親には言わない子どもたちのホンネ

少し前になりますが、授業のときに5年生の子どもたちに「受験する理由」について聞いてみました。

「行きたい中学校があるから」
「将来のため」
「勉強がおもしろいから」

多くの親御さんはこうした理由が出てきてほしいと期待するのではないでしょうか。
しかし、残念ながらこうした理由は少数派です。
実際に子どもたちが書いた理由はこういったものでした。

筆跡で誰が書いたかわからないようにぼかしてあるので、小さな文字は読めないかと思いますが、左上の方は十分読めますよね。

「親が決めた」「親がきめた」「親の都合」「親がきめた」「お父さんとかにいけといわれたから」「みんなやってるからっておやにいわれた」
などなど、本人の意志ではなく親によって塾に通わされていると言っている子がかなりたくさんいることがお分かりいただけると思います。

「『楽しい』といわないとおせっきょう2時間くらい!最悪」
と書いた子もいます。

大げさに言っているだけな場合がほとんどですが、教育虐待の可能性もあるので、我々も面談などで慎重な対応が必要な案件です。

2時間のお説教が真実かどうかはさておき、この子が「本当は言いたくないセリフを無理矢理言わされている」ということは間違いなさそうです。

真ん中あたりには
「じゅくに入ったらみんなやってたから」「みんながやるから」「みんながするから」「学校のみんなが受験をしているから」「みんながやっている」「兄にあこがれ目指したから」「姉がやったから」
といった感じで、周囲からの影響という回答が並んでいます。

これが一番多数派です。

かく言う私も小学生の頃、学校で塾に通う子が増えて影響されたのが中学受験を始めたきっかけでした。

人間は本能的に周囲からの影響を強く受けます。

行列しているラーメン屋さんには並びたくなりますし、みんながスマホを持っていると自分も欲しくなります。(一部アンチも発生するのも全滅を避けるための種の本能)

受験も同じように、周囲の影響で始めることが多いんですね。

中には「生物部がある所に行きたい」とか「制服がかわいい」とか、中学受験をする前向きな理由を挙げる子もいましたが、少数派でした。

このことは、私たち指導者や親はよくわかっておかなければいけないことです。

挙げられた「子どものホンネ」から考えなければいけないこと

今回この「子どもたちのホンネ」を通じてあなたにお伝えしたいことが3つあります。

それは
「多くの子どもは自分のためではなく親のために頑張っている」
「多くの親は押しつけをしてしまっている」
「やる気や情熱は育てていくものである」
ということです。

本当はやりたくないと思っていても、親が喜ぶから頑張っているという子はとても多いです。

受験校の選択も、親が喜ぶ方を選ぶ子がいます。

受験の合否も、親が喜ぶと自分も嬉しい、親が落ち込むと自分も悲しい、そういう子がいます。

子どもが喜んでいると嬉しいし、落ち込んでいると悲しいという親御さんが多いと思いますが、逆の場合もまた多いです。

なんともいじらしいですよね。

親のために頑張っているけれど、本当は自分ではやりたくないと思っていると、どうしても勉強に取り組めないこともあります。

以前ある保護者さんがこんなことをおっしゃっていました。

「○○が、受験をやめると言いました。
勉強すると機嫌が悪くなり、集中できません。
『宿題をやりなさい、自分で決めた計画はちゃんとやろう』と声かけすると不機嫌になります。
そんな姿を見て、私もイライラして、怒ります。
でも、『そんなに勉強が嫌なら、受験をやめろ、塾をやめろ』と言うと『絶対にやめない』と言う、その繰り返しでした。
どうして受験をしたいのか、受験をしたいのにどうして勉強が嫌なのかを、ちゃんとじっくり考えてみようと、話しあいました。
すると、○○は『ママは受験をした方がいいと思ってるんでしょ?』と何度も聞いてきました。なので、『ママは、○○が受験をしてもしなくてもどちらでも良い。○○が幸せになればそれでいい』と言いました。
すると、『本当は受験なんかしたくないんだ』とポツリと言いました。
私の思いを汲んで、嫌な勉強ここまで頑張って、でも嫌だから、ぐずぐずしてしまって、親に怒られて、受験をやめてしまえと怒られても、絶対にやめないと言ってたんだなぁと思うと、泣けました。」

このご家庭では本人の意志を尊重して中学受験を撤退したそうです。

勇気ある決断で、とても良い判断だったと思います。

ちゃんと話し合いをして子どもの本音を聞き出せたのは素晴らしいですね。

「2時間お説教」で無理やり勉強を楽しいと言わせているようなことが無かったとしても、子どもは親の気持ちを「忖度」して、勉強が楽しいとか受験をしたいとか言うものだということは知っておいた方が良いと思います。

そして、親のために子どもが頑張ってくれているのだとしたら、その頑張りには感謝の気持ちを持った方が良いのではないしょうか。

子どものために働いて、ご飯を作って、掃除をして、洗濯をして、子どもから「親として当たり前でしょ」といった態度を取られたら悲しい気持ちになりますよね。

親のために勉強を頑張っている子どもに「受験生なんだから勉強して当たり前でしょ」という態度を取ったら、子どももきっと悲しい気持ちになると思います。

お互いに感謝の気持ちを持った方が、良い家族関係が作れそうですよね。

また、「みんながやっているから」「親がやらせたいと思っているから」といった理由で受験を始めた子たちに、「自分でもやりたいと思っている」状態になっていってもらうことも大切です。

人のために頑張ることは良いことです。

家族のため、お客様のため、生徒のため、そうした「他者のため」というのは私たち大人にとっても大事なやりがいです。

その一方で、やはり私たちには一人ひとりに好きなこと・嫌いなこと、やりたいこと・やりたくないことがあります。

人のためにやりたくないことをやり続けることは難しいですね。

やったらできたという達成感、成長する喜び、学習そのものに対しての興味・関心、勉強が楽しいと思える理由を見つけて、やる気や情熱を育てていきましょう。

同時に、子どもがどうしても勉強に楽しさを感じず、他にやりたいことがあるなら、方向転換も検討した方が良いと思います。

放っておけばいずれ受験生の自覚が出る・目標が決まるなんて思わずに、しっかりサポートしてあげてください。

子どもは受験をしたいとも勉強をしたいとも思っていないのは普通のことです。

あなたのお子さんは、受験に対して、勉強に対して、どう思っていますか?

まずは子どもの本音を把握することから始めてくださいね。

それでは。

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