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あなたは自分で自分のことがどれくらいわかっていますか?
人って意外と自分のことがわかっていないものです。
なぜなら人は自分の行動の大半を無意識で行っているからです。
悪い行動をしていたとしても、本人は全く無自覚・無意識ということはとても多いのです。
最近そのことをあらためて実感することがありました。
授業が終わった後に、いつも残って勉強していく子がいました。
しかし、毎回友達とおしゃべりをしてしまったり、なにかあるとすぐ立ち歩いたりしてしまい、実際に身になっている時間は半分もありません。
私も他のスタッフもそれをとても残念に思って、何度か注意していました。
けれどもなかなか改まりませんでした。
彼は、「自分はちゃんと勉強している」「怒られるのはおかしい」と思っていたのです。
そこで、その自己認識と客観のズレを埋めるために、私はあることをしました。
その結果その子の行動が一気に改善されました。
いったい何をしたと思いますか?
私がやったこと。それは、彼の様子をiPadで録画して、本人に見せてあげただけです。
それを見た本人は、「うわ、オレこんなに勉強してないんだ・・・」と納得してくれました。
家に帰ってからも、本人が「直さなきゃ」と言っていたそうで、お母さんからメールで連絡がありました。
その後はその子と私たちの会話がちゃんとかみ合うようになり、「今自分はどういう状態かな?」「どういう状態になりたいのかな?」と問いかけるだけで自分を軌道修正できるようになりました。
問いかけ無しで自分で気付けるようになるまでにはまだ時間がかかりそうですが、おいおいできるようになっていくことでしょう。
さて、私がやった「iPadで録画して見せる」ことですが、これは本当の意味での「フィードバック」です。
「フィードバック」という言葉は、ビジネスや教育の場面では何かしらのアドバイスや評価を与えるという意味で使われることが多いですが、本来の意味は「出てきた結果や情報を、改善や調整のために戻すこと」です。
今回のケースでは、「自分の様子」という情報を、本人に戻したわけです。
それに対して、「良くない」と評価し、「改善策を考える」のは本人が自分で行いました。
“残って勉強しているはずなのに、集中せずに立ち歩いたりおしゃべりしたりしている。”
この状態を見ると、「やる気が無い」と判断してしまう先生や保護者が多いのではないでしょうか?
でも違います。
彼はとてもまじめで、熱意があり、できるようになりたいと思って残って勉強しているのです。
ただ、彼には「自己認識」の力が足りなかったのです。
そのため、理想の自分、自分がイメージする自分と現実に差があることがわかっていなかったのです。
そして、自己コントロールがうまくできていなかったのです。
そこで、録画という方法で自分を見せてあげ、「自己認識」を手伝ってあげました。
結果、意欲や正しい判断力といった元々持っていた良い力がうまく働きだして行動が改善されました。
これって実は彼に限った話ではなく、多くの子供に共通することです。
この「自己認識」、伸学会の言葉で言う「心の監督」は、“二階の脳”の働きです。
(伸学会の「ホームルーム」教材より)
人間は二階の脳が未成熟なまま産まれ、年齢とともに育っていきます。
完成するのは25歳前後と言われていますから、小学校高学年の段階では完成までまだ半分程度しかきていないわけですね。
ですから、心の監督が働いていないことなんて、あってあたり前なのです。
そして、自分がどういう状態なのか気付かず、悪気が無く悪いことをしていることがたくさんあります。
(伸学会の「ホームルーム」教材より)
これは「意思」や「意欲」の問題ではなく「能力」の問題なので、叱ってどうにかなることではありません。
今回私がしたように、その「能力」を補ってあげなければいけないんですね。
あなたのお子さんは、「口で言うこととやることが違う」ということは無いでしょうか?
それは悪気があって、嘘やごまかしを言っているのでしょうか?
それとも、自分の意志や意欲を実行するための能力がまだ育ちきっていないのでしょうか?
感情的に叱る前に、冷静にお子さんを分析してみてください。
無理を要求して、お子さんを苦しめているかもしれません。
そして、ちゃんと原因がわかれば、今回のように案外あっさり簡単な解決策が見つかるかもしれません。
先生や親の腕の見せ所ですね。
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