うっかりミスってどうやって減らせば良いんですか? 

こんばんは。伸学会の菊池です。

今回の記事はメルマガ読者の方からの「ご相談への回答」です。

読者のTさんからこんなご相談をいただきました。

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算数の計算問題についてですが、うっかりミスを減らすにはどうしたらよいのか、
そしてADHDのような子に繰り返し学習が必要か、させることができるか、ということです。

息子は国語は苦手ですが算数は得意です。
しかし、難しい問題を考えることは好きですが、単調な計算問題を繰り返しすることはとにかく苦手です。
算数オリンピック(3年生はキッズBEE)の問題は楽しそうに説きますが、宿題で出るプリントやドリルが大嫌いです。
このような子に、なんとか無理にでも繰り返し学習をさせることは、本当に必要なのでしょうか?
確かに計算ミスは多いです。×と+を見間違える、ひっ算にするときに移し間違える、繰り上がり繰り下がりを間違える。
どれもタダのうっかりですので、本人はそのたびに自分にいら立ち怒っています。
ただ、これも本人の精神状態にも左右されるようで、自分に自信を無くしていたりイライラしていたりして
不安定な時はうっかりミスも多く、穏やかで安定しているときは比較的少ないようです。
ですから、自分に自信を持たせてあげることが一番なのだろうとは思いますが、
他に具体的に宿題の取り組み方や、計算問題の解き方で、うっかりミスを減らす良い方法はありますでしょうか?

そして息子はいつも、もう計算のやり方を知っているのになぜ何度もやらなくちゃいけないの?と聞いてきます。
私は、計算ミスをしなくなるように、何度も解く方がいいのよと答えていますが、
本当に必要なのか?という思いも正直私の心の中にあります。
計算のやり方さえしっかりと理解できていれば、あとはテストでじっくりと解けばよいのでは?
と思ってしまいます。受験に対する考えが甘いでしょうか?

菊池先生のお考えをお聞かせいただけますととてもうれしく思います。
いつもとてもお忙しいところ大変恐縮です。
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と、こんなご相談でした。

・ADHD気質あり
・算数オリンピックみたいな問題は楽しそうに解く
・宿題で出るプリントやドリルが大嫌い

うん、完全に小学生の時の私ですね(笑)

私も算数オリンピックで銀メダル取れるレベルで難しい問題を解けましたが、
ミスは多いし解くのは遅いしで、
テストではやらかすことも多々ありました。

そして、こんな子ってたぶんめちゃめちゃ多いですよね。

教え子の中にもたくさんいました。

果たしてどうすれば良いのでしょうか?

対策にお悩みの方たちに、
私なりの考えをお伝えしようと思います。

あくまで私の個人的な見解ですから鵜呑みにはしないでいただきたいですが、
1つの意見として参考にしてみてください。


まず、うっかりミスをしてしまう原因についてですが、
子どもはそもそも大人に比べて脳が未発達なので、
大人よりもうっかりミスは多いものです。

その中でもADHDタイプの子は、
ワーキングメモリの成長がゆっくりな子が多いのではないかと思います。

ワーキングメモリは脳の前頭前皮質と呼ばれる部分の働きで、
自己コントロールとも密接に関わっていると言われています。

前頭前皮質の働きが弱めなことが自己コントロール面に表れると、
不注意・多動性・衝動性・こらえ性の無さ・先延ばし癖といったものになります。

そして、不注意がテストでは正にうっかりミスに繋がるということです。

「不安」「焦り」「イライラ」はワーキングメモリを食いつぶすので、
そういうメンタルの状況ではいっそうミスが増えるのは当然のことです。

入試本番で緊張して頭が真っ白というのも、
「不安」や「焦り」が大きすぎてワーキングメモリがフリーズしている状態です。

いつでも能力を発揮できるようなメンタルのトレーニングをしていくことも大事ですね。

伸学会の生徒では、
自分の打順の前にネクストバッターズサークルで瞑想をしてる野球少年とかいましたよ(笑)


ワーキングメモリは年齢とともに育っていくので、
次第に改善はされていきます。

また、マインドフルネス瞑想や運動や楽器の演奏を行うとワーキングメモリが鍛えられると言われているので、肉体的に鍛えていくという方法もあるかなと思います。


じゃあ勉強方向で何ができるか?と言ったら、
反復練習で頭と体にしみ込ませて、
「考えないでも反射的に解き方がわかり手が動く」
のレベルまで持っていくというのが一番の解決策です。

「この問題どうやって解くの?」
にワーキングメモリの容量を持っていかれているから、
「自分はミスをしていないか?」
を考える余力が無くなってしまっているのです。

考えなくても反射的にわかるレベルになっていれば、
前者の「どうやって解くか考える」部分のキャパを空けられますから、
注意力を働かせてミスを減らすことができるようになるということですね。

ですから、「反復練習は必要か?」というご質問に対しては、
「思いっきり必要!超必要!」
というのが答えです。


また、式や図を丁寧に書くというのも効果的な解決策です。

頭の中で考える力(ワーキングメモリ)の弱さを補うために、
情報を式や図に整理しておけばいいのです。


じゃあADHDの子にこれらをやらせられるか?というと、
なかなか難しいです。

特に、反復練習の方は。

その理由は、ADHDの子はこらえ性がないからです。

反復練習みたいな単調でつまらない作業が嫌いなんですよね。

そして、もう1つの理由が「練習したって変わらないんじゃない?」と思っているから。

「練習したら計算が早くなってミスが減った!」
という経験が無いから、そりゃわからないですよね。

計算が速くて正確な子は生まれつきそうで、
自分が計算が遅くてミスが多いのも生まれつきだからしょうがないよ。

そんな風に思ってる可能性が高いです。

ええ、私が小学生の頃はそう思ってました(笑)

でも、これって大間違いなんですよね。

私は今計算が超速いし、超正確です。

20年間も算数の先生をしていて、
毎日生徒の前で算数の問題を解いて解説をしてたら、
めちゃめちゃ計算力がレベルアップしました。

「練習したって変わらないよ。自分は生まれつき遅いんだよ」
という考えが間違っていたことを実証してしまいました(笑)

でもそれは自分の経験だからよくわかることで、
親や先生が子どもに言ってもなかなか納得はできないですよね。

当時の私はそう言われても計算練習する気にならなかったですし。


もし誰か信頼できる先生とか先輩とかから言われて
納得してやる気になってくれるならそれでも良し。

でも、言ってもやる気ならないなら、
好きだという算数オリンピックの問題みたいな
難問に取り組むのを中心に勉強しても良いんじゃないかと思います。

嫌いなことを嫌々やるより、
その方がきっと能力が伸びていくと思いますよ。

そうした難問を解くためにも式や図は大事なので、
まずは難問チャレンジを通じて図や式を丁寧に書くことを身につけさせてください。

そしていずれ「ミスを減らしたい」と本人が強く思ったときに、
解決策として反復練習をするように導いていきましょう。


以上、算数のうっかりミスの減らし方でした。

お役に立てたなら幸いです。


これからも感想メールお待ちしています(^^)

それでは!

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