子供のこの力を鍛えると親は楽になる

こんにちは。秦です。

今日は、子供のこの力を鍛えると親は楽になりますよー、という話をしたいと思います。

親だけではなく、私たち講師も楽になるので、伸学会では塾全体で一丸となって鍛えるための指導を行っています。

どんな力かわかりますか?

それが、吉田先生に記事で紹介を頼まれた「メタ認知」という力です。

メタ認知(metacognition)とは、

自分の思考についての思考(Thinking about thinking)
自分の知識についての知識(Knowing about knowing)

のことです。

「メタ」とは一段上の、という意味で、自分の頭の中の動きを一段上から眺めることがメタ認知なのです。

これは、いわば心の中の「カントク」です。

監督の仕事は、自分の現状の監視(モニタリング)とよい状況にするための指示(コントロール)です。

カントク不在の作業は上手くいきません。自分が何でも完璧に思えてしまうからです。

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メタ認知が大きく成長するのは小学校の後半からです。
そのことを示す、メタ認知がまだ未発達な4歳児と、小学生を相手にした比較実験があります。
子どもに、果物や動物などの日常的なものごとが1枚につき1つずつ描かれた10枚の絵を見せます。
そして、これら10枚をすべて覚えるように子どもに伝えます。

その際、実際に子どもたちが覚え始める前に、子どもに10枚のうち何枚について覚えることができそうか尋ねました。
すると、保育園児と幼稚園児ではそれぞれ57%と64%もの子どもが10枚すべて覚えることができると豪語しました。
また、覚えられると予測した枚数の平均はそれぞれ7.21枚と7.97枚でした。
しかし、実際にはそれぞれ平均してわずか3.50枚と3.61枚しか思い出すことができませんでした。

それに対して、小学校4年生は10枚全部覚えると豪語した子どもはわずか21 %であり、思い出せると予測した平均数は6.14でした。
そして、実際に覚えておくことができた枚数は5.50枚でした。

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これを見るとわかるように、監督力がなければ、「何を」「どれだけ」勉強すればいいか正しく見積もることが出来ない、ということになります。
わかった「つもり」になって適切な復習をしない子供に手を焼いたりしていませんか?
それはまだ監督力が低い状態なのです。

短期的には、親や講師がカントクを全て請け負うのも効果があるとは思います。
しかし、長期的な成長を期待するならば、講師や親がカントクしながらも、子ども自身の「カントクする力」を伸ばして、選手兼監督になれることを目指すことが重要でしょう。

そこで、最近の生徒の宿題ノートから良い例を紹介します。

この生徒は、かつて式や図といった解答の過程を残すことを面倒臭がっていましたが、最近自分の解答の過程を残すことで、過去の自分にツッコミができることに気付き、それが楽しくなってきたようです。

(この生徒も、ツッコミをすることに「頭の中のカントク」と名付けていますが、ちょうど私が「カントク力」としたものと全く無関係に名付けていたので驚きました。彼が野球好きであることが影響したのだと思います。)

これも、過去の思考過程に対するメタ認知で、これを続けることで、実際に問題を解いている時にもツッコミが出来るようになってきます。

今はこの生徒に、そのツッコミ力を大事にするようにと指導しているところです。

こういう頭の使い方を鍛えて、自分の力で成長できる生徒を育てていきたいですね。