中学受験で第一志望に落ちて公立中に進学した子が、高校受験では偏差値73になって第一志望の難関公立高校に合格した話

中学受験の価値は、その年の合否だけで決まるのでしょうか。
3年後、想像もしなかった結果が待っていました。

こんばんは。
伸学会の菊池です。

今日は、あるご家庭からいただいた体験談をもとに、ぜひ多くの親御さんに共有したいお話があります。

その子は中学受験では第一志望に届きませんでした。
併願校には合格していた。
それでも、親子で話し合った末に選んだのは「公立中」という道でした。

そしてその後――

その子は一時、すべてを投げ出した時期もありました。
親として、「あのときの選択は正しかったのだろうか」と揺れることもあったそうです。

でも、そこから3年後。
その子は、自分の力で立ち上がり、偏差値73まで到達し、第一志望の難関公立高校に合格しました。
県内の高校すべてA判定を取るところまで伸び、当日は過去問でも取れていなかった合計9割超えを叩き出したそうです。

この話がすごいのは、単なる「逆転合格ストーリー」ではないことです。

中学受験のときに身につけたことが、数年越しに本物の力として回収されたこと。
そして、親の関わり方が変わったことで、子どもが本当の意味で自走し始めたこと。

この体験談には、今まさに中学受験をしているご家庭にも、受験後の子育てに悩んでいるご家庭にも、大きなヒントが詰まっていると思いました。

今日は、その内容をシェアさせていただきます。

  1. 併願校に受かっていても、公立を選んだ理由

まず最初に、多くの方が気になるのはここだと思います。
「なぜ、せっかく合格した学校に行かなかったのか?」
実際、このご家庭でもかなり悩まれたそうです。
お母様のお話を要約すると、理由は大きく3つありました。

1つ目は、第2志望の学校に“心から行きたい”と思えていなかったこと。

第1志望は、自由な校風、生徒の雰囲気、図書室の充実などが決め手だったそうです。
一方で、第2志望は偏差値帯としては現実的な選択肢であっても、本人との相性には疑問があった。

2つ目は、地元の公立中→その先の高校進学ルートも、決して悪い選択肢ではなかったこと。

そして3つ目は、本人の性格や価値観に合っていたことです。

お子さんは合理的なタイプで、通学時間をできるだけ短くして、そのぶん読書や趣味の時間にあてたいという考えを当時から持っていたそうです。
ですから、今回の高校受験でも「通学時間」と「図書室」は外せない条件だったとのこと。

これ、すごく大事な話ですよね。
中学受験をしていると、どうしても
「受かった学校に行くかどうか」
という話になりがちです。

でも本来大事なのは、
“その学校に入ること”ではなく、“その環境でその子が伸びるかどうか”
です。

偏差値やブランドだけで見れば「受かったのにもったいない」と見える選択でも、
本人との相性という視点で見ると、むしろ公立の方が良いこともあります。

これは中学受験の学校選びでも同じです。
「どこに受かるか」も大事ですが、それ以上に大事なのは
「その子に合うか」なんですよね。

  1. 実は、不合格が出る前から“公立の覚悟”はできていた

ここもとても印象的でした。
お母様は、振り返ってこうおっしゃっていました。
たぶんに賭けではありましたが、彼女の性格からいっても、早めに痛い目をみせておく必要性と、自律は必要だとは思ってたと思います。
だから振り返れば、彼女の不合格が出るまでに、ある意味公立の覚悟はできてました。

この言葉、かなり重いですよね。

受験の結果が出てから「どうしよう」と右往左往するのではなく、
その前から
「この子にとって何が必要か」
「この経験をどう次につなげるか」
「もし第一志望に届かなかったらどうするか」
を、親としてちゃんと考えていた。

もちろん、これは簡単なことではありません。
実際、お母様も不安はあったとおっしゃっています。
でも、その不安に飲み込まれなかった背景には、親として「受験をどう終えるか」「その後どう次につなげるか」を考える学びをされていたことが大きかったそうです。

受験って、合格・不合格そのもの以上に、
“親がどう受け止めるか”
で、その後の子どもの伸び方がかなり変わります。

親が「終わった…」となってしまうと、子どももそこで物語が終わってしまいやすい。

でも親が
「ここからどうする?」
「この経験をどう生かす?」
という目線を持てていると、子どもも前を向きやすくなります。

受験の価値って、合否だけじゃないんですよね。

  1. 公立中に進学したあと、一時はすべてを投げ出した

ここから先が、この体験談のリアルなところです。
この子は、中学受験後、ずっと順調だったわけではありません。
むしろ、かなり苦しい時期がありました。
入学当初はトップの成績。
推薦も狙えるかもしれない、というスタートだったそうです。

ところがその後、
・課題の未提出
・遅刻や欠席
・部活の退部
などが続き、学校生活は決して順風満帆ではなくなっていきました。
推薦ルートは諦めざるを得ない状態だったそうです。

ここだけ切り取ると、親としてはかなりつらいですよね。
「やっぱりあのとき私立に行かせた方がよかったんじゃないか」
「中学受験を頑張った意味はあったんだろうか」
そんなふうに揺れても全然おかしくありません。

でも、ここでとても大事だったのが、
“全部は崩れていなかった”
ということです。

お母様はこう振り返っています。

【でも自学は諦めず続けてましたので、学校の方のことは親が対応し、やりたいようにやらせました。
でも、今考えると課題も登校も彼女なりに取捨選択はしていたようです。
また、やる気がなくてもとりあえず勉強だけは続けると決めていたようです。】

これ、すごく重要です。

生活面や学校適応が乱れることはあります。
メンタルが不安定になることもあります。

でも、そういう時期においても、
「勉強だけは切らなかった」
というのは、本当に大きい。

子どもって、全部整ってから頑張るわけじゃないんですよね。
「メンタルが安定したら頑張れる」
「学校がうまくいったら勉強できる」
というより、

ぐちゃぐちゃな中でも、細い糸みたいに何かをつなぎ続けていた子が、あとから立て直せることが本当に多いです。
だから、もし今お子さんがしんどそうで、生活のどこかが崩れていたとしても、「全部ダメだ」と思わないでください。
再起のための火種が残っていれば、子どもはまた立ち上がれます。

  1. 親が変わったことで、子どもが変わり始めた

この体験談の中で、私が特に大事だと思ったのがここです。
子どもが変わる前に、まず親の関わり方が変わっていたんですね。

お母様はこうおっしゃっていました。
【私自身が、自分と本人の問題の切り離しなど、親子関係の向き合い方に取り組みました。
それでも口を出してこじれたことも多く、実践できたことは少なかったとは思います。
でも、私がそのことを学んでいることや、できてないことも許容できるようになったことは、娘にも余白をうんだかなと思っています。】

これ、すごく本質的な話です。

多くの親御さんは、子どもがうまくいっていないときに
「もっと声をかけなきゃ」
「もっと管理しなきゃ」
「もっと正しいことを言わなきゃ」
と思いがちです。

でも実際には、
「親の不安が強いほど、子どもは動けなくなる」
ことが多いです。

親が全部を背負いすぎると、子どもも苦しくなる。

逆に、親が
「子どもの問題と自分の問題を分ける」
「できない自分も許容する」
「少し引いて見守る」
ことができるようになると、子どもは呼吸しやすくなります。

これって、放置とは違うんです。
ちゃんと見ている。
でも、全部をコントロールしようとはしない。
この距離感が、とても大事なんですよね。

  1. 「勉強しなさい」よりも効いた、お母さんの後ろ姿

そして、このご家庭には、もう1つとても印象的なエピソードがありました。
お母様ご自身が、資格試験や大学の講座受講などに挑戦されたそうなんです。

そのことについて、お母様はこう振り返っていました。
【私が資格試験や大学の講座受講などに挑戦してみました。
その後ろ姿が楽しそうにみえたことも娘のやる気をよんだといってました。
確かに俄然勉強に取り組みはじめました。】

これ、めちゃくちゃ良い話ですよね。
子どもって、親の「正論」よりも、「親の生き方」を見ています。

「勉強しなさい」「ちゃんとやりなさい」と100回言うよりも、
親自身が何かに挑戦していて、学ぶことを前向きに楽しんでいる姿を見せる方が、
ずっと教育的だったりするんです。

もちろん、親だってそんな余裕がないときもあります。
毎日忙しいし、疲れるし、自分のことまで手が回らないことも多い。

でも、だからこそ思うんです。

子どもを変えたいなら、親が“変わる”とか“学ぶ”とか“楽しむ”姿を見せることには、とても大きな意味があります。

これは中学受験に限らず、子育て全般に言えることだと思います。

  1. 娘さんが本格的に自走し始めたきっかけ

では、娘さんが本格的に自走し始めたきっかけは何だったのか。

これもすごく興味深かったです。
お母様の分析では、大きなきっかけの1つは、周囲の同級生との出会いだったそうです。

中受をして最難関に合格しても公立を選び、さらにその先を見据えて淡々と努力している子たちがいた。
模試や定期テストで1位を取り続ける子たち。
数学は高校内容まで進めている子たち。

そういう子たちの姿を見て、娘さんは「私もできるはず」と思えたそうです。

これもとても大事なポイントです。

子どもって、親や先生に言われたことよりも、
“少し先を行く同世代の姿”
に強く影響を受けることがよくあります。

「この子にもできるなら、自分にもできるかもしれない」
そう思えると、一気にスイッチが入ることがあるんですよね。

ですから、子どもが前向きな刺激を受けられる環境に身を置くことは、とても重要です。

周りに頑張っている子がいる
学ぶことが前向きに扱われている
成長が当たり前の空気がある

そういう環境は、本人の自走を後押ししてくれます。

これもまた、学校選びや塾選びの大事な視点ですよね。

  1. 中学受験の“遺産”が、数年後に回収された

ここが、多くの親御さんたちに伝えたいことです。
この子が後から効いたと感じていたのは、いわゆる難問の解法テクニックではありませんでした。

そうではなく、漢字、計算、やり直し、ミス潰し、点が取れない理由の分析、、、
こうした、地味だけれど本質的な部分だったんですね。

特に印象的だったのが、お母様が書いてくださったこの話です。
【中受で最後は追い上げて、第1志望すら解けた実感で帰ってきたのに、ぼろぼろと出てきたミスと基礎点の足りなさで、塾の先生に挨拶したとき最後は「やればよかった」と本人がいってました。】

これ、かなり深いですよね。
受験勉強をしていると、どうしても
「難しい問題が解けるか」
「応用問題に対応できるか」
に目が向きがちです。

でも本当に差がつくのは、実は
“基礎を落とさないこと”
“ミスで失点しないこと”
だったりします。

そしてこの子は、中学受験の悔しさを通して、それを腹落ちした。
だから中学では、漢字や計算の積み上げ、ミスの分析、基礎問の取りこぼし防止、に対して本気で向き合えるようになったんですね。

また、この子は中学受験期に学んだことの中で、知識や解法だけでなく、「学び方」の部分もあとから生きていたようです。

お母様によると、当時の伸学会の指導で聞いていたことについて、
「具体的には結構忘れてることもあるけれど、聞いて学んでおいたことはベースになってると思う。本で読むより親に言われるより身に付いたから、どうしようと思ったときに自然と思い出したり使えている気がする」
と話していたそうです。

こういうふうに言ってもらえたことは、教えた身としてとても嬉しかったです。

そして、実はこういう子けっこう多いです。
子どもって、正論を聞いただけではなかなか変わりません。
でも、悔しい経験をしたあとに初めて
「ああ、あのとき言われていたのってこれか」
とつながることがあるんです。

中学受験のときに教えたことが、その場ですぐにできるようになったら嬉しいですが、あとから芽を出し、実を結ぶことも有る。

だから私は、中学受験の価値って、その年の合否だけでは決まらないと思っています。

そのときは報われなかったように見える経験が、数年後に本物の力として回収されることって、本当にあるんです。

  1. 偏差値73まで伸びた“自学”の中身

では、実際に何をしていたのか。
ここは多くの親御さんが気になるところだと思います。

「天才的な裏ワザ」みたいなものではありません。
やっていることはかなり地味な王道です。

ただ、その王道を
“自分で意味を理解して、納得して、回せるようになった”
ことが大きかった。

お母様のお話をもとに整理すると、こんな感じです。

・間違い直しノートを作る
・問題集を最低2周、必要に応じてもっと繰り返す
・忘れた頃にもう一度やる
・わからないところは動画や質問で解消する
・暗記は丸暗記ではなく、ストーリーや理屈で整理する

特に、おっしゃっていたことの中で良いなと思ったのが、これです。

【娘が気づいたことは、間違いが多いからやる気がしないのだから、間違いが少なければよいと思ったようです。
間違いを減らすためにはどうするかを考えて、問題集は普通と遡りと最低二回、忘れないように忘れたころにもやるなど、工夫したとか。】

これ、かなり本質を突いています。

多くの子は、
「やる気がないから勉強できない」
と思っています。

でも実際には逆で、
「できないからやる気がなくなる」
「間違いが多いからやる気がなくなる」
ということが非常に多いです。

だから、やる気を出させようとする前に、
・間違いを減らす
・できる感覚を増やす
・勉強を回せる状態にする
ことの方が大事なんですよね。

そしてこの子は、それを自分で分析して、自分なりにやり方を組み立てられるようになった。

ここが本当に強いです。

成績が伸びる子って、
「才能がある子」
というより、
「できなかった理由を分析して、やり方を改善できる子」
なんですよね。

  1. 「やってよかった」と言えるようになった、一番の理由

最後に、お母様が書いてくださった中で、私が特にグッときたのがここです。

なぜ今は「中学受験をやってよかった」と言えるようになったのか。

その理由について、お母様はこう分析されていました。

【合格が出たからかもしれませんが、やることはやったと今回は言えたことがいちばんかなと思います。】

これ、本当に大事です。

受験って、結果がすべてのように見えます。

もちろん、合格は嬉しい。
不合格は悔しい。

でも、長い目で見ると、子どもにとって一番大きいのは、
「自分で決めて、自分でやり切った」
という感覚だったりします。

実際、今回の高校受験では、第一志望の試験が終わった直後に
「やることはやった。だめならしょうがない」
と本人が言っていたそうです。

これ、すごいことですよね。

ただ偏差値が上がったという話ではありません。
「受験に振り回される側から、受験を自分で引き受ける側に変わった」
ということです。

今回の成功は、単なる「高校受験でうまくいった」という話ではなく、
“人としての成長”
としてとても価値があると思いました。

  1. この体験談から、私たちが学べること

最後に、この体験談から学べることを3つにまとめます。

① 中学受験の価値は、その年の合否だけでは決まらない

そのときはうまくいかなかったように見えても、
本物の学びは数年後に効いてくることがあります。

特に、
「やり直しの意味」
「自分で考えて改善する力」
こうしたものは、あとから効いてきやすいです。

だから、今もし結果が苦しくても、
「そこで物語を終わらせないこと」
が大事です。

② 親がやるべきことは、「管理」より「土台づくり」

親が全部をコントロールしようとすると、子どもは苦しくなります。
もちろん放置も違います。
大事なのは、
「土台は作る」
「必要なサポートはする」
「でも本人の人生は本人に返していく」
という関わり方です。

これができると、子どもは少しずつ自分の足で立てるようになります。

③ 子どもは、自分で意味をつかんだときに一気に伸びる

言われたからやる勉強は弱いです。
でも、自分で
「あ、これ大事だったんだ」
「こうすると点が取れるんだ」
「私もできるかもしれない」
と意味をつかんだ瞬間に、子どもは一気に伸びます。

だから大人は、正しいことを100回言うよりも、子どもが自分で気づけるような環境や関わりを整えることの方が大切なのだと思います。

中学受験をしていると、どうしても
「この学校に受かるかどうか」
に意識が集中します。

もちろん、それは大事です。
真剣に目指すべきものです。

でも本当に大事なのは、その経験が
「その子の人生の中でどう意味づけられるか」
です。

今回の体験談は、まさにそれを教えてくれるものでした。

あのときは「失敗したように見えた経験」が、数年後には、本人の自律や学び方の土台になっていた。

そういうことは、本当にあります。

だからこそ、今もし目の前の結果に苦しんでいる親子がいたとしても、そこで終わりにしないでほしいなと思います。

子どもの成長は、親が思っているより、ずっと長いスパンで起こるものです。

今回の体験談が、今悩んでいるご家庭の希望になれば嬉しいです。

それでは。



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