子供に教えたい”脳の使い方”

あなたが子供に教えたいと思うのはいったいどんなことですか?

・何が正しい行動かを判断する価値基準
・自分の行動を自分で監視する能力
・自分の衝動を抑える能力
・責任ある行動をする能力
・自分の理想の未来を思い描く能力

きっとこういったものではないかと思います。

では、これらのうちの多くは“2階の脳”が司っていることはご存知でしょうか?

 

脳の活動を二つに分類する「思考の二重過程モデル」というものがあります。

それによると、脳は構造的に2階建てになっていて、それぞれ1階と2階が異なるシステムを担当しているとされています。

手を軽く握るとイメージがしやすいです。

2階の脳はクールシステム、遅い思考とも呼ばれ、いわゆる理性・熟慮を担当しています。

時間をかけ、順序立てて考える脳です。

2階の脳の思考は言語化(ことばにすること)が可能です。

そして、ワーキングメモリ(作動記憶)が必要で、集中力を必要とし、そのため複数の同時処理は苦手です。

こちらの脳のシステムは、間違えにくく間違えた理由も自分で分かります。

 

それに対して、1階の脳はホットシステム、速い思考とも呼ばれ、いわゆる直感・直観を担当しています。

表情から感情を推測するような、即座のパターン認識はこちらの仕事です。

言語化が難しく、「反復経験」で身につけるものになります。

「この顔は怒っている顔だから怒っている」は説明になっていないですから、言葉では教えられませんよね?

他にも例えば自転車の乗り方や泳ぎ方のようなものも口頭で説明できません。

パズル道場で扱う空間把握能力・量感・割合の感覚といったも同様です。

公式は言葉で教えられますが、それを使いこなすための「センス」や「カン」を鍛えるには反復経験しかありません。

こちらのシステムは同時に複数の処理が可能です。

例えば自転車に乗りながら帰り道を思い出すことはできますよね。

そういった良い点もありますが、1階の脳は容易に間違える上、間違いに気付きづらいという特徴もあります。

 

1階の脳は正に“ホット”なシステムです。

カっとなってやったことはだいたい非論理的で、あとになると反省するものですね。

私たちは子供に脳の“クール”なシステムの使い方、つまり2階の脳の働かせ方を教えていかなければいけないのです。

• 理由を明確にして、判断や計画作りができる
• 行動をとったらどういう結果になるか考えられる
• 状況に応じて判断を変えられる
• 自分の判断や行動を振り返ることができる
• 悪い行動を引き起こす条件に気づく
• 他者視点に立てる、思いやりができる
• 道徳的に考える
• 感情と身体をコントロールできる

2階の脳を鍛えれば、こんなに素晴らしいことができるようになります。

では、どうすれば2階の脳を鍛えることができるのでしょうか?

それは、結局のところ2階の脳を使う機会・経験を重ねることです。

• 自分の行動を振り返る機会を増やす&何事も自分の言葉で話すようにする
→ 学習記録やKPT振り返り術でやらせていることがこれにあたります
• 一階の脳・二階の脳を知り(握りこぶしの図)、意識する
→ 簡単なことですが、かなり効果大です
• 瞑想・マインドフルネス
→ 瞑想は大脳新皮質を物理的に育てることが確認されています
• 名前を付けて他者化する
→ 簡易な自己客観視です。実際に生徒が出した例:すぐ怒る自分→「怒りんぼ太郎」 ぼーっとしがち→「ホワイト花子」 サボりがち→「なまけ太郎」

こういったことを繰り返すことで、子供の脳は育っていきます。

それを助けるために大人はどうやって手伝えばよいでしょうか?

前回のコラムでも書きましたが、何かが起こった時には、子供の2階の脳はオフラインになり、1階の脳が活発に働く「戦闘モード」に入ります。
そこで、1階を2階に切り替えるための手伝いをしなければいけません。

そのためにまず大切なことは、ことばを減らすことです。
1階の脳が活発なとき、人は言葉を受け入れることは難しいからです。
声を小さくして、本当に伝えたいことだけを伝えましょう。
過去の話をいちいち持ち出すのは「イジワル」だと感じられるのでやめましょう。
話が長いと覚えられず、理解できないので、端的に伝えましょう。

そして子供の感情は受け入れてあげましょう。
感情を頭ごなしに否定してはいけません。「攻撃されている」と感じれば1階の脳を刺激することになります。まずは子どもの気持ちを受け入れてあげることが大切です。
そのうえで、感情には善悪も適切不適切もないが、行動にはあるということは教えましょう。
「感じることはなんでも感じていいけれど、したいことをなんでもできるわけではない」
この線引きを理解することが子供には必要です。

また、お説教(「~すべき」)ではなく、事実を描写(「~である」)するようにしましょう。
観察した事実だけを伝えましょう。間違いを指摘されると思うと子供は身構えてしまいます。
事実に対してどうすべきかを考えさせることが、二階の脳を鍛える練習になります。

それから、ルール・今後の行動の方針決めに子供を関わらせましょう。
事実を伝える→子供も問題だと認識する→解決策を一緒に考える
この流れが大切です。一方的にトップダウンで方針が降ってくると、受け入れにくいからです。
納得感をだすために、「子供のことを考えている」ということを、感情として伝えたいですね。

長くなるので今回はこのあたりで。
今回お伝えした子供の脳を育てる経験の手伝い方、少しずつ実践してみてくださいね。

文責:伸学会代表 菊池洋匡

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参考
ダニエル・J・シーゲル『子どもの脳をのばす「しつけ」』大和書房、2016年
ウォルター・ミシェル『マシュマロ・テスト:成功する子・しない子』早川書房 2015年