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秦先生から体験記の執筆を依頼されて真っ先に浮かんだのは、「3年前に長女の中学受験を終えた時には、先生からこのような案内は来なかったな…」という苦い感情でした。長女も秦先生にお世話になり、志望校に合格しましたが、母娘関係が極度に悪化した状態で受験を終えることになりました。最大の原因は母である私の過干渉でした。
それでも長女の受験終了直後に次女を伸学会に入れたのは、本人が中学受験を視野に入れており、親としても伸学会を信頼する気持ちは変わらなかったためです。同じ過ちは繰り返さぬよう、次女にはとにかく私が口を挟まず、無理をさせないことを心がけました。
次女が4〜5年生のうちは、塾の宿題を仕上げることは稀でした。長女には宿題を全て終えなければ登塾を渋る傾向があり、それが受験生活終盤のストレス増大に繋がったという認識から、次女に対しては塾に行けるだけで充分という態度で接しました。
本人は塾から帰ってくるといつも妙にハイテンションで、秦先生との保護者面談では「教室ではとても明るく、楽しそうにしていますよ。楽しすぎて、机の上に立っています」と報告いただいたこともありました。(念のため記しておきますと、伸学会目黒校では教室の入り口で靴を脱ぎます)。一体何をどうすればそのような状況になるのか唖然としましたが、娘には伸学会のおおらかな雰囲気が合っているようだという感触は得られました。また、娘には「学習記録」にイラストやメッセージを記入してくれる一学年上のお絵描き上手な先輩がいて、もはや交換日記のようになっていたのも微笑ましかったです。娘は夏休みの合宿にも4年生から積極的に参加し、夏休みの重要なイベントの一つとして、とにかく楽しみにしていました。
志望校については、4年生のころから文化祭に出かけ、本人との相性を探りました。そのうち娘は、以下のような優先項目を自ら設けるようになりました。
・家から近い
・女子校
・少人数
・土曜日が休み
・イラストを描ける部活がある
・娘曰く「パリピ」がいない≒校風が穏やか
・娘曰く 校舎にいると「ラク」≒自然体でいられる
・髪型が自由
・制服はセーラー服よりもブレザー系
これらの条件を全て満たした学校が普連土学園です。5年生の2月、普連土の「学校体験日」に参加したことを機に、娘のスイッチが少しずつ入ったように見えました。伸学会の学習PDCAで重要な「ポイント発見」にようやく取り組み始めたのもこの頃だったように思います。
同じ時期からは、算数に対する苦手意識を払拭するため、土曜日に個別指導を受講することにしました。娘は初めこそ億劫そうにしていましたが、担当の先生のことをすぐに大好きになり(私も先生の文才が炸裂する授業報告を毎週楽しみにしていました)、個別指導の後はそれまで頑なに拒んでいた教室での自習にも参加するようになりました。夏前からは塾が導入した読書感想アプリ「ヨンデミー」にハマり、小説などの読書量もぐっと増えました。
夏休みが終わる頃には志望校の1日午前入試には手が届く成績になっており、本人は「偏差値が上昇する2回目以降の入試も余裕を持って受験できるよう、模試の成績を上げる」と宣言。塾の授業がない平日も自習に行くようになり、11月以降の模試では有言実行を果たしました。(なお、6年秋以降は理科が相対的な得意科目になりましたが、5年生まで五反田の実験教室に通っていた効果も相応にあったのではと考えています)。
9月から始まった日曜日の過去問演習や関連する復習メソッドの「16印」、そして下剋上算数なども、秦先生とは「どの日程で普連土を受けても合格する力を手に入れる」を合言葉にして、積極的に取り組んでいる様子でした。一方、家ではとにかくリラックスしており、SwitchやYouTube、お絵描きの時間が減る気配がみられなかったので、秦先生や個別の先生に幾度となく相談しました。先生方は娘に適宜声をかけつつ、私に対しては「オンとオフの切り替えがうまく、塾ではしっかり集中できているのでご安心を」とおっしゃり、私の過干渉モード発動を抑えていただきました。
おおむね順調にみえた娘の受験生活でしたが、試練は最後にやってきました。本番の少し前に大きく体調を崩してしまったのです。志望校の1日午前の志願者は、「サンデーショック」の影響もあってか前年比で大幅に増加していました。当初の想定よりも娘に余裕がある状況とはいえないなかで、体調不良が重なっては、蓄えた力を十分に発揮できないのではないか--。こうした親の不安をよそに、娘はしっかりと自分の身体を休ませたうえで、メンタル面でも着実に強くなっていました。過去問演習で得た自信を糧に、「1日午前なら、私は試験さえ受ければ合格できる」「試験本番はそれ以上でもそれ以下でもない」「(志望校の最後の試験がある)4日になれば、もっと元気になっているから大丈夫」などと落ち着いた様子で口にしたときには驚きました。また、オンラインで参加した壮行会や受験当日の朝の送り出しでは、本当に楽しそうにしており、慣れ親しんだ先生方やお友達からたくさんの勇気をもらっていることが傍目でもよく分かりました。
そして1日午前の受験を終えたあとの昼食時。「聞いて聞いて!理科でものすごく面白い問題が出たんだよー!」「あとね、いつも普連土の問題に出てくる『町子さん』が、『町代さん』に変わってたー!」とニコニコしながら報告する娘を見て、これだけ本番を楽しめたのなら何と幸せなことか、と思いました。その夜、本人の予言通りに合格をいただくことができました。
いわゆる難関校を目指すお子さんと比較すれば、次女の受験生活は「ゆる受験」の部類に入るのかもしれません。それでも約40年前に神戸で中学受験した自分の経験を踏まえると、特に6年生になって娘がこなした勉強は、小学生にしては質量ともに過剰にも思え、現代の中学受験の過熱ぶりを実感した次第です。また、親が覚悟を決めれば、子供の勉強にノータッチでいられるのが伸学会の大きなメリットである半面、かかった費用も相当なものになりました。長女の新たな進路を探るなかで、公立校のサポートの手厚さや、国内にとどまらない今後の選択肢の広さを知り、私の狭すぎた視野も少しは変わってきたように思います。
秦先生から体験記の執筆を依頼されたメールには、「私としては、楽しく平和に、充実した中学受験にできたのではないか、と勝手に思っています。」と記されていました。私としても全く異論はありません。伸学会では勉強だけでなく、6年生のGWに秦先生が出演したマジック演劇(?)を母娘で楽しく鑑賞したことや、夏休みの最終日に福田先生企画のBBQ大会に参加したのも良い思い出です。
最後に、もっぱら送迎や大量のプリント整理を担当した夫、次女を応援してくれた長女、家族を癒やしてくれた猫に感謝して締めくくりたいと思います。長文にお付き合いいただきありがとうございました。