第4弾!本の内容勝手に一部公開【マンガ付】

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第3章-2. 「運が悪かったから?」 テストの成功・失敗の原因の探し方

 中学受験を終え、

第一志望校に見事合格したお子さんにテレビクルーが質問します。

「あなたが合格した理由は何ですか?」

 

さて、お子さんは何と答えるのでしょうか?

どう答える子になってほしいですか?

 

伸学会の生徒なら次のように答えるでしょう。

  

「毎日目標を立て、日々達成したからです」
「解き直しを3回やって、できない問題をできるようにしたからです」
「過去問の点数が悪くても、あきらめずに何度も解いたからです」

  

別の例を考えましょう。

中学生になって初の中間テストの英語の点が悪かったとします。

「どうして英語のテストで失敗したのかな?」という問いに、どう答えてほしいですか?

  

「勉強量が足りなかったかな。さすがに3日前から始めるんじゃ遅かったね」
「あの先生のテストは難しいよ。新人の先生は難しいテストを作るらしいよ」
「お父さんもお母さんも英語ダメだし、遺伝じゃない? 向いてないんだよ」

 

〇良い「原因」を探せ!

ズバリ、本項のテーマは、良い「原因」の見つけ方です。

何かにチャレンジして失敗したとき、

その原因がわかれば次のチャレンジでは

失敗を回避できるかもしれません。

失敗の原因を取り除けばいいからです。

  

何かにチャレンジして成功したとき、

その原因がわかれば次のチャレンジでもまた成功できます。

何度でも成功を再現できます。

  

つまり、「原因」を発見することは、

失敗の確率を減らし、成功の確率を高めることにつながるのです。

  

しかし、原因が見つかったとしても、

その原因が自分にはコントロール不能なものだったら、

あまり意味がありません。

  

極端な話「これは前世の行いが悪かったからだ」とか、

「神様がお与えになった試練だからだ」となったら、

甘んじて失敗を受け入れるしかないという結論になります。

  

結果を変えたい・良い結果につなげたいと考えるのであれば、

次の行動に変化をもたらす「原因」を見つけることが大切です。

  

そのような自分にコントロールできる原因が良い原因です。

  

良い原因と悪い原因の違いをより具体的にイメージしてもらうために、

ポジティブ心理学の権威、

マーティン・セリグマンらが行った実験を紹介します。

  

「まず、こんな状況を想像してください。

人からやってほしいと頼まれた仕事がありますが、

全部終わりそうにありません。

では次に、その主な原因を1つ想像してください。

どんな原因が頭に浮かびますか?」

  

社会的に成功している人々の回答で多かったのは、

例えば「タイムマネジメントに失敗したから」のように、

自分でコントロールできたはずの内容だそうです。

  

一方で、社会的に成功していない人々の回答は、

「意気地なしだから」「自分は何をやってもダメだから」

といった、自分では改善の余地がない、

または改善方法が不明なものが多かったそうです。

  

違いが分かっていただけたでしょうか。

  

このように、出来事の原因を何に求めるかを、

専門用語で「原因帰属」と言います。

子どもには「帰属」という言葉がわかりにくいので、

私たちは生徒に「原因分類」として教えています。

教育心理学の分野では、アメリカの心理学者の

バーナード・ワイナーによる分類がよく知られています。

  

  

ヨコ軸は「自分のせい(内的)」「他人のせい(外的)」、

タテ軸は「次回は違うかもしれない(可変)」「毎回同じ(不変)」です。

  

この表で、色んな原因を分類できます。

  

結果をどの原因だと考えれば、

この生徒の今後の良い学習につながると思いますか?

この分類を作ったワイナーは、内的で可変な原因である

「努力」に着目させるのがよいと考えました。

  

これこそが、自分でコントロールできるもの、

教訓として次に活かせるものなのです。

  

〇 なぜなぜ思考で深掘りする

では、どうやって内的で可変な「努力」に注目させればいいのでしょうか。

それは、質問を繰り返すことです。

質問を繰り返していくと、答えがどんどん具体的になっていきます。

  

  

例えば、つまずく子が多い算数の時計算のテストの失敗理由を考えるとします。

  

「時計算は嫌いだから」「時計算は苦手だから」

は内的で不変な「性格」「能力」のせいにしているセリフです。

 

この程度の好き嫌い・得意不得意は状況次第で変わるのですが、

「こんなの好きになるわけない・できるわけない」

という思いがにじみ出ています。

 

では、なぜ時計算が苦手なのかを掘り下げてみましょう。

  

まずは、

「時計算の練習時間が短かった」「問題集を1ページ分しか解いていない」

といった努力の量に注目できるといいでしょう。

  

単純に努力量を増やすという対策を取ることができます。

  

また、

「ノートで図を書いていない」

「時計算の解き方を確認していない」

「角度を答える問題か、時刻を答える問題か考えていない」

といった努力の質に注目できると、なおいいでしょう。

  

宿題のやり方や授業の聴き方を改善する手がかりを得ることができます。

  

さらに、

「針が2つ動いてややこしい」

「答えがイヤな感じの分数で嫌い(※時計算の答えはほぼ確実に分母が11の分数になり、子どもは心理的に抵抗感を抱きがち)」

と問題に関する具体的な回答が返ってきたら上出来です。

  

そこから対策を考えられるからです。

  

例えば、普通の旅人算で答えが分数になる問題を1回挟んでみるとか、

答えが分数にならない周回の旅人算を解いてみるなど。

  

良い結果を得るために、

何をしたらいいかが具体的にわかるまで、

質問を繰り返しましょう。

  

『まとめ』

自分でコントロールできる努力(=学習法+学習量)に注目させよう。

原因の原因を考えることで、対処可能なレベルまで具体的にできる。

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