ノーベル賞一家に学ぶ子育て

自由が丘校講師の太田です。

突然ですがクイズです。
Q.1949年に日本人として初めてノーベル賞を受賞したこの人物は誰でしょう?

正解は「湯川秀樹」でした。これは日本人なら常識ですね。
原子核の内部構造に関する中間子理論を唱えた物理学者です。

では、もう一問クイズです。
Q.では、湯川秀樹の父親にあたる、この人物は誰でしょう?

正解は「小川琢治」でした。これを正解出来た方は結構物知りな方ですね。
日本の地質構造の研究が有名な、日本の地理学を端緒を開いた地理学者です。

この小川琢治に育てられた息子たちは湯川以外も皆優秀だったらしく、長男の小川芳樹は東大教授を務めた冶金学者、次男の貝塚茂樹は京大教授を務めた歴史学者になっています。小川家、凄すぎて何がなんだかよく分かりません。

なんでこんな兄弟揃って優秀だったのか。ここまで優秀じゃない僕には分からないのですが、湯川自身の述懐によると一つ理由があったようです。
それは小学校に上がる前に祖父と行っていた「漢文の素読」とのことです。意味も分からず漢文を音読していたことが、漢字に親しむきっかけとなり、その後の読書に繋がっていったと回想しています。(ちなみにこの祖父、漢文の素養が豊かであっただけでなく、明治維新後に学んだ英語も非常に堪能だったようです。「小川家はうちとは違うのよ」という声が聞こえてきそうです。)
物理学と漢文とはあまりにもかけ離れているように思いますが、おそらく幼い時に身につけた確かな国語力(急に中学受験らしい言葉が出てきました笑)が後の勉強に繋がっていったのでしょう。

この兄弟たちなのですが、進んだ道は皆バラバラです。冶金学、物理学、歴史学、ちなみにお父さんは地理学。
どこの分野に行っても、幼い頃に身につけた言葉の運用能力(=国語力)が全ての土台となっていたに違いありません。

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我々とはかけ離れた雲の上の存在である小川家ですが、いくつか私たちにも学べる点があります。
それは「家庭内における言葉の使い方」「家庭内における勉強への姿勢」が、子どもの言葉の運用能力、ひいては頭の良さに繋がっていく、という点です。
言い換えれば、親の使っている日本語のレベルと勉強への姿勢を子どもは真似ていく、ということです。

確かに普通の家で漢文を読んだりなどといったことは不可能でしょう(僕も無理です笑)。ですが、普段の会話で「論理が伝わるよう、なぜなら・しかし、といった接続詞を適切に用いるようにする」「人の言うことは最後まで聞いてから意見を言うようにする」といった、意識すれば直せる点を意識することで、子どもも自然とそれを真似るようになります。

毎晩一緒に机に向かうことは無理であったとしても、自分が読書する習慣を身につけていれば、子どもも自然と真似して読書をするようになるでしょう。
読書でなくても構いません。料理の本を開いて試行錯誤する。そんな姿を見た子どもは何かを考える姿に憧れて、勉強することが当たり前、となるかもしれません。

「子どもになって欲しい理想像があるのなら、その手本に自分がなってみよう」という話でした。是非、かっこいいお父さん・お母さんの姿を子どもに「感染」させてみてください。