小さいうちだからできる記憶力の高め方

もうすぐ目黒校に学童保育を併設します。

そこで行う予定の指導の中で、ご家庭でも簡単に取り入れられそうなことをご紹介しようと思います。

今回は「記憶力の高め方」です。

記憶には「保存」と「検索」の2つの力があります。

試験で点数を取るためには、その知識がきちんと頭の中に保存され、かつ必要なときに検索して頭からひきだすことができなければいけません。

勉強のやり方次第で同じ時間をかけて同じ問題を解いても、テストの成績には大きな差ができることは以前に「脳を鍛えるのはブロック学習?ランダム学習?」に書きました。

適切なやり方をしなければ、私たちの脳は学習した内容を保存してくれず、または保存をしたとしても頭の奥深くに眠らせてしまい、検索できなくしてしまうのです。

せっかく勉強したのにそれを忘れてしまうなんて、私たちの脳はなんてもったいないことをするんだ!

あなたはそう思うかもしれません。

しかし、忘れることは必要なことなのです。

米・ソーク研究所チームがライフサイエンス紙「eLife」で発表した論文によれば、脳の記憶容量は1ペタバイト(100万ギガバイト)あるそうです。

これはHD品質の映像約13年分、普通の映画で約50万本分にあたります。

これだけの容量があれば、テキストの数十冊~数百冊など丸暗記することは容易です。

テキスト1冊を裁断してスキャンしても、せいぜい数十メガバイトですから。

そう、私たちは本来誰もが天才なのです。

しかし、残念ながらこれだけの容量があったとしても、あらゆる情報を全て保存するにはとても足りません。

脳には常時膨大な量の情報が流れ込んできています。

例えば、あなたが今この文章を読みながら聞いている物音、かいでいるにおい、肌に触れる何かの感触や暑さ寒さ。

これらを全て脳に保存していては、脳はあっというまにパンクしてしまいます。

ですから、脳は記憶として保存する必要なものと消し去る不要なものを選別しているのです。

ちょっと待って!ちっとも不要じゃないよ!

せっかく勉強したのにそれを忘れてしまうなんて、なんてもったいないことをするんだ!

あなたはまたもそう思うかもしれません。

ですがそれは仕方のないことです。

理性のあなたは、「学習」したことは必要だからしたのだと思っていることでしょう。

しかし、記憶を司るのは、脳のもっともっと本能的な部分です。

そして、本能のあなたにとって、「必要」とは「生きるために必要」ということなのです。

「あの果実は食べたら甘くておいしかった」「あの森には蛇がいて咬まれると痛い」「仲間があの川でワニに襲われたからこれからは近づかないようにしよう」「この鳴き声は狼の声だから、聞いたらすぐに逃げるか闘うか決断しなければいけない」

生きるのに必要とはこういうことです。

テストの点数なんて、脳にとっては命に関わることはないどうでもいいことなのです。

そして、生きるのに必要なことは多くの場合強い感情をともないます。

嬉しい・楽しい・幸せ、あるいは怖い・苦しい・つらいなどなど。

だから、こういった感情がともなう記憶というのは保存されやすいのです。

日々の夕食の献立はほんの1~2週間前でも忘れてしまうものですが、数年前の楽しかった旅行で食べた料理などははっきり覚えていたりするものですよね。

冗談のような本当の話ですが、テキストを読んで勉強するときに劇の台本を読むかのように感情を込めて音読すると記憶に残りやすかったりします。

さて、ここからが本題。

 

脳のこうした特性をふまえた、小さいうちだからできる記憶力の高め方です。

長々と小難しい理屈を並べましたが、要は結論として「楽しいことは記憶に残る」ということです。
(そんなこと知ってるわ!というあなたの心の声が聞こえてくるようです)

中学受験の歴史に出てくる重要人物100人そこそこを覚えられない子がポケモンは800種類その特性までバッチリ覚えているなんてよくある話ですよね。

では、どうすれば勉強を楽しくすることができるのでしょうか。

そのためにお母さんができることのうちの大切な1つが、「先に『好き』の種を蒔いておくこと」です。

と言っても難しいことではありません。

塾や学校で「勉強」として触れる前に、先に遊びで触れさせて、知っておくようにすれば良いだけです。

人は知っているものに対しては好感を持つようにできているからです。

これは心理学者が「単純接触効果」と呼ぶものです。

アメリカの心理学者ロバート・ザイアンスが論文にまとめ、知られるようになりました。

例えばこういったカルタで何度も繰り返し遊んでいると、意味はわからなくてもその言葉・数字・名前などを覚えてしまったりします。

そうすると、授業でその言葉などが出てきたときに「あ!それ知ってる!」となり、好き・嬉しい・楽しいという気持ちに繋がるのです。

こういうちょっとした積み重ねで、同じ授業を聞いていてもすぐに覚えられる子になっていきます。

伸学会では高学年の子達もよく休み時間に遊んでいます。

あるいはこういったアプリで遊ぶのも良いかもしれませんね。


ことわざアプリでものすごい高得点を出して記念撮影(ちょっと照れてる)の図

お母さんがこんなおやつを作ってくれたら、嬉しくてとっても記憶に残るんじゃないでしょうか。

アイデアは無限ですね(^^)

ぜひお父さんお母さんも一緒に楽しんでください。

 

最後に1つ大切なことをお伝えしておきます。

それは、あくまでも「先に」触れておかなければいけないということです。

よく歴史でつまずいたからといって後から歴史マンガをあわてて買い与えるお母さんがいますが、後からでは手遅れです。

ザイアンスは、人の顔を繰り返し見せることによる好感度の変化を実験により検証しています。

それによれば、触れる頻度を高めることで、確かに全体として好感度が高まる傾向が見られました。

一方で、好感度が高まらない顔も中には見られました。

そのものに対する好みが中立である場合には繰り返し触れることで好きになっていくけれども、好みが固まってしまってからでは変化はしないということが伺われます。
(参照:Zajonc, R. B. (1968). Attitudinal Effects of Mere Exposure. Journal of Personality and Social Psychology, 9(2), part 2, pp.1-27)

そのため、好みができるより先に触れさせておかなければいけないのです。

小さいうちだからできるというのはそういうことなんですね。

ですから、私たちは先々受験勉強となったときに多くの子どもたちが苦手にしやすいところを優先的に先につぶしていくようにしています。

子どもたちに「勉強させられている」と気付かれないように、こっそりと。

ぜひご家庭でも、遊びの中に学びを取り入れてみてくださいね。

 

文責:伸学会代表 菊池洋匡

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