ノートを取ると成績が下がるぞ

何かを覚えておきたいとき、メモを取る人は多い。
でもそれではかえって逆効果になる、という研究結果が発表された。
(中略)
カナダのマウント・セント・ヴィンセント大学のミシェル・エスクリットとシエラ・マーは、学生グループを集めてトランプの「神経衰弱」ゲームを用いた実験を行った。
同じ絵柄の2枚の位置を記憶したあと、カードは裏返して置かれる。
プレイヤーはカードを1枚めくってはそのたびに、そのカードと対になるカードの位置を思い出さなければならない。

実験では、記憶のために与えられた時間中、半数の学生にはカードの位置と正体について紙にメモをとる機会が与えられた。
そのほかの学生たちは、元から備わっている記憶力に頼るしかない。
また、与えられた時間が過ぎると、メモをとっていた学生たちのメモは没収されてしまう。

両グループはさまざまなカードの位置と正体についてテストされた。
そして結果としてわかったのは、メモをとっていたグループの方が、カードの位置を思い出すことについて、ずっと成績が悪かった、という事実だ。

「メモをとっていたグループの方が、カードの位置と正体に関して、優れた記憶があるはずだと予測された人もいるかもしれません」と、研究者たちは語る。
でもそうはならなかった。
メモをとった学生たちは、記憶の貯蔵に外部形式の技術を頼るあまり、彼ら自身の神経シナプスは、何もせずにいたのだ。

読者諸兄には、ぜひこのことをメモして欲しい(いや、実際にはメモにとらずに、単に覚えていて欲しい)。
メモを取れば、あなたの記憶をむしばむ。
あなたの脳を救うには、鉛筆を置き、メモ帳から離れよう。
(※赤字・下線などの強調は伸学会)
参照:メモを取っても記憶は定着しない:研究結果

 

なんということでしょう、メモを取ると記憶力が下がるなんて!

じゃあ授業を受けるときにはノートは書かない方が成績が上がるのですね!?

ノートを取るのが嫌いな子達(男子の86%が該当)に教えてあげたら、大義名分を手にして大喜びしそうです!

ちなみに私も会議のときにはメモを書くのは嫌いです。

これで堂々とメモを取らずにいられます!

 

と、まぁバカなことを言ってみましたが、まさか本気にしないで下さいね。

「覚えるため」という目的でノートを取ることはかえって害になるという話です。

これは伸学会でも繰り返し生徒に指導しています。

綺麗で美しいノートを作っても記憶には残らないぞ!と。

だからといって、ノートを取らなくて良いということではないのです。

 

一言でメモやノートを書くと言っても、その目的は様々です。

私たちが重視している目的は主に以下のものです。

1.一過性の、すぐ流れる情報をワーキングメモリを超えて留めておく

人間の脳が一時的に覚えることができる情報は、平均して7つ程度です。

これは成績の良し悪しには関係ありません。

どんなに頭が良くてもそれ以上は覚えられないのです。

そのため、例えば問題文が長かったりして情報が多い時には、図や式にして整理する必要が出てきます。

手を動かさない子は複雑な問題は解けません。

だから私たちは、ノートに書きながら問題を解くように指導しています。

 

2.想起した際の「解答」として使う

一時的な記憶を超えて長期保存される記憶にするためには、「想起(=思い出し)」を繰り返すことが必要です。

でも、その想起した内容が正しかったかどうか確認できなければ、間違えて覚えてしまうかもしれませんよね。

だからノートが必要なのです。

この目的であれば、例えばテキストに書いてあるようなことはノートに書く必要は無いかもしれません。

ちゃんと解答が存在するのですから。

でも、テキストに載っていない裏技や豆知識を先生が授業で話したりしたら、ノートに残す必要がありますね。

会議であれば模範解答などはありませんから、議事録が必要なのは言うまでもありません。

 

3.難しい内容を要約(意味理解)を挟んでアウトプットする

私が日々ブログやらこういうコラムやらを更新している理由がこれです。

誰かに説明しようとすると、自分の理解が深まります。

子供にやらせるのはなかなか難しいものですが、少しずつやらせています。

 

ということで、ノート1つ取ってみても、いろいろな目的がありそれに適したやり方があります。

子供に「ちゃんとノートを取りなさい」と言っても、「ちゃんと」の中身を明確に伝えなければできるわけがありません。

下手をすると一番最初に引用した記事のように「覚えるためにノートを書いて、かえって記憶に残らない」なんていうことも起こりがちです。

正しい勉強のやり方、具体的に教えてあげましょう。

 

文責:伸学会代表 菊池洋匡

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