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勉強をするときに、覚えたかどうか自分で確認テストをしますよね。
もし満点が取れなかったらそのときに、、
1:テキストの該当範囲を全て読みなおしてから、間違えたところを解きなおし
2:テキストの該当範囲を間違えたところを読みなおしてから、テストを全て解きなおし
最近の研究によると、似たようなこの2つのやり方で、1週間経ったときに記憶に残っている量が実に倍ほども違うそうです。
はたしてどちらのやり方が記憶に残る学習法か、あなたは自信をもって答えられますか?
そして、あなたのお子様は勉強のときに間違ったやり方はしていませんか?
何を隠そう、私は悪い方のやり方をしている人間でした。
そして実は、伸学会のスタッフたちの勉強法を聞いても、悪いやり方をしている人間が多数派でした。
それもそのはず、この研究が専門誌に発表されたのは2008年のことです。
それまでは悪い方のやり方が、むしろ良いやり方と信じられていました。
きっと現在もそのやり方を勧める学校・塾が多数あることでしょう。
もし私が学生時代にこの事実を知っていたら!
きっとあれほど英単語を覚えるのに苦しむことは無かっただろうに!!
あなたも、そしてあなたのお子様も、自分では賢いやり方をしているつもりで、気付かずに私と同じ失敗をしているかもしれません。
・覚えたはずなのに記憶に残らない・・・
私達がどんなに頑張って勉強したとしても、脳のメカニズムに合致したやり方をしていなければ、、、
脳はせっかく覚えた知識を不要なものとして記憶から削除してしまいます。
しかも、自分ではそのメカニズムに合致していないと気付いていない場合が多いので要注意です。
本当はもっとできるはずなのに、やり方が悪いせいで記憶に残らず苦しんでいる子はとっても多いのです・・・
もちろん、本当に物覚えが悪いとか、そもそも勉強時間が足りていないとか、そんな理由で成績が悪い場合もあるでしょう。
でも、そうではなく、知っていれば簡単に直せるような、ちょっとした勉強のやり方の間違いのせいで成績が上がらないのは、バカらしいと思いませんか?
そんなその子の資質とは関係ない、ほんのちょっとしたことで結果を残せなくて、落ち込んだり悲しんだりする。
それほどバカらしいことはないんじゃないでしょうか?
米・ソーク研究所チームがライフサイエンス紙「eLife」で発表した論文によれば、脳の記憶容量は1ペタバイト(100万ギガバイト)あるそうです。
これはHD品質の映像約13年分、通常の画質の映像約114年分、映画約50万本分に相当するそうです。
これだけの容量があれば、受験に必要な知識が全て詰まったテキスト数十冊を丸暗記することなど容易いはずです。
人は本来誰もが天才なのです。
にもかかわらず、現実には人によって大きな差が生まれる。
有名難関校に受かる子達は何が違うのでしょう?
それは主に、やり方の問題なのです。
・脳が重視するものを知る
話を最初に戻して、1と2のやり方はどちらの方が記憶に残るのでしょうか。
それを示す実験を、パデュー大学のカーピック博士がワシントン大学の学生を対象に行いました。(※)
スワヒリ語を40単語、繰り返しテストをしながら覚えてもらうという実験です。
学生たちを2つのグループに分け、一方は間違えたものがあったら全て覚えなおし、もう一方は間違えたところだけを覚えなおします。
そしてさらに、それぞれのグループを半分ずつに分け、一方は再テストをするときには全ての問題を解きなおし、もう一方は間違えたものだけを解きなおします。
つまり組合せとしては以下のような4つの組み合わせになるわけです。

カーピック博士は学生たちに、満点が取れるようになるまで覚えなおしと再テストを繰り返させました。
どのグループも全て覚えるまでにかかった回数はほとんど変わらず、4~5回も繰り返せば皆満点が取れるようになりました。
時間や手間という点では、間違えたものだけ覚えなおして再テストをする方が賢いと思われるかもしれません。
しかし、1週間後に抜き打ちでテストを行ったところ、結果には大きな差が表れました。

手間を惜しまず全て覚えなおし、全て再テストをしていたAグループは1週間経っても40問中平均して約32問正解したのに対し、要領良く間違えたところだけをやっていたDグループは半分以下の14問ほどしか正解できなかったのです。
そして、残りの2グループ、BとCですが、この2つも驚く結果でした。
一方はAとほぼ同じスコア、もう一方はDとほぼ同じスコアだったのです。
どちらがAと同じく優秀なスコアだったか、あなたはわかりますか?
予想してみて下さい。
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結果は・・・

成績が良かったのはCのグループでした。
あなたの予想は当たっていましたか?
・違いをもたらす違い
この実験結果から、人は「覚える」ということをしても記憶にはのこらず、「テスト」を行うことで記憶が定着するのだということがわかります。
脳の仕組みはインプットよりもアウトプットを重視する、しかも私達の考えるよりもだいぶ偏重しているのです。
アウトプット=再テストのときに手間を惜しまないこと、それが「違いをもたらす違い」になるのです。
さて、冒頭の2つのやり方ですが、それぞれBとCに対応するようなやり方になっています。
私を含む伸学会のスタッフでは、1(B)のようなやり方かDのようなやり方をする人間が多数派でした。
大切なアウトプットで手抜きをしてしまう、勉強のやり方が間違っている人間だったということです。
あなたはこんな間違いをしていませんでしたか?
もしかしたら、こんなことはあなたにとっては常識で、あなた自身は正しいやり方をしていたかもしれませんね。
しかし、あなたのお子様は大丈夫ですか?あるいは、お子様の周りにいる先生たちは?
研究熱心な先生なら大丈夫かもしれませんが、伝統ある学校・伝統ある塾においては、伝統的な昔ながらのやり方を大事にしてしまっていることが多いものです。
・こんなちょっとした勉強のやり方のルールを知らないばっかりに
覚えても覚えてもすぐに忘れてしまったり、成績が上がらず落ち込んだり
それって本当にバカらしいことではないでしょうか?
正直、私は自分がやってきた勉強の方法が、今でも残念でしかたありません、、、
これ以外にも、「ちょっとしたコツ」が本当にたくさんありました。
以前書いた「ランダム学習」のこともそうです。
こういったことを知らなかったせいで、どれだけの時間を無駄にし、どれだけの成果を逃してきたかと思うと、考えるだけで悔しくなります。
そして、こういったことを私自身が調べたり学んだりせずに誤った指導を続けていたら、自分が知らないところでどれだけの生徒に迷惑をかけていたかと思うと、想像するだけでゾッとします。
もし、あなたも私と同じように、子供の成長を願っているのなら。
子供の頑張りを結果につなげてあげたいと思っているなら。
ただがむしゃらにやらせるのではなく、正しい勉強のやり方を身につけさせるのが良い作戦だと思います。
それもできる限り早い時期に。
文責:伸学会代表 菊池洋匡
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