なぜ割合と速さが苦手になるのか?

「割合と比」「速さ」といえば中学入試超頻出の単元。

 

そして苦手にする子が多い単元でもあります。

 

残念ながら、これらが苦手だと中学受験はもはや負け戦と言っても過言ではありません。

 

 

それは子供もお母さん方もわかっていて、

 

なんとかしようとはしているのですが、

 

なかなか克服できずに悪戦苦闘します。

 

 

一度苦手になってしまったら、

 

それを挽回するのは並大抵のことではできません。

 

 

では、この2つを得意にするためにはいったいどうすれば良いのでしょうか?

 

 

その答えが「割り算の概念を正しく教える」ことです。

 

 

「割り算」には2つの意味があります。

 

1つは「等分除」という概念。

もう1つは「包含除」という概念です。

 

○○○○
○○○○
○○○○

3×4=12個の○があります。

 

これらを3つの固まりに等分するのが「等分除」。

 

○○○○
――――
○○○○
――――
○○○○

 

1つの固まりあたり4個ずつになります。

 

これに対し、3個ずつの固まりがいくつ作れるか考えるのが「包含除」。

 

○|○|○|○
○|○|○|○
○|○|○|○

3個ずつの固まりが4つ作れます。

 

数式にすれば同じ「12÷3=4」ですが、その意味は異なるのです。

 

 

そして、「割合」とは、ある数をもとにしたとき、

 

比較する対象はもとにする数いくつ分にあたるかを考えるものです。

 

 

(第一用法)くらべる量÷もとにする量=割合
(第二用法)もとにする量×割合=くらべる量
(第三用法)くらべる量÷割合=もとにする量

 

教科書にはだいたいこのように公式が載っています。

 

第一用法の割合を求める割り算は上記の「包含除」に、

 

第三用法の元にする量を求める割り算は「等分除」に対応しています。

 

 

「割り算」自体の意味がしっかり理解できていれば、

 

これら「割合」という単元の意味も理解できます。

 

 

さらに、「速さ」とは、時間当たりの変化の「割合」を考えるものです。

 

距離÷速さ=時間
速さ×時間=距離
距離÷時間=速さ

 

と3つの公式がありますが、

 

それぞれこの順に割合の第一用法~第三用法に対応しています。

 

順序としては、まず最初に3番目の式で

 

「『距離』を『時間』で等分した単位時間あたりの変化が『速さ』である」

 

ということを「速さ」の定義として学び、

 

その後に他の2つを学ぶことになります。

 

だからテキストに出てくる順序は変わります。

 

ですが、どの式も「割合」さえちゃんと理解できていれば、

 

理解するのはそれほど難しいことではありません。

 

 

このように、割り算→割合→速さは密接に繋がっているのです。

 

 

そのため、まず最初に「割り算の概念を正しく教える」ことが大切になってきます。

 

 

ところが、これら「等分除」「包含除」の概念を区別できておらず、

 

「3×4=12だから、その裏返しで12÷3=4だ」

 

と覚えている子が相当な数います。

(試しにお子さんに確認してみて下さい)

 

 

割り算を習う小学校3年生の段階では、

 

小数・分数を習っていないため、

 

「大きい数を小さい数で割る」以外の選択肢はありえません。

 

 

なので、どちらをどちらで割るのか選択に迫られることが無いのです。

 

理解できていなくても答えが出て、テストでは点数が取れてしまいます。

 

だから、自分が本当は割り算がわかっていないということに気付けません。

 

 

同時に、スキルの低い指導者は、

 

割り算を本当にわからせることができないばかりか、

 

わかっていないことに気付いてあげることもできません。

 

 

そして、小学校4年生頃に小数・分数を習い、

 

さらに割合を習って、

 

そのときに途端にテストの点数が下がりあわてることになります。

 

 

ちなみに中学受験をしない子たちが塾に通い始める時期として多いのは小5なのですが、

 

それは公立小学校ではその頃に「割合」を学習し、

 

全く理解できないことにショックを受けて塾にかけ込むという現象が起こるからです。

 

 

しかし実際には、

 

4・5年生になってから急に算数ができなくなっているのではなく、

 

3年生のときに抱えた時限爆弾がその時期に爆発しているということなのです。

 

 

 

そんな「割合」・「速さ」が苦手になってしまった子をどうにかする方法は2つ。

 

 

1つは対症療法です。

 

公式を覚えさせて、そこに当てはめて解かせます。

 

 

公式を3つも覚えられない子には、こんな図を覚えさせて、そこに当てはめさせます。

 

 

もう1つは原因療法。

 

遡って割り算の意味から理解させます。

 

 

まずはこういうブロックでかけ算・割り算の意味を確認。

 

 

そして、速さも書いて確認。

 

これらはパズル道場でやらせている教材です。

 

 

伸学会では、割合などの「数」の理解が不十分な子には、

 

5・6年生でもこういうレベルまで戻ってやらせています。

 

それでも矯正しきれない子も当然いるのですが。。。

 

 

一度悪い癖がついてしまうと、それを矯正するのには時間がかかります。

 

 

マイナスをゼロにもどしてからプラスに持っていくのは、

 

何も知らないゼロから教えるよりも遥かに大変なのです。

 

 

原因療法を試みてダメだったら、

 

対症療法で中学受験をしのぐしかありません。

 

 

そして中・高でも、数学は丸暗記でしのいでいき、

 

大学受験は数学を捨てて私立文系というルートでほぼ決定です。

(文系が悪いということではなく、選択の余地が無いのは残念ということです。念のため。)

 

 

「割合」が理解できなければ中学数学の「関数」はわかりませんし、

 

まして高校数学の「微分」「積分」など理解できるはずないからです。

 

 

できればこんな風にあわててなんとかする必要に迫られないよう、

 

算数・数学のつまずきの根本原因を、

 

小学校3年生の段階で早くも作ったりしないようにしたいものです。

 

そのためには、「割り算の正しい理解」が大切です。

 

ぜひお子様に正しい理解をさせてあげてくださいね。

 


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