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人は何か行動を起こそうとするとき、
その行動が「できそうか」を考えます。
そして、「できそう」であれば行動しますが、
「できそうにない」であればなかなか行動にはうつれない、
という傾向があります。
だから、何かにチャレンジさせるにあたり、
「できそう」という感覚をもたせることが必要なのです。
ところが、同じような能力なのに、
同じような事柄に対して、
「できそう」と考える人と
「できそうにない」と思ってしまう人がいます。
なぜでしょう?
それは自分に対する信頼感や有能感の差です。
この自分に対する信頼感や有能感のことを
「自己効力感(self-efficacy)」
と言います。
カナダの心理学者アルバート・バンデューラによって提唱された心理学用語です。
子供に勉強を促すためには、
この「自己効力感」を高めてやる必要があるわけです。
では、自己効力感を高めるためには、
何をすればよいのでしょう?
その具体的な指導法を持っているかどうかが、
塾として、親としての指導力の差になります。
まず自己効力感は、
主に下記のような源泉によって形成されるといわれています。
1.達成体験:自分自身で行動して、達成できたという体験のこと。
これが最も自己効力感を定着させるとされています。
2.代理経験:他者が達成している様子を観察することによって、「自分にもできそうだ」と予期すること。
自分自身が直接体験できる範囲は限られていますので、
物語文や伝記、あるいは受験体験記を読むことによる
代理経験は大きな意味を持ちます。
3.言語的説得:達成可能性を、言語で繰り返し説得すること。
しかし、言語的説得のみによる自己効力感は、
すぐに消えてしまうといわれています。
そこで、自己効力感を高めるために、
伸学会ではホームルームでこちらにあるような作文を書かせています。
お題は「これまでに比べてできるようになったことと、これからできるようになりたいこと」
こうして、自分ができるようになったことを探して書かせます。
勉強をしていて、
目標を100%達成することなどなかなかできません。
そして、達成できなかったときには、
保護者も子供もできなかった方に目が行きがちです。
特に保護者の方はそうかもしれません。
90点取れたことよりも、
ミスした10点に目が行って叱ってしまったりしていませんか?
もちろんできなかったところに対しての反省は必要なこと。
でも、それ以上に、
できたことに達成感を感じることの方が子供には必要なのです。
特に、成績が悪い子、
なかなかできるようにならない子ほど、
できるようになったところを探して
達成感を持たせてあげることは大切なことです。
失敗を成功の母にできるのは、
すでに成功体験を積み重ねて自己効力感が高い人だけ。
多くの子にとって、失敗は失敗の母になります。
失敗をすればするほど自信を失くして、
次への行動ができなくなるからです。
そうならないように、
同じ出来事・行動の評価を変えさせ、
達成感を持てるように導いていかなければいけません。
だから、この作文のように「自分ができるようになったこと」を探して書かせ、
達成体験の確認作業をさせることが必要なのです。
他人が褒めて達成感を持たせることも必要ですが、
こうやって自分で自分を認めてあげることも、
同時にとても大切なのです。
「やればできるんだから頑張ろう」
などと言語的説得をして自己効力感を持たせたところで、
あまり大きな効果はありません。
自己効力感を定着させるためには達成体験をさせましょう。
その体験をさせるため、
あるいは気付かせるために、
子供に何をさせれば良いでしょうか?
他にはどんなアプローチがあるでしょうか?
考えてみてくださいね。
文責:伸学会代表 菊池洋匡
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