STEM教育って何?を簡単に解説!


最近話題のSTEM教育って何か説明できますか?

おそらく、「言葉だけは知っています。なんとなくだけど理数系教育のことでしょ?」というぼんやりしたイメージの方が多いんじゃないでしょうか。きっと、STEM教育とは実際のところ何なのか、また、それがなぜ重要なのか、を明確に説明できる方は少ないだろうと思います。
そこで、今回はSTEM教育について、簡単に解説をしようと思います。

まずは、この記事に興味を持ってもらうために、なぜSTEMが重要なのかを最初にお話しようと思います。
これからの時代、計算なんてAIがやってくれるから、理数系の教育なんて必要なくなるんじゃない?
そんなことを考えていませんか?

 

計算はAIがやってくれるようになるというのはその通り。でもそれは決して良いことだけではありません。
確かに今現在人間が必死にやっている程度の計算なんて、例えば会計帳簿をつけたり資産価値を計算したりという税理士や銀行員がやっているようなことなんて、全てAIがやってくれるようになります。
しかし、それで仕事が楽になるということではありません。
そうなると、企業は人を雇うよりもAIを購入・導入した方が安上がりですから、人はどんどんAIに仕事を奪われることになります。
そして残念ながらAIに奪われる仕事は計算だけではありません。
AIが書いた小説が、すばらしくよくできていて、読んだ人を感動させたなんてニュースも一時話題になったのをご存知ですか?
執筆や作詞・作曲などの創作活動すらもAIにとってかわられる時代がもう目の前に迫っています。
だから、AIに任せて楽をしようという発想は大間違い。
「AIがやってくれるから働かなくていい」=「失業」です。
この先社会から仕事がどんどん無くなっていきます。
社会はあなたのお子さんを働き手として必要としなくなっていくのです。

ところがそんな中で、減るどころかむしろ需要が増え続けることが確実視されている仕事があります。
それがIT系の仕事、要するにAIを作る側の仕事です。
AIと闘う側ではなく、AIに闘わせる側の仕事と言っても良いかもしれません。

 

日本はコンピューターをはじめとした科学技術系の教育が、欧米に比べて段違いに遅れています。
アジアの中においても、IT系の人材の最大の供給源といえばインドです。
この分野では日本は後進国なのです。
そのため、現時点においても既に、高度なスキルを持ったIT人材は慢性的に不足しています。
ということは、AIやロボットが爆発的に普及していく近未来では、人材不足がさらに深刻化していくということです。
つまり、あなたのお子さんがITスキルを身につけられれば、少なくとも「仕事が無くて食べていけない」なんていう事態は避けられます。
それどころか、人工知能、遺伝子工学、ナノテクノロジー、そしてロボット工学のような最先端テクノロジーに関わるSTEM領域の高度なスキルを身につけられたりしたら、日本だけでなく世界中から引く手数多になります。
GoogleやMicrosoftなどの世界企業から高額のオファーが舞い込んでくることも、非現実的な話ではありません。
ちなみに日本とアメリカのIT企業の平均年収ランキングは以下の通りです。


出典:http://nomad-salaryman.com/it-engineer-salary


出典:https://www.businessinsider.jp/post-854

かつては、弁護士や会計士といった難関国家資格を持った専門職が、高収入であり憧れの職業でした。
これからの時代は、STEM専門職がそのポジションにくるのです。

ここまでは理解していただけましたか?

 

では次に、弁護士や会計士といった専門職になるための勉強とSTEM専門職になるための勉強の大きな違いについても説明しておきたいと思います。
その違いとは、STEM専門職になるための勉強、つまり理数系の学問は「一発逆転が絶対にできない」ということです。
例えば弁護士になるための勉強を考えてみましょう。
確かに難関資格ではありますが、その試験内容である憲法および法律は、本格的に学習するのは誰もが大学からです。
小中高の勉強では憲法のほんの端っこをかじる程度。
つまり全員志したときに初めて、ほぼ0から勉強を始めるのです。
ですから一発逆転があり得ました。
ハードルは高くなりますが、試験に合格していけば、極端な話中卒の人でも弁護士になることができました。(法科大学院ができる前の時代です)
それに対して、理数系の学問は、基礎から知識を積み上げることで内容がどんどん高度になっていきます。
高校生レベルの「メンデルの遺伝の法則」でつまずいていたら遺伝子工学なんて学べませんし、「ボイル-シャルルの法則」がわからなかったら熱力学や材料力学がわからないからロボット工学なんて専攻できないですよね?
実際私は小泉先生や間崎先生や白木先生(それぞれ建築系やらロボット系やらの工学部)の大学での勉強の話はさっぱりわかりません。
彼らの勉強の内容を理解しようと思ったら、その前提となる高校の科学から学び直さなければならないのです。
これらを比べてみれば、理数系は一発逆転が無い、つまり小さいうちから興味を持つようにしむけて、しっかり勉強するように育てる必要がある、ということがはっきりわかっていただけたと思います。

ここまででSTEM教育の重要性と、小さいうちから興味を持たせて積み重ねさせることの必要性をお話ししました。
そして、この長い記事をうんざりせずにまだ読んでくれているということは、きっとSTEMについて興味を深めていただけたのだろうと思います。
そこで、まだ読んでくれている教育熱心なあなたのために、ぼんやりよくわからなかったであろうSTEMの中身について、ここから詳しくお話しします。

 

STEMとは、Science, Technology, Engineering, Mathematicsの頭文字です。

まず理数系の学問の基礎となるのがScienceです。
ものごとの原理原則を解明する学問です。
例えば、「ものが燃えるために必要な条件はなんだろう?」という問いを持ち、その答えを見つけるために様々な実験や分析を行います。(せっかくなので6年生の保護者の方はお子さんに燃焼の条件を3つとも答えられるか聞いてみてくださいね)

その次にくるのがEngineering(工学)です。
Scienceによって解き明かした原理原則を用いて、再現性が高く、かつ人間がコントロールしやすい状態を作り出す学問のことです。
「好きなときに火がつけられる仕組みを作ろう」といったように、そこには必ず目的が存在することが特徴です。

そしてTechnology。
これは知識の実用化です。
Engineeringの集大成として生まれる結果を指します。
マッチやライター、ロケットエンジンなどがTechnologyに該当します。

Mathematics(数学)は、これらScience、Engineering、Technologyの3つの領域で共通して使われるツールです。
もちろん、プログラミング(Engineeringに該当)をする際にも数学の知識は必須です。

つまりまとめると、Technologyによって、世の中を便利に豊かにするというのが最終ゴールです。Technologyを生み出すために、MathematicsとScienceとEngineeringと、そしてTechnology自体も学ぶのです。

実際にそうして生み出されたTechnologyの例が、例えばスマートフォンやタブレットであり、インターネットであり、一昔前の世代であれば車や洗濯機やテレビだったわけです。
スマートフォンなどはTechnologyが産んだTechnologyの良い例ですね。
元々タッチパネルはそれ以前から存在しましたし、携帯電話も存在しました。
それらが組み合わさることで、新たなTechnologyが産まれ、そして爆発的に普及しています。

このように組み合わせることで新たなTechnologyが産まれることが今後増えていくでしょう。
なぜなら、Technologyが増えれば増えるほど、その組み合わせ方はもっととてつもなく多くなっていくからです。

そうやってSTEMを学ぶことで、子供はTechnologyを生み出し世の中を便利に豊かにできる大人に育ちます。
それはつまり、あなたのお子さんは、AIでは代替できない存在、社会で必要とされる存在になるということなのです。

 

「STEMって何?」
「なんでそんなに重要って言われてるの?」
「そんなに早いうちからやらせる必要ってあるの?」

そういった疑問は解決できたでしょうか?
ここまで書いてきたような理由から、私は英語教育などよりSTEM教育の方がずっと大切だと考えています。

そこで、伸学会ではこれらSTEM教育の最初の一歩目として、理科実験教室(Science)、ロボットプログラミング教室(Engineering)、パズル道場(Mathematics)を開講しています。
パズル道場はもう開講して3年ほどたち、生徒・保護者ともに認知してくれるようになってきました。
算数・数学好きになる下地作りができている手応えが感じられています。
一方、理科実験教室とロボットプログラミングは、昨年始めたばかりということでまだまだ認知度も低く、生徒も少ない状況です。
しかし、これらの教育、特にプログラミングは時代の要請であり、子供たちが近い将来において社会に求められる人材になるために欠かせないものです。
日本の小学校では2020年からプログラミングが必修化されますが、それまでの2年間をただ待っていてはIT先進国から遅れをとるばかりです。
ゆとり教育はまだ終わっていないのです。
世界で戦える子に育てるために、このプログラミング教室もしっかり盛り上げていこうと思います!

と、意気込んではいますが、とはいえこの学習の初期段階では、とにかく楽しませることが大切です。
実際の授業はこちらもあまり熱くなりすぎず、本人たちが興味を持って「もっとやりたい!」と思うように導くことを大切にしています。
そうすれば、のめりこんだ子供は勝手に試行錯誤して学び、スキルアップしていってくれますから(^^)

理科実験教室とロボットプログラミング教室の楽しそうな様子はこちらから動画で見られますよ。
ぜひ見てみてくださいね。
重曹ロケットの実験:

荷物運びロボット:

4足歩行ロボット:

ロボットプラミング講座は通年になっていて、新年度は4月からスタートします。
新年度の体験会は3月17日か24日を考えています。
体験会のご案内は近いうちに載せますので、興味がある方はしばらくお待ちくださいね。

また、現在の伸学会に唯一無いものがTechnology教育です。
VRやドローン、3Dプリンターといった最新の機器に実際に触れてもらい、てきるだけ身近な存在だと感じてもらうことからTechnology教育は始まります。
そしてそこをとっかかりにして、「どうやって動くのか?」というEngineering、さらには「どういう理論なのか?」というScienceに興味を繋げていくことができます。
これらの機器もいずれ伸学会に導入し、それを使って面白い指導ができればと考えています。

以上、簡単にわかるSTEM教育でした。
ぜひお子さんを理系好きに育てていきましょうね!

文責:伸学会代表 菊池 洋匡

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参考:神野元基『人工知能時代を生き抜く子供の育て方』ディスカヴァー・トゥエンティワン (2017/4/20)