最強の成績が上がる学習法

あけましておめでとうございます。伸学会代表の菊池です。

頑張る受験生へのお年玉として、
「成績の上がる学習法」をプレゼントしようと思います。

こちらを読んで、
普段の勉強に取り入れ、
ぜひ合格を掴んでくださいね。
 
それでは本年もよろしくお願いいたします。
 
 

目次

最強の成績が上がる学習法

あなたは夜更かしをして勉強した経験はありますか? 昔々の大学受験生は、「四当五落(よんとうごらく)」と言って、4時間睡眠で寝る間も惜しんで勉強すると合格できるが、5時間も寝ているようでは合格できないとされていたそうです。恐ろしい話ですね。
現代では、これは大きな間違いだということがはっきりわかっています。睡眠は学習と密接に関わっています。むしろ、眠ることは学習することだと言っても過言ではありません。

確かに、何もしないでぐっすり寝ているだけで、勝手に頭がよくなってくれるというような都合のいい話はありません。勉強してインプットしなければ、よく寝たところで学力は上がりません。
しかし、テストでよい成績を取るためには、インプットした内容を記憶の倉庫に保存し、それらを必要に応じて検索する働きが必要です。この保存と検索において、睡眠はとても重要な働きをしているのです。
ですから、たくさん勉強してインプットしても、睡眠が不足してしまうと、結局学力は上がりません。よく学び・よく眠ることが学力アップには不可欠なのです。

うまくすれば、「睡眠」は数ある学習法の中で最強クラスに学力アップにつながります。今回の記事では、睡眠による学習のメカニズムと、学習効果をさらに高めるためのちょっとした工夫についてお伝えしようと思います。

寝ている間に何が起こるのか

私たちは眠っている間に、深い眠りと浅い眠りの間を行ったり来たりしています。眠りに落ちると、まずは深い眠りに入ります。
その深い眠りの間には、知識の定着が進みます。

そして、深い眠りと浅い眠りのサイクルを2回繰り返した後は、今度は中程度の深さの眠りと浅い眠り(レム睡眠)を繰り返します。
中程度の深さのときには体の動かし方の習得が進みます。体を大きく動かすスポーツもそうですし、指先を繊細に動かす楽器の演奏や書道・絵画といったものの技術の習得が進むのもこの時間です。
そして、浅い眠りの間には、論理的な思考の習得が進みます。算数や理科や国語の文章読解の力はこの時間に伸びていると考えられています。

睡眠に対しての研究は現在まさに発展している段階であり、今後新たにわかることや修正されることがあることでしょう。
しかし、現段階で一つ確かに言えることは、睡眠とは学習における主要な活動であり、学習のために睡眠を削っては意味がないということです。朝早起きして勉強したり、部活の朝練をしたりするのであれば、睡眠時間が不足しないように早く眠る必要があります。

眠るとどれくらい学力がアップするのか

2007年、ハーバード大学のジェフリー・エレンボーゲンたちが、大学生を対象にして「組み込まれた序列」を見極められるかを試す実験を行いました。実験の詳しい中身はここでは割愛しますが、要するに論理的なつながりを理解できているかを、学生たちは試されていました。( https://www.pnas.org/content/104/18/7723 )

この実験の際、学生たちは二つのグループに分けられ、一方のグループは午前中に学習して12時間後の夜にテストを受けました。もう一方のグループは夕方に学習して、夜の睡眠を挟んで12時間後の翌朝にテストを受けました。その結果、睡眠を挾まなかった前者の正答率が69%なのに対して、睡眠を挟んだ後者の正答率は93%となりました。眠るか眠らないかでこれほどの差ができるのは驚きませんか?
私たちは眠ると翌朝には忘れてしまっていると思いがちですが、逆に眠ることにより正答率が高まるのですね。

そして、昼寝にも学習を高める効果はあります。カリフォルニア大学のサラ・メドニックの研究によると、60〜90分の昼寝には緩やかな波の深い眠りとレム睡眠の両方が含まれていることがわかりました。そして、その学習効果はひと晩眠るのに近いということです。( https://www.nature.com/articles/nn1078 )

また、デュッセルドルフ大学のオラフ・ラールによれば、6分程度の短い睡眠でも、学習を高める効果が確認されました。( https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18275549 )
短時間でも、寝られるときには寝るといいということですね。

こういった睡眠による学習効果をより高めるちょっとしたコツとしては、寝る前に復習をしたり、起きた後に解く小テストを作ったりするといったものがあります。寝る直前に学習したことは、特に記憶に残りやすいということがわかっています。
さらに、スイスジュネーブ大学のキンガ・イグロイが行ったおもしろい実験によれば、寝て起きた後の小テストに、正解した場合のご褒美がたくさんあると、ご褒美が少ない場合に比べて記憶への定着がよかったそうです。( https://elifesciences.org/articles/07903 )
なんて現金な(笑)
今日から寝る前には、起きた後にする小テストと合格した場合のご褒美を用意しましょう。

なにはともあれ、私たちの脳は 寝ている間にも 考え続け、勉強しているのですね。

睡眠時間はどれくらい必要?

こういった睡眠の効果を踏まえると、私たちはよく勉強した後にはよく眠ったほうがいいとわかりますね。睡眠は学習効果を大きく増幅させてくれます。もし塾や学校の課題が多く、終わるのが夜遅くなってしまい睡眠が不足しがちになるようなことがあったら、取捨選択をしてやるものを減らしてあげましょう。そのほうが結果として学力アップにつながります。

目安として、低学年の子は10時間、高学年の子であれば9時間程度を目標にしたいところです。もっとも、受験勉強をしていると、平日には現実的に厳しいこともあるでしょう。そういう場合には、土日に1~2時間朝寝坊をさせてあげてください。お昼寝をするのもいいでしょう。上記のように、お昼寝も学習のためにとても効果的です。

また、高学年の子を対象にした調査ですが、広島県教育委員会が平成15年度に行った調査によると、平均的な睡眠時間が7時間未満になると顕著に成績が下がるというデータもありました。どんなに忙しくても、7時間半程度の睡眠時間は確保してあげたいですね。

勉強が終わらなかったら、続きは翌朝で大丈夫

2016年に発表されたフランスのリヨン大学のステファニー・マッツァの研究によると、勉強の合間に睡眠を取ることでも学習効率が上がるそうです。
朝学習して、同じ日の夕方に再学習したグループと、夕方に学習して翌日の朝に再学習したグループを比較したところ、学習の間に睡眠を挟むことで必要な学習量が半分に減っただけでなく、長期的な記憶の保持がはるかによくなったそうです。( https://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/0956797616659930 )
「学習が終わった後の睡眠は間違いなく優れた戦略ですが、学習の間での睡眠もまた優れた戦略です」とマッツァはまとめています。(※直訳ではなく意味がわかりやすいように私が訳しましたので、もし間違えてたらすみません)

つまり、予定通りに勉強が終わらなかった場合には、そこで勉強を終わりにして寝かしてしまい、翌日に続きをさせるのもよい学習法なのです。
そう思うと、予定通りに勉強を終えられなかったお子さんに対しての怒りも抑えられそうじゃありませんか?(笑)

まとめ
睡眠はとても効率のいい学習の手段である。
睡眠を削って勉強をしても、かえって学力は伸びないので要注意!

こちらの内容は、今年3月か4月頃に出版される『小学生の子のためのムダのない勉強法(仮タイトル)』の原稿の1部を抜粋しました。

内容に興味を持たれた方は、発売を楽しみにしていてくださいね。

また、前著『「やる気」を科学的に分析してわかった小学生の子が勉強にハマる方法』は、丸ごと1冊子供を勉強好きにさせるための方法について詳述した書です。
勉強を楽しくしてあげたい方は、ぜひ手に取ってみてください。

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