絶望-ジャングルから逃げられない-


2013年8月6日その3

ブキッ・インダを過ぎた辺りから、道が一層険しくなった。


渓流がいくつもあり、最初はきれいだなーとか思ってたけど、それが何度も何度も何度も何度も続くと、下りてまた上るのに時間も体力も消耗する。

既に我々のシャツもパンツも汗で濡れていない部分は無いほどぐっしょりであり、尾本先生の防水のトレッキングシューズの中は脚からしたたった汗で水没している。

倒木を乗り越えたりくぐったり、藪をかき分けたりして進む。

途中何回か、道を見失いそうになる。

何度も顔にクモの巣がかかり、この道しばらく人が通ってないんじゃないだろうか、道を間違えたんじゃないかという嫌な考えが頭をよぎる。

目的地はまだかー

トレッキングコースが川沿いだったので、川を行き交うボートのモーター音が時折聞こえ、その音にとりあえず道を間違えてジャングルの奥地に突っ込んだりはしていなさそうだと少し安心させられる。

が、3~4時間歩き続けると、だんだん目的地を通り過ぎてしまったのではないかとまた不安になる。

最初は冗談で、「いざとなったらボートに向かってHELPと叫ぶか」、なんて言っていたのが現実味を帯びてくる。

地図を見るとブキッ・インダまでと同じくらいの距離を歩けば途中通過点のトレンガン・ロッジに着くはずなのにどういうことだ?

いいかげん着いてくれ~

17時には動物観察小屋に、なんて思っていたのが、18時を過ぎてもその手前のロッジにすら着かず。

徐々に辺りが暗くなり始める。

そういやこの辺はトラやジャガーも出る可能性があるって話じゃないか。

焦るオレ。それ以前に疲労困憊で死にそうな尾本先生。

このままジャングルの中で夜を迎えるなんてシャレにならん!
動物観察小屋以外の屋外で猛獣と遭遇なんてシャレにならん!
せめてロッジに辿りついて、そこで一泊させてもらおう!

そう考え、疲れた体に鞭打って足を速める。

そして時計が19時を回ったところで、ついにロッジの手前にある川にかかった橋に到着!

着いた!ようやくだ!長かったー。。あと少しだ。

川を渡って少し歩くとT字路にぶつかった。

看板を見ると、どうやらロッジは通過点にあるのではなく、ここで動物観察小屋と左右に道が分かれるらしい。

動物観察小屋まであと1.5km、ロッジまであと500mと看板には書いてある。

尾本先生と相談し、ほぼ日が暮れて暗くなっている中であと1.5km歩くのは危険であること、そして何より水がほとんど残っておらず、ロッジで購入したいことから、ロッジの方に進路を取る。

平坦な道路であれば5分とかからない距離を、15分かかって歩く。

そしてついに!辿りついたそこは!

なんと廃墟でした(T_T)

座り込んで動けなくなる尾本先生。

自分も人生を振り返ってもなかなか無いレベルの絶望感に襲われ、崩れ落ちそうになる。

なにこれ?どういうこと?地図には何も書いてなかったけど??

最後の力を振り絞って辺りを散策してみるも、やはり人の気配はまるで無し。


(※写真は翌朝撮り直したので明るいですが、実際には何も写らないレベルで真っ暗です)

壊れたものを放置して少し移動したとかでもなく、ただただ朽ちた建物が何件かあるのみ。

川の方に下りられる階段を発見し、元船着き場だった所に行ってみる。

もうだいぶ暗いが、ボートが通りかかるかもしれない。

しばらく待って、通りかかった船に全力で叫ぶ。

HEEELP!!!

恥も外聞も知ったことか!俺は生きて帰りたいんだ!

しかし、なんということだ、暗かったせいでこちらの姿が見えなかったのか、ボートのモーター音でこちらの声が聞こえなかったのか、通りかかったボートに2回ガン無視される。

その後はボートが来なくなった。

詰んだかコレ・・・

こうして、予定外のジャングルでの野宿が決定したのでした。

最終話「ジャングル野宿ナイト☆トラも出たよ☆