逆転合格を引き寄せる“戦略”の立て方

きんもくせいの良い香りが街に漂う季節になりました。

この香りをかぐと、受験が近づいていることを感じます。

早いもので10月ももう半ばですね。

伸学会では過去問演習がスタートして約1か月が経ちました。

毎週日曜日に集合して、各自の志望校対策を行っています。

 

伸学会では、この日曜演習にかなりこだわりをもってやっています。

毎年模試で合格可能性20~30%という判定だったところから逆転合格を掴んでくる子たちが何人もいるのは、この日曜演習での対策の成果だと思っています。

私たちのやり方を少しご紹介すると、まずは彼らが解いた問題をその場ですぐに添削し、解説をします。

そして、彼らは家に帰ってから、どうすればその問題が解けたかをまとめてきます。

これは伸学会の用語で「ポイント発見」と呼ばれているものです。


伸学会の宿題の手順書“宿題Navi”。伸学会では、4年生から繰り返しこれを使って、宿題の目的と方法を教え込まれます。

さらに、それをふまえた上で、合格するための作戦を考えさせます。

これは伸学会の用語で「合格への戦略」と呼ばれています。

基本的にみんなバラバラの過去問を解くので、スタッフたちも予習などの準備や提出された「ポイント発見」「次回への戦略」のチェックがかなり大変です。

でも、過去問を解き、その学校の出題傾向に合わせて対策をすることはとても大切なことなので、労を惜しまず頑張っています。

 

さて、今回はこの「合格への戦略」について掘り下げてみようと思います。

普通はこの時期に過去問を解いても、合格点には到底届きませんよね?

では何のためにやるかというと、自分に足りないもの見つけ、改善策を決めるためです。

良い結果を引き寄せるためには、良い行動を積み重ねていかなければいけません。

そのための振り返りの様子を、前回のコラムでは動画で公開しましたが、もうご覧になりましたか?

あらためて見てみてほしいのですが、この枠組みでは、右側に次回に向けて改善したいことまたは維持したいことを書いてあります。

そして、上段と下段は内容によってわけられています。

上段には「次回までに練習すること」、下段には「次回そのときに気をつけること」が書かれています。

少し堅い言い方をすると、上段は“戦略”であり、下段は“戦術”です。

どちらも大切なものですが、より重要なのはどちらかおわかりですよね?

もちろん上段です。

次回の過去問までに1週間かけて、あるいは次回の模試までに1か月かけて練習することの方が、次回そのときに計算ミスをしないように注意することや時間配分に気をつけることよりも結果を大きく左右するのは明らかです。

しかし、実際にこのワークをやらせると、子供たちは最初は上段をあまり出せません。

特に、成績が悪い子ほど「問題文をちゃんとよむ」のような下段の内容を改善点として言う傾向がはっきりあります。

念のためお伝えしておくと、これは真面目か不真面目かとは関係ありません。

やる気が無いからその場しのぎの解決策しか挙げないのではなく、「こういうことができるようになりたい」「そのためにこの練習をする」という目標設定とそのための計画を立てる技術が低いのです。

真面目に勉強をするのになかなか成績が上がらない子は、この技術が低いためにピントの外れた勉強をしてしまっている可能性が高いです。

・うちの子やる気はあるんだけど、何をしていいかわからないみたい。
・ちゃんと頑張っているのに成績が上がってこなくて、見ていてかわいそう。

そんな風に考えたことはありませんか?

もしあるなら、ぜひこの振り返りのワークをしてみてください。

お子様の「行動」や「考え方」に何が足りないかきっと見えてくると思いますよ。

文責:伸学会代表 菊池洋匡

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参考文献:ハイディ・グラント・ハルバーソン『やってのける――意志力を使わずに自分を動かす』大和書房、2013年

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