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こんばんは。伸学会代表の菊池です。
私の著書
「やる気」を科学的に分析してわかった小学生の子が勉強にハマる方法
が、また増刷になると出版社の編集さんから連絡がありました。
今回で第6版となり、累計2万1000部になりました。
2万部の大台突破です!
応援してくださった皆さんのおかげです。
ありがとうございます(^^)
増刷を記念して、
本の内容の一部を無料公開しようと思います。
今回の内容は第4章4節の元原稿です。
校正前の原稿ですから、
実際に本に掲載されているものとは若干異なります。
すでに本を購入済みのコアな伸学会ファンの方は、
元原稿の内容と本の内容との違いを「間違い探し」感覚で探して楽しんでみてくださいね(笑)
購入済みの方もまだご購入でない方もお楽しみください(^^)
—
目次
ご褒美作戦に対して不安を感じるのはもっともだ
「ご褒美でつって勉強させて良いのかしら…」
多くの方がこういったお悩みを抱えています。
その主な理由は、「ご褒美が無かったら勉強しない子になってしまうんじゃ…」という不安です。
確かにその不安も半分は正解です。
「今度のテストで頑張ったら○○を買ってあげる」(親)
「やった!頑張る!」(子)
そう言ってテストに向けて頑張ったと思ったのも束の間、ご褒美をゲットしたらその後はすっかりやる気をなくして元通り。
そんな話はそこかしこにあふれていますものね。
しかし、上手くいかない「ご褒美作戦」は、やり方が悪いのです。
これからお伝えするトリセツを参考に、上手なご褒美作戦でお子さんのやる気を引き出してあげてください。
ご褒美作戦の失敗① 目標に反するご褒美にする
「ダイエットに成功したら自分へのご褒美にケーキ食べ放題に行くんだ♪」
そんなことを言っている友人がいたら、あなたはどう思いますか?
「それ、ダイエットがパアになるんじゃ…?」
そんなツッコミを心の中でいれたくなることでしょう。
これと同じような失敗をしているご家庭がたくさんあります。
勉強を頑張るご褒美としてゲーム機やスマホを与えるというものです。
間違いなくそれを買ってしまったら、その後の誘惑によって勉強時間が減ることになります。
「1日〇時間という約束をすれば…?」
守りませんよ、そんな約束。
それを守れるような子だったら、ご褒美なんかなくてもちゃんと勉強します。
目の前の誘惑に負けて勉強できないような子だからご褒美が必要だという事実を忘れないでください。
・目標を達成できたらどこかに遊びに連れていく(それ1回きりだから大丈夫)
・好きなものを食べに連れていく(晩ごはんに好きなものをリクエストできるでもOK)
といった、その次の目標に向けた行動の邪魔にならないご褒美にしましょう。
ご褒美作戦の失敗② 報酬を大きくしすぎる
報酬は、「バッグ」「靴」といった、何か大きなものでないといけないと思っていませんか?
「大きな景品でなければ子供は動かない」と思って、子供を毎回大きな餌で釣ろうとすると、先に大人が音を上げることになります。
そんな大きな買い物を毎回するわけにはいかないですからね。
そうして大人が諦めて「もうご褒美は無理」と言った時に、子供は「じゃあもうやらない」となってしまいます。
これは避けたい状況です。
そこで解決策ですが、ご褒美は小さなものにすることです。
シール一枚や10円お菓子でも子供には十分です。
下手に高価にして、「インフレ」させるより、小さいものをコツコツあげましょう。
ご褒美作戦の失敗③ 報酬のハードルを上げすぎる
大人は「夢はでっかく、だけどハードルも高く」を選びがちですが、これは無意味です。
なぜなら、大きくてご褒美のために前々からじっくり頑張れる子供には、そもそもご褒美作戦の必要はあまりないからです。
まだ未来のために頑張るイメージも、その成功体験も十分につかめていない子供には、「絵に描いた餅」でしかありません。
目の前のことにしか頑張れない子を、正しい方向へ導いてあげることがご褒美作戦の本質なのです。
「正しい方向はこっちだよ」と、小さい巻き餌で連れて行ってあげるのです。
報酬はすぐ目の前に設定しましょう。
ハードルが低すぎることは問題になりません。
むしろスモールステップと言って、細かな成功体験を積み上げ続けられるので良いことです。
回数が増えても対応しきれるよう、一回あたりのご褒美は小さくしましょう。
ご褒美作戦の失敗④ 回数が少ない
ご褒美作戦のゴールは何かといえば、ご褒美がなくても行動できるようになることです。
だからと言って、必要最小限にとどめようとして一回きりにしては、意味がありません。
ご褒美なしでも行動できる状態とはどういう状態かというと、
「やってみた結果、ご褒美以外のやる意味がわかってきた」
「繰り返し取り組んだことで、やることが当たり前になった」
という状態のはずです。
ご褒美以外のやる理由が見つかるまで、簡単にやめるわけには行きません。
回数を積み重ねて、やることが当たり前の状況を作りたいのです。
伸学会では、宿題や学習記録をちゃんとやると、ポイントがもらえてお菓子や文房具と交換できます。
4年生では完全にお菓子欲しさで学習していた子供が、徐々にお菓子に興味を持たなくなっていきます。
6年生の後半で宿題チェックする際に、お菓子ポイントへの換算を意図的にサボってみたことがあるのですが、生徒誰1人として文句も言わず、宿題の取り組みも変わりませんでした。
徐々に離陸していくものなのです。
ご褒美作戦の失敗⑤ そもそも不要なところに報酬を出す
頑張っている子供を見ると、つい嬉しくなってご褒美をあげたくなりますよね。
ただ、ここには注意が必要な落とし穴があります。
ご褒美を設定したせいで、かえってやる気を失わせてしまうことがあるからです。
これは心理学でアンダーマイニング効果と呼ばれています。
アメリカの心理学者エドワード・L・デシがこんな実験を行ってアンダーマイニング効果を確認しました。
- 大学生を対象に、ブロックを組み立てて形をつくるパズルを解かせた。
- そのとき学生を2つかのグループに分けて、片方のグループには、パズルを解けたら賞金を出すことにしました。もう一つのグループには、報酬なしで取り組ませました。
- 30分ひたすらパズルを解いてもらったあと、実験者はデータ入力のためと言って部屋から出ていき、休憩時間となりました。実はこの休憩時間が実験のメインで、学生たちは行動を撮影され観察されていました。
- 実験者がいないので、この休憩時間はパズルを解いても報酬がもらえません。すると、もともと報酬が無かった方のグループでは、暇つぶしに引き続きパズルを解いて楽しむ学生たちがたくさんいた一方で、賞金を提示されたグループは、賞金が出ない休憩時間にはパズルを解こうとしなくなりました。
このように、報酬が無くても取り組むようなものに報酬を出すと、それが無くなったときにはやる気を失うのです。
このようなアンダーマイニング効果が起こるのは2つの条件がそろっている場合です。
1つ目の条件は、あらかじめご褒美が予告されていた場合。
2つ目の条件は、それが物的なご褒美だった場合です。
ですから、勉強を頑張っている子に、「次のテストでも頑張ったらご褒美」はダメですが、「この前のテストで頑張ってたからご褒美」は大丈夫です。
また、ご褒美の中身がお金やモノではなく、褒め言葉などであれば、それもまたアンダーマイニング効果は起こりません。
もしあなたが頑張っているお子さんにご褒美をあげたくなったら、「次も頑張ったら」ではなくすぐにあげてしまってください。
まとめ
こまめに、小さいご褒美をたくさん用意する。
達成のハードルはできるだけ 下げる。
ハードルを上げるなら徐々に。
報酬はモノでなく「ほめ言葉」でもよい。
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こちらの内容は
『 「やる気」を科学的に分析してわかった小学生の子が勉強にハマる方法 』
の一部です。
勉強を楽しくしてあげたい方は、ぜひ本屋さんで手に取ってみてくださいね。
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