2013年8月6日 ジャングル探検その4(第1話はこちらをクリック)
ロッジの跡地で一泊しなければならなくなったところでスコールが降りだす。
あわてて、まだあまり朽ちていない建物の軒先に移動する。
そのときに撮影した動画がこちらでした↓
運が良いことに、むき出しのソファーのクッションが転がっていたので、
それをベッド代わりに使用することに決定。
地面に直接寝るよりはマシか。
そしてそこから人生で最も長い夜が始まったのです。
時間はまだ夜の8時を回ったばかり。
タイミングが悪いことに、
この日はほぼちょうど新月で、
月明かりすら無く辺りは完全に暗闇。
ヘッドライトを消すとあまりの暗さにヒク。
東京ではこんな暗闇はどこに行っても存在しない。
絶対どこかしらに電気あるし。
夜明けまではあと10時間。
どうしよう。
お腹は空いてきたが、
こんなところで持ってきた夜食用の缶詰を開けて、
匂いで猛獣が寄ってきたりしたらたまらないので我慢。
あまり匂いのしなさそうな、
休憩時に食べる用のビスケットをモグモグして飢えをしのぎつつ、
疲れ切った頭で生きて帰るための作戦を練る。
まず、トラが襲ってきたらどうやって撃退しよう。
このクッションを盾に歩くときに使ってた杖で攻撃か?
いや、転がってる椅子や机を盾にした方がいいか?
「だーいじょうぶですって。トラが襲ってくるわけないから」
と尾本先生は実にお気楽・・・
こいつを盾にするのが一番だな(-_-#)
で、朝まで生き延びたとしてどうやって帰ろう?
通信手段は何一つ持ってない。
通りかかった船に乗せてもらえたら良いけど、
もしここは放棄されたヴィレッジだから、
人がいても船は泊まらないような場所だったらどうしよう。
残り少ない水で来た道を帰るのは尾本先生には不可能だ。
ここに置いて一人で助けを呼びに行くか。
最悪の場合沢の水を飲むか。
どんな病気にかかるかわからんけど、
脱水症状でジャングルで倒れるよりは死ぬ可能性は低いだろう。
尾本「だーいじょうぶですって。船に乗せてもらえるから。寝ちゃって船に気付かないとまずいから眠気覚ましにDSやりましょう」
神経が太くていいなぁ・・・
そういやヴィレッジの入り口辺りで座り込んでたからオレが船に2回無視されたことを知らないんだっけ。
いろいろ考えながら朝を待つ。
疲れもあって、うとうとしてきたところで、
後ろの茂みでガサガサっと物音が!
あわてて飛び起きてライトをつけると、
「ブキッ」という鳴き声とともに何かが逃げて行った。
良かったトラじゃない。ブタかイノシシかな?
またライトを消して休んでいると、
目の前(真っ暗で見えない)で何かの気配が!
ライトをつけると2匹の野生のイノシシ。
ここが動物観察小屋なら、
動物が見れたってテンションあがるところだが、
トラじゃなくてホッとする気持ちが大半。
生きるか死ぬかって時に動物観察なんかどうでもいいわ。
またしばらく休んでいると、
再び背後の茂みで草をかき分け移動する物音が!
慌ててライトをつけると、
ついに出た!トラだー(T_T)
いや、本当はトラなのかジャガーなのか遠いし暗いから模様が見えないのでわからんけど、明らかにネコ科なシルエット。
何度か止まって、木の陰とかからこっちを見てる。
こっち来るなよ!という願いを込めてライトで照らすと、
反射で目が黄色っぽく光る。
こえーよー(T_T)
その後も、イノシシが群れで出たり、
再びトラっぽいものが出たりして、
その度に飛び起きて神経をすり減らしていく。
尾本先生は寝ていて、
物音がする度に起こすが、
起きるころには動物は逃げているの繰り返し。
一晩中ピリピリしながら過ごし、
だんだんテンションがおかしくなってきた朝7時頃、
ようやく夜明けを迎えた。
長かったー(T_T)
夜が明けてもすぐにボートが動き出すわけではないので、
まだしばらく待たなければいけない。
とりあえずすぐにでも出発できる準備だけ整えて、
船着き場跡に移動して船を待つ。
頼む。停まってくれよ。
1時間くらいしたら、
ようやくカラの船が1艘通りかかった!
全力で呼び止める。
HEEEELP!!
すると、一旦止まって向きを変え、
こっちに近寄ってきてくれる。
やった!気付いてくれた!
必死に英語でクアラ・タハンに帰りたいことを伝える。
しかし、通じていないのか、
方向を変えて元々向かっていた方向に行ってしまった。。。
尾本先生は
「行き先が逆だからですよ。また戻ってきてくれますって」
なんて言っている。
だと良いんですが。
また30分ほど経って、
今度は2人客を乗せた水上タクシーみたいな船が逆からやってきた。
今度こそ!絶対に!乗せてもらわなければ!!
地球の歩き方をあわてて調べ、マレー語で叫ぶ
mahu pergi ke Kuala Tahaaaan!!
(クアラタハンに行きたいですううう!!)
すると船が寄ってきてくれて乗せてくれた!
やった!通じた!帰れるー!
値段の交渉もせず即乗り込む。
良いんだよいくらでも!
こっちには交渉の余地なんか無いから!
そして前日に7時間かけて歩いた道のりが、
ものの30分ちょっとで到着。
こんなに近かったのか。。
下りるときに船賃を聞いたら20リンギット(約600円)だった。
人生でこれほど安いと感じた交通費は無かった。
僕らは、今、生きています。
全てに感謝。
その後町を移動して、ネットがつながる所に行ったら、
知り合いのそのまた知り合いのマレーシア人からアドバイスが届いていました。
曰く「ジャングルに入るときは必ずガイドをつけろ。
ジャングルには巨大イノシシ、アナコンダ、タランチュラなどシャレにならない生き物がいるので素人は危ない。
(中略)ガイドは常に血清を携帯している。」
もうおせーよ!(T◇T)
写真は一晩お世話になった軒先を撤収するところと、
帰りのボートの上からのもの。
そのほかは写真を撮る余裕は無かったです。
一部から動画に対して楽しそうですねとコメントを頂きましたが、
追い詰められてテンションおかしくなってるだけで、
ほんとに生きるのに必死だったのですよ。。。
以上、菊池と尾本のジャングル探検記でした。
最後まで読んで下さってありがとうございました。