なぜ子どもの方が大人よりも学習能力が高いんだろう?」ということを調べてみたという実験です。
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0010027721003632#s0245
実験の内容は読んでみてもピンとこなかったのですが、どうやらブロックを使ったゲームをやらせるようです。
成功すれば報酬がもらえる一方で、失敗するとその2倍の報酬を没収されるようになっていて、成功と失敗のルールが最初はわからない状態でスタートし、経験からルールを学ぶような設計になっているもよう。
このゲームをしばらくやらせて、取り組み方を観察し、獲得した報酬の量と照らし合わせたところ、子どもは失敗が多く獲得した報酬は大人よりも少なくなった一方で、最終的にルールの理解度は大人よりも高かったとのことでした。
人はチャレンジをして失敗した数だけ学びますが、大人と子どもの学習能力の違いもこのチャレンジの量の違いによるものなんじゃないかということがうかがえます。
大人になると失敗した時の損失を恐れてチャレンジができなくなるっていうのはわかる気がしますね。
一般論として、子どもは大人よりも学習能力が高いものです。
その学習能力の違いは損失を恐れずにチャレンジをするからだとすると、この違いは学習能力が高い子どもと低い子どもの違いにもなっていそうな気がしますね。
完璧主義で、失敗を恐れて難しい問題にチャレンジをしない子は、成長が遅くなるのはきっとみなさんもイメージできるのではないかと思います。
そういえば、「習い事などに教育費をたくさん使っているのに子どもの学力が低い家庭の特徴」として、「親が強制型のしつけをしている」という傾向も指摘されていました。
お茶の水女子大の内田伸子名誉教授が、実際に親が子どもの勉強を見ているところを観察したところ、強制型しつけをとる母親は、考える余地を与えないトップダウンの介入を過剰なほど子どもに対して行っていたそうです。
例えば、絵本を読み聞かせたあとで、
「さ、今のお話、どういうお話だった? 言ってごらん」
「違うじゃない、ママはそんなこと言ってないわよ。ほら、このページ。読んでごらん。よく聴いてないんだから!」
といった感じで「勝ち負けのことば」を連発していました。
これに呼応するように、子どもは母親の顔色をうかがい、顔色を見ながら行動している姿がビデオ映像に映し出されていました。
子ども自身の主体的な探索活動がみられず、萎縮してしまっている様子でした。
失敗すると親に怒られるという環境で、親の顔色をうかがいながら失敗を避けようとする行動をするようになったらどうなるでしょうか?
先ほどの「損失を恐れずにチャレンジして失敗すると、より多くを学べる」という研究結果と照らして考えても、学力が低い子に育つのは納得の結果です。
いろいろ繋がっていますねえ。
「失敗しても大丈夫」という心理的安全性を確保してあげることが、学習能力の高い子に育てるためにはとても大切なことですね。
私たち伸学会でも、「失敗は成長の通過点」ということを徹底して教えていっています。
例えば「ポイント発見」といって、宿題で問題を解くときには、間違えたときには覚えておくべき知識や解法をまとめることまで課題にしています。
このポイント発見をやると宿題ポイントがたまって景品がもらえたりするのですが、もし全問正解だったらどうなるか?
宿題ポイントをあげません。
難しい問題にチャレンジしてポイント発見をすることが、自分にとって簡単な問題をやって全問正解するより評価され賞賛される仕組みにしています。
本科コースの授業はあらゆる面でそうした設計になっています。
低学年の子たちがたくさん通うパズル道場もそうですね。
「できなくても考えた分だけ賢くなる」を合言葉にしながら、難しい問題を試行錯誤して解いています。
間違えるのはナイスチャレンジ!
そういうマインドを子どもが持ち続けられるようにサポートしていきたいものですね。
あなたはお子さんが失敗をしたときに、どんな声かけをしてきましたか?
もしお子さんを委縮させるような声かけをしてしまっていたなと思ったら、今からでも遅くありませんので、声かけを変えていきましょう。
もしどんな声かけをして良いかわからなかったら、伸学会のやり方を参考にしてみてくださいね。
それでは。
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