【書評】「ケーキの切れない非行少年たち」を読んで 

こんばんは。伸学会の菊池です。


先日「ケーキの切れない非行少年たち」という本を読み終えました。

https://amzn.to/2N9Bdtl

Kindle for iPhoneで、電車の行き帰りに少しずつ読み進め、
1ヶ月くらいかかってようやくです。


少年院で精神科医として勤務していた筆者によると、
罪を犯して少年院に入ることになった子たちの多くが、
何らかの障害を持っていたそうです。

その子たちの更生のための教育が、
伸学会の理念とか目指すものと共通する部分があるなと思ったので、
スタッフ間でシェアするために感想を社内SNSに投稿しました。

そして、
多くの保護者にも知っておいてほしい内容なので、
ここでも記事にしようと思います。



ADHDのような自己コントロール力に発達の遅れがあるケースに対しては、
近年多くの情報が発信され、取り扱う本も増えました。

そして、世間でも理解されるようになってきました。


一方で、知能の発達の遅れ・でこぼこ・学習障害に関しては、
今もまだ理解が広がっているとは言えない状況です。

筆者の宮口医師はそこに一石を投じようとしています。

そして、知能面での発達の遅れが、
犯罪に繋がっていることを指摘しています。


非行少年たちの多くは、認知能力に軽度の障害をかかえていて、
軽度であるが故にそれを見過ごされ、
「できない」「やらない」「やる気がない」と思われて、
親や学校に救われないまま、
必要な助けを得られずに来てしまっているそうです。

そして、加害者となり被害者を生んでしまっています。

著者はこれを「教育の敗北」と表現していました。

そして、必要な発達の支援を受けられなかった少年たちは、
出所しても職場で仕事ができず、
ここでもまた「やる気がない」と判断され仕事を失い、
また犯罪に走るという悪循環に入っていきます。
これが大人になっても続いていきます。

実は私は伸学会の設立と前後して、
NPO法人の自立支援センターの設立の手伝いをしたことがあって、
刑務所や少年院を出所した人たちの受け入れと就労の支援に関わりました。

理事にも名を連ねていて、
もっと積極的に携わりたかったのですけど、
あっというまに伸学会の仕事が忙しくなってしまって活動できなくなり、
今に至っているのですが、、、、

そのときの人たちのことを思い出せば、
やはり「簡単な漢字が読めない」「簡単な計算もできたい」という人たちが多かったように思います。

そういった人たちに、
基本的な勉強を教えるという形で関わっていきたいと思っていたことを、
この本を読んで思い出しました。

(「ケーキの切れない非行少年たち」より引用)

本の表紙にある「3等分」もそうですが、
こちらの「図形を書き写す」もかなりの衝撃です。

上の図が下のように「見えている」のですよね。

そりゃ漢字も読めないし書けないし、
算数の図形問題なんか壊滅するでしょう。。。

「認知能力が低い人の見えている世界」は、
我々が見ている世界とは全く違うものなのでしょうね。


伸学会の生徒の中でも、
基本的な認知能力が低めな子たちはたくさんいます。

もしそのまま一般的な塾に通ったら、
「できない」「やらない」「やる気がない」
と思われてしまうであろう子たちです。


そういった子たちに、
「パズル道場」のような認知能力を高めるためのトレーニングからやらせていくと、
算数や国語の土台ができるので授業が理解できるようになります。

ちなみに著者が少年院で少年たちにやらせている「コグトレ」というトレーニングは、かなりパズル道場に近いのです!

例えば「点描写」が入っていたりとか。

それにより、ちゃんと認知能力に改善が見られ、
例えば「見る力」が鍛えられた少年は、
漢字を覚えられるようになったりしているそうです。


「コグトレ」の例。Amazonで検索すると色々出てきます。


必ずしも中学受験のトップレベルの難関校合格を目指すような速いスピードで学習を進めていくだけではなく、
1人1人の健全な発達を支援するという役割も、
伸学会とパズル道場は担っていけるんじゃないかなと思いました。


パズル道場は本科コースなどに比べて授業料も安くて習い事としてはお手頃ですし、
もっと広げていきたいですね。

そうなると、
パズル・速読だけをやる校舎を展開していくと実現は早いのでしょうか?

「教育の敗北」を勝利に変える役割を果たしていきたいです。


もちろんご家庭でやりたい方は、
Amazonでコグトレを買ってくれれば良いです。

何をすればいいのか、
情報発信をしていきたいと思っています。



もう1つ、その勝利に変えるための方法として、

子供の認知的能力を鍛える以外にも大事なポイントがあります。

それは、そういった子たちが「つらい思い」をしないように守ることです。

非行に走る子たちの共通点として、
軽度の知的障害があるとともに、
虐待やいじめを受けた経験があるそうです。

勉強が「人並みに」できないことを、
やる気がないからだと責められたりする場合もあれば、
できないことを同級生に馬鹿にされいじめられるような場合もあります。


前者のようなケースを無くすために、
「能力の不足」を「やる気のなさ」といった悪意でとらえないようにしてあげてほしいなと思います。

これは伸学会の親ゼミでも、
くり返し保護者の心構えとして伝えていることです。


そして、後者のようなケースも、
その子に合った課題をやることが大切であること、
他の子より早いか遅いかではなくその子なりのペースで成長していくことが大事であるということを、
家庭の文化として子供たちの意識に浸透させていくことで、
防いでほしいなと思っています。

それがあなたのお子さん自身を守ることにもなりますし、
周囲の子たちを守ることにもつながります。


そのためには、その意義を理解させてあげることが重要です。

「そう決まっているから」では、
「家の中以外のところでは関係ない」になってしまいます。


子供を幸せにするための「教育」が、
それについていけなかった子たちを非行に走らせては本末転倒ですよね。

お子さんの教育と通じて、
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