長い記述を攻略して受験に合格する方法

こんにちは。
目黒校の高橋です。

あなたのお子さんは、「160字の記述問題を書きなさい」と言われたらどれくらいちゃんと書けますか?

模試でも過去問でも、長い記述になると空欄が目立つ。
そんな子ってたくさんいますよね。

うんうんとうなずいてしまったそこのあなた!
お子さんは記述のボンヤリ病にかかっています。
早く治してあげなければ。

そこで、今日はそんな病気を振り払う「記述問題の解き方」についてお話します。
この解き方を自在に使いこなせると、「記述の解答欄真っ白」がなくなり、着実に途中点を稼げて合格に近づきます。

練習の素材として今回扱うのは海城中の平成27年度第1次試験の社会です。
海城中の社会は、国立大学(東大?)を意識したと思われる論述問題が出ます。

問題はこちらです。

さて、最初に確認ですが、問題を解く上で最も大切なことはなんでしょう?

それはどの科目でも同じですが、「問いに答える」という事です。

「周りの長さ」を聞かれているのに「弧の長さ」を答えたり、「8より大きい場合は何通り」と聞かれているのに「8以上」を答えたりしているようでは正解になりません。

どんなに知識が豊富で思考力が高くても無意味です。

ですから、問いに答えようとする姿勢を持つこと、そして設問文を精密に読み解くことが必要です。

そのために、記述問題を解く上で身につけてほしい大事な技術があります。

それは「答案構成」の作り方です。

これができれば、今回のような長い記述問題だって簡単です。

「答案構成」というと、これまた難しく聞こえるかもしれませんが、要は聞かれていることに対して端的な答えを用意するというだけです。

では、実際にやってみましょう。

① 問いは何か?
今回の問いは「1950年度からはじまる高度経済成長期のころから湯治客が減り始めた」理由です。
② 条件は何か?
A 人々の働き方と暮らし方の変化という点に注目
B 資料1からわかること
C 資料2からわかること
D 資料3からわかること

これらを満たすように書かなければいけません。

③ ①②であげた、書かなければいけない要素の端的な答えを書いてみる
資料1~3から読み取れることを書いてみましょう。
A:「変化という点に注目」とありますから、ビフォーとアフターの様子をそれぞれはっきりわかるように書かなければいけませんね。
「1950年代からはじまる高度経済成長期のころから湯治客が減り始めた」理由ですから、境目は1950年代です。
B(資料1):湯治は、米の収穫を終えた農閑期の専業農家が行っていた。(ビフォー)
C(資料2):専業農家には12月から2月まで農閑期がある。(ビフォー)
D(資料3):1950年代ころまでは専業農家数が兼業農家数より多い。(ビフォー)
D(資料3):1950年代後半に兼業農家数が専業農家数を上回った。(アフター)
兼業農家の注釈:工場勤務などの収入がある

④ これらを繋げて答案にする(以下解答例)
12月から2月までは農業ができない農閑期で(資料2)、専業農家はその間に湯治行うのが古くからの習慣だった(資料1)。しかし、高度経済成長期以降は、農家は農業のみ行う専業農家から、工場などでも働く兼業農家へと変わっていった(資料3)。そのため、農閑期にも仕事があり、湯治に行く暇が無くなり、1950年代前に比べ湯治客が減ったと考えられる(理由)。

⑤ できた解答を読み直す
間違えやすい点をチェック項目として自分なりに設けておくといいでしょう。
例 誤字脱字はないか?助詞はおかしくないか?主述関係はおかしくないか?

このように、答案構成を作る際に設問をチェックして採点基準を想像できるようになると、どこで部分点がもらえるのかわかるようになります。
今回も資料1、資料2、資料3、そこからわかる理由、のそれぞれに採点基準があります。
ですから、すべての資料から情報を読み取ったことを採点官に示さないといけないのです。

この答案構成を面倒くさがって、やらずにいきなり書き出す子が多いです。(個別でフォローしている他塾の子だと、そもそも答案構成のやり方を教えられていなかったりします。)
そういう子は、100字以上の記述になるとだいたい、書くべき要素が抜けていたり迷走して無駄な時間がかかったりします。

国語の記述でも、その他の科目の記述でも、書き方の手順や公式がちゃんとあります。
やみくもに問題を解かせるのではなく、しっかり手順の学習をさせましょう。
お子さんが記述が苦手で困っている方は、ぜひ今回の記事を参考にしてみてくださいね。